3Dプリンタ業界の片隅に生きる野良の研究者のこと

こんにちは、nekoaceです。

今日はぼくが野良研究者になると決めた理由について話します。

わたしはもともと0→1の仕事に憧れて、とある電機メーカーに入りました。そこで、材料加工の事業に携わりながら事業化のタネを探していました。そこで出会ったのが3Dプリンタでした。

3Dプリンタはいま世界ではかなり大きなビジネスになっています。日本にいるとなかなか実感がわかないかもしれませんが、海外中心に本格的に量産に使われ始めていて、これから先、世の中の産業構造を大きく変える可能性を秘めています。

そんな3Dプリンタですから、材料加工を手掛けていた私が所属する部門でも事業化検討が始まっていて、うまいことそこに潜り込むことができたのです。

3Dプリンタにはたくさんの方式があります。
フィラメントをノズルで押し出す方式や、粉末をレーザーで焼き固めていく方式など、細かく見ていくと10を超える方式があります。そこで、私は自分の専門性に近いレーザーを用いる方式を押していて、なんとか関係各所を説得して開発をスタートすることができました。
この事業なら、自社の技術も使えて、自分のスキルも活かせて、かつ高成長も見込める。これに人生をかけて事業化を推進していくんだと思っていました。

ところが2020年の世界的なパンデミックにより、私が所属していた会社も大幅な経費削減を余儀なくされました。なんと、私が手掛けていた3Dプリンタ製品の開発中止が決定したのです。会社としては比較的大型製品でした。経費削減の観点から、中止対象となることは想定していましたが、客観的に見ても、3Dプリンタの将来性を考えれば、中止という判断は性急に過ぎると感じていました。

さて、ここまで人生をかけると公言していました。いざ、中止となるといよいよ身の振り方を考えます。
実は、新規企画を立てているころに、ビジネスの学びの必要を感じ、ビジネススクールに進学していました。そこでは、マーケティングや技術経営の勉強を進めていたのですが、卒業に必要な修士論文の題材に3Dプリンタを選択していて、自分の本業に直結する研究を行っていたのです。

こうした理由もあり、会社が中止を決定した3Dプリンタですが、なんとか自分一人でも続けることができないか、と考えた結果、「野良の研究者」という選択に行きついたのです。
ビジネススクールで研究していたのは、成長を続ける3Dプリンタ業界の中で競争力を持つ製品とはどんな製品か、データ分析を用いて明らかにするといったものでした。この研究なら、実験も必要なくパソコンがあれば可能です。通常業務は別で持っていますが、空いている時間を中心に割けばいい。ビジネススクールで土日をつぶしていたころに比べればずっと楽です。そして、成長を続けるこの業界、少しずつでも研究を続けて入れば、何年後かに必ず再び事業化を目指せるときがくる。そう信じました。

こうして記事を書いているこの瞬間にも、この業界では、次々に新しい技術が開発されて、ベンチャー企業が発展して、応用事例が増えています。

このエキサイティングな業界の最新の情報を私なりの視点でまとめていって、少しでもこの産業が大きくなる一助になればよいと思っています。

少しずつ更新していきますので、これから末永くお付き合いいただければ幸いです。

それでは

nekoace

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?