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ファイザー社の契約書に『秘密の壁』・同社の利益追求姿勢に非難の声

英国が秘密保持条項に同意した結果、米国企業は新型コロナによる利益をめぐる監視に直面している

ジョン・アンゴード・トーマス
2021年12月5日(日)06:30(グリニッジ標準時)

 閣僚達は英国の新型コロナワクチン供給をめぐり、製薬会社ファイザーとの間にいかなる紛争が起きても、秘密保持を堅持する条項を設けることに同意した。1億8900万回分のワクチン供給に関する政府とファイザー社との契約書は大部分が編集され、いかなる仲裁手続きも秘密にされることになったというのである。

 この事実は、ファイザー社がパンデミックの際に「戦争で利益を得ている」と米国の元保健省高官に非難されていることから明らかになったものである。今週放送されるチャンネル4・ディスパッチスの調査に基づき、バラク・オバマ政権下で米国疾病管理予防センターの所長を務めたトム・フリーデン氏は「もしあなた方が利益を最大化することにだけ集中し、なおかつワクチンメーカーであるのならば、あなた方は戦争で利益を得ていることになる」と述べている。

 ファイザー社が世界の国々と結んでいるワクチンの契約を調査した消費者擁護団体パブリック・シチズンのリサーチ・ディレクターであるザイン・リズヴィ氏は、「これらの契約には秘密の壁があり、特に公衆衛生上の危機にある現在において、これは容認できるものではありません」と述べている。

 リズヴィ氏は英国がなぜ秘密の仲裁手続きに同意したのかを説明する必要があると述べている。彼は「高所得国でこの条項に同意しているのは英国だけです。この条項により、製薬会社は国内の法的手続きを回避することができます」と述べた。

 「英国政府は製薬会社に主導権を握らせているのです。一握りの製薬会社が、世界で最も強力な政府にこれほどまでに影響力を行使できる状況になってしまったのは何故なのでしょう?これは、システムの崩壊を意味しています」。

 ファイザー社のワクチン供給プログラムは高い評価を得ているが、米国の多国籍業はその利益の規模や、低所得国に提供したワクチンの割合について、ますます厳しい目を向けられている。

 アストラゼネカ社がパンデミックの際にワクチンを原価販売することを同意したのに対し、ファイザー社は利益を確保したいと考えていた。ファイザー・バイオンテックのワクチンは、現在『Comirnaty』というブランド名で販売されているが、製薬史上、最も利益を上げる薬の一つとなるであろう。

 チャンネル4の調査が明らかにした、ある生物工学専門家の分析によると、ファイザー社のワクチンの製造コストは一回の接種につきわずか76ペンス(約113円)だという。このワクチンは英国政府に一回22ポンド(約3284円)で販売されているという。

 この推定コストには研究費や流通コスト、その他のコストは含まれてはいないが、ファイザー社によると税引前の利益率は『20%台後半』とのことである。ファイザー社は今年、23億本のワクチンを供給し、約360億ドル(約4兆939億9200万円)の収益を見込んでいる。

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 援助団体を含む組織の連合体であるピープルズ・ワクチン・アライアンスが先月発表した報告書によると、ファイザー社をはじめとする製薬会社は、供給量の大半を富裕国へと販売し、低所得国は『蚊帳の外』に置かれているという。低所得国においてコロナウイルスに対する完全なワクチン接種を受けている人はわずか2%にすぎない。製薬会社は新型コロナワクチン、検査、治療、その他の医療ツールの知的財産権を停止すべきであると、同団体は指摘している。

 ファイザー社はパートナー企業であるバイオンテック社が2020年9月に、ドイツ政府からワクチン開発のために最大3億7500万ユーロ(約481億4577万円)を受け取ると発表したことで、世界的に過剰な利益を得ているのではないかとの疑惑の高まりに直面している。

 オックスファムの健康政策マネージャーであるアンナ・マリオットは「製薬会社が莫大な利益を上げるために、世界にいる何十億もの人々がワクチン接種を拒絶されていることは嘆かわしい話です。ワクチン開発には公的投資が不可欠であったことを考えると、人々の命よりも製薬会社の利益独占が優先されることは理解できません」と述べている。

 ファイザー社はこれまでに、全世界で生産されているワクチンのうち4000万回分を、国連が支援する低所得国向けのワクチン供給イニシアティブであるCovaxに提供することを約束してきた。これは、2021年における全世界での生産量の2%にも満たない量である。Covaxは2022年末までに、少なくとも20億回分のワクチンを低・中所得国に提供することを目標にしている。

 ファイザー社によると、新型コロナワクチンの生産は同社の歴史の中でも『最大の規模拡大』であり、162ヵ国に20億本以上のワクチンを提供してきたことを誇りに思っていると述べている。同社は低所得国には非営利価格で提供し、それ以外の国には大幅な割引価格で提供しているという。

 「今回のパンデミックは、活気ある民間企業が社会に提供できる並外れた価値を浮き彫りにした」と同社は付け加えた。さらに、機密保持契約は標準的な慣行であるとしている。生物工学専門家が推定したワクチン製造コストは、臨床研究や製造努力の増大化、世界的な流通など、ワクチンを患者に届けるための真のコストを反映していないため、著しく不正確で意味のないものだと同社は反論している。

 政府は同社とのワクチン契約は商業上の機密事項であり、これ以上の詳細は開示できないとしている。バイオンテック社は要求されたコメントに応えることはなかった。

ソース:The Guardian ‘Wall of secrecy’ in Pfizer contracts as company accused of profiteering

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 中央日報が大騒ぎしてるから何かと思って探してみたら、本当に書いてやがった(白目)

 原価厨滅ぶべし。慈悲はない

 いやもう、ほんと、何考えてるのか…モノになるかどうか判らない頃から、メッセンジャーRNAワクチンの開発に注力してきた30年間の歳月と費用は一切合切無視なんでしょうか?表面的な原価しか目に入らないというのは、本当に度し難いです。
 パンデミックで肥え太るとは何事だ!などと言う御仁もいるかもしれませんが、ここで儲けてもらわないと、新たな変異株や質の悪いウイルスが出てきた時に、それに対応できるワクチンを開発できないことになりかねません。
 また、現在のパンデミックが収束して平時体制に戻った後も、継続した研究開発の続行は必要でしょう。それを考えたら、儲けるななどとは言えないはず。
 アストラゼネカ社の原価販売という志は素晴らしいとは思いますが、それを他社にも求めるのは酷というものだと思うのですよ。我々は資本主義が支配している世界に生きているのですし。
 ワクチンの配分に関しても、ファイザーに文句を言うのは筋違いというものでしょう。むしろ富裕国の政府の尻を叩いてワクチンを買い上げさせて、それを貧困国に配るよう促すのが筋ではないでしょうか?製薬会社に無償奉仕を求めるのは、大きな間違いだと思います。

 いずれにせよ、今回の記事は色々な意味でトンチキでしたね。ワクチンの価値を原価だけで判断しようという、その態度の方が衝撃ってもんですよ、まったく。

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