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遅刻をくり返したあとの世界 another side

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『遅刻をくり返した後の世界』は1990年代から2000年代にかけて 「猫キャット」が撮りだめたすでに無くなってしまった場所のガイドブック。 世界一身近なゴミの中で宝探しを続けてき…
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#70年代映画

赤白の鉄塔の中で受肉を願う人型たち

東京タワー東京都港区芝公園4丁目二番地八号 2000.7    東京タワーは赤と白の鉄骨で組まれた、日本一有名な電波塔でした。1959年から、その役目を東京スカイツリーに移行するまでの約60年間、情報をのせた電磁波がこの333メートルのアンテナから発信され続け、関東平野ほぼ全域のテレビがそれを受像していたのです。そういえば、ここのてっぺんから飛び降りたふたりの子供がおこす奇跡を描いたマンガ「わたしは真吾」のことを、私たちは大好きでした。 わたしは真吾  1999年の

ゴミを部屋に置いたまま忘れてしまうと土に還ってしまい、何を拾ったのかわからなくなってしまいます⑥

わたしたち猫キャットには特に気に入っている映画がふたつあります。ジャック・リヴェットの「セリーヌとジュリーは舟でゆく」(1974 仏)と、ニコラス・ローグの「パフォーマンス」(1970 英)。この2作は「日常のすぐそばに背中合わせで潜んでいる、暗い影のような非日常」という点で共通していて、「セリーヌとジュリー」ではふたりの主人公が、ある屋敷の中で、自分たちの日常と全く違う時間がループしていることを知ってその異世界へ飛び込むし、「パフォーマンス」では、ギャングが身を隠すため