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銀剣のステラナイツ タイマンシナリオセッティング「死がふたりを分かつまで」

 本作は「どらこにあん」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『銀剣のステラナイツ』の二次創作です。
 (C)Fuyu Takizato / Draconian
 (C)KADOKAWA

■はじめに

 このシナリオセットでは「ブリンガー」「シース」どちらか片方の死が決まっています。
死を目前にしたふたりっきりのペアの物語を語るための特殊な背景となります。そのため「(自キャラでも他キャラでも)キャラが死ぬのは嫌だ」という方や「どうせ生き返るんでしょ?」という方には向かない内容です。
 片方は演出上絶対に死ぬ、ということを十分に伝えて理解してもらいましょう。

■概要

 星の騎士に訪れる死。ここではそれを『死の運命』と呼んでいます。

 『死の運命』に魅入られたものは、必ず死にます。
 病に倒れた結果『死の運命』に魅入られたのだとしたら、奇跡的にその病が治ったとしても。死から免れることはできず他の原因やまったくの原因不明で死ぬのです。

 『死の運命』のルールは回避不可能、神々ですら曲げることはできません。以降では『死の運命』により死が決められた俳優を【死に役】、もう一方を【生き残り役】とします。

 第一章で死の原因が語られ、第二章では最後の戦いに赴く直前のふたりが語られます。

■オプション

 このシナリオセットをプレイする場合、登場人物をステラナイツではなく、エクリプスとしてもよいでしょう。その場合、物語はより悲劇的ではありますが、本テキストの細部は監督が調整する必要があります。
 非タイマン(多人数卓)への使用は非推奨ですが、やる場合は複数いるステラナイツのうち死ぬのはいずれか一人、としたほうがたぶん盛り上がるでしょう。

■事前準備

 監督(GM)と俳優(プレイヤー)、それから登場人物(PC)が決まったらまずは「ブリンガー」「シース」のPCのどちらが【死に役】になるか相談しましょう。できればセッション前に済ませておいたほうが当日スムーズに進みます。

■プロローグ
次の女神の告知詩を読み上げます。


舞台を降りるものがいる。
それを見送るものがいる。
死の運命を避けることは何人たりともできはしない。
たとえそれが女神の恩寵受けた騎士であろうとも。

今宵を限りと知りつつも、願いの決闘場に気高く咲くは(今回参加するステラナイト側のペアの花章を読み上げる)

『銀剣のステラナイツ
    死がふたりを分かつまで』

避けられぬ死の前でも剣を取れ。
命の灯燃やし尽くし、世界の守護者たることを証明するのだ。

■第一章

騎士の比翼に訪れる『死の運命』が決まります。以下のシチュエーション表A、Bを振るか好きなものを選択するかして、状況を決定してください。

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シチュエーション表A:死の運命/理由(1D6)
 1 : 抗うことのできない不治の病が騎士の身体を蝕んでいる。
 2 : 前のステラバトルでの致命的な傷により死にかかっている。
 3 : 騎士となり積み重ねられてきた幾多の傷が命を奪おうとしている。
 4 : 死神、悪魔、もしくは異界の存在との契約に従い、ついに魂を支払うときがきてしまった。
 5 : 平和なはずの日常において起こった事件・事故・事象が騎士の命を奪ってしまう結果となった。
 6 : ロアテアの呪いじみた力により、世界との因果が絶たれ存在そのものが消えかかっている

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シチュエーション表B:死の運命/認識(1D6)

 1~2:【死に役】は自身が死ぬことを知っており、【生き残り役】もまたパートナーが死ぬことを知っています。
 3~4:【死に役】は自身が死ぬことを知っており、【生き残り役】はパートナーが死ぬことを知りません。
 5~6:【生き残り役】はパートナーの死を知っており、【死に役】は自身が死ぬことを知りません。

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 上記のシチュエーションに基づき、物語を語りましょう。
死を告白するか、しないかは二人しだいです。

 しかし、避けられぬ死はいつ訪れるのか?
 次のステラバトルを終えたとき。それが【死に役】の命の砂時計の限界です。そのことは上記表で「死ぬことを知っている」とされたものは認識していることとします。

■第二章

ブリンガーとシースの最後の逢瀬です。
いつも通りの日常を過ごすもよし、二人きりでどこか遠くに逃げてもよし。
自由に演出しましょう。

■幕間

時間は永遠には続かない。
ついに、二人にとって最期の戦いのときがきてしまいました。
キーワードを宣言し、変身をしましょう。

■最終章

 次の女神の告知詩を読み上げます。


人は死ぬもの、儚いもの。
しかし、終末の獣の前には人間は等しく無価値。
獣は怒りの業火を以て、世界のすべてを焼き尽くさんとする。

命尽きる最後の瞬間まで抗い戦いなさい、星の騎士たちよ。
――いざ開け、生と死の舞台

ステージセットはお好きなものをお使いください。(特に決めてがなければ220頁「龍神討滅戦」あたりが雰囲気に合うでしょう)

■ステラバトル

良き戦いを。勝利すれば「葬列の騎士」の勲章を手に入れることができます。

■カーテンコール


【死に役】へ死の瞬間が訪れます。
そのまま情感たっぷりに死を演出してもよいですし、避けられぬ死の運命を変えたいならば女神に祈ってもよいでしょう。

・女神への祈り
パートナーの蘇生を願った場合、ふたりの女神の声が聞こえます。

「残念ながら今のあなたには、その『願い』をかなえることはできません」
「『死の運命』は必ず誰かひとりを連れていく。そういうルールなのです」
「ですが騎士よ。あなたたちが望むなら」
「ですが騎士よ。あなたたちに覚悟があるなら」
「『死の運命』を〇〇(【死に役】名)の代わりに受け入れなさい」
「××(【生き残り役】名)が代わりに死ぬこと、それが願いであれば…われらふたりの女神の力で叶えましょう」

女神の力添えであっても死者の蘇生は通常不可能とされています。
ステラナイツたちの間で知られている『願いの階梯』を大きく超えるからです。
今回の『願い』によって叶えられるとしたら、パートナーの死の運命をもう一方のものとする、つまり【死に役】と【生き残り役】を入れ替えることだけです。
ふたりが合意して結末を選んだら、最終的に【死に役】となったPCに死が訪れます。

・最後の選択
 遺された【生き残り役】には最後の選択肢があります。

 新たなパートナーを得て、積層世界の守護者ステラナイツであり続けるか、すべてに絶望し、かつてのパートナーを模した武具とともに人類を滅びに導くものエンブレイスとなるか、です。

 【死に役】が息を引き取るのを見送ったあと、女神たちが問います。
「遺されし騎士よ。古の盟約に従い、あなたはステラナイツであることを続けますか?」

 女神の言葉を受け入れた場合、新たなパートナーを得られるまでしばし休息の日が続きます。これを受け入れられなかった場合、騎士の力は剥奪されます。
ただし女神の騎士であり続けるには、同じ願いを持つパートナーでなければならないことに注意しましょう。

 パートナーの死を受け入れられず、女神の問いを激しく拒絶した場合、ふいに空間がゆがみ、黒い霧がPCを覆い、虚無に引き込まれます。
 パートナーとのさまざまな思い出、それを永遠に失った哀しみ、人間世界に対する激しい憎悪がPCの脳を塗りつぶし、魂を激しく揺さぶります。
"壊セ" "奪エ" "叫ベ" "憎イ"
 かつてない破壊衝動がPCを襲います。
 そして、在りし日のパートナーの幻影が現れ、【生き残り役】に手を差し伸べます。
 このまま諦め、幻影の手をとってしまった場合、PCはエンブレイスとなります。このことは俳優にしっかり伝えたうえでどうするか決めてもらいましょう。
 騎士たちが戦った終末の獣も、かつては誰かの【生き残り役】だったのかもしれません。

 ・・・ここまで、女神の言葉を否定し、ロアテアの誘惑を耐えたものにはもうひとつだけ選択肢があります。
 死者の蘇生は不可能、とされているのはあくまでステラナイツの間で知られている範囲では、なのです。
 思い返してみれば、女神は「今のあなたには」叶えられないと言ったのです。
「今は」無理でも「いつか」は可能ということにはならないでしょうか・・・・・・?
 このか細い可能性にすがりついたものの前には誓約生徒会が姿を現します。

 死んだパートナーを復活させる願いそのものは大きくまた危険な原動力となるでしょう。ですが、願いをかなえるため、戦い続ける理由となるには違いありません。
 誓約生徒会のメンバーとなったものは、今後は「異なる願いを持つ」パートナーとともに誓約生徒会の騎士として戦うことになります。

※『死んだパートナーの蘇生』が願いとなった場合、実は同じ願いのパートナーが新たに見つかるなら女神の騎士を続けることができます。
 もし俳優が先にこのことを思いついたなら監督は肯定してあげましょう。『死んだパートナーの蘇生』を願う人物――家族か、友人か、恋のライバルか、それを考えるのもきっとまた面白いですよね。

 そのうえで誓約生徒会になる道も提示し、どちらにするかを選んでもらえばよいのです。

 また、いずれも選ばず、パートナーと運命を共にし死出の旅に立つ、というのも……大変哀しい結末ですが騎士物語としてはありといえます。

(完)

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