見出し画像

子猫の哺乳準備

イタリア🇮🇹からCiao!

体温も回復して、栄養剤で少し元気を取り戻したちびっこ達に哺乳をしていきます。


まず、猫に牛乳はNGです。子猫を保護して牛乳を与えてしまい人がいますが、猫は牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を適切に消化できない為、下痢、ガス、腹痛、消化不良などの体調不良を起こします。子猫の場合体が小さいので下痢をしtだけでもですぐに脱水症状になってしまうことも。


市販されている猫用に粉ミルクを与えるのが安全ですが、メーカーによって成分に大きな違いがあるので成分表を確認します。脂肪分の少ないミルクは便秘を引き起こしやすく、脂肪分の多いものが便が柔らかくなります。もともと母猫がいて、補足的に粉ミルクを使うならまだしも離乳まで100%人工哺乳の場合は、ミルクの質にはこだわる必要があります。


ヨーロッパのミルクボランティアの間では一般的に、アメリカ製のKMR(エスビラック)の物が母乳に近い成分でベストと言われていますが、ここ数年輸入業者の関係で入手が困難になっている上、非常に高価です(340g入りで1万円以上!)。

1もこの2つのメーカーのものを使っています(右のKMRリニューアル前のパッケージです)

とても状態の悪い子にはKRMを使いますが、普段はロイヤルカナンのベビーキャットミルクを使っています(300gで4000円くらい)。キットの中には哺乳瓶も入っているので(私はこの哺乳瓶は使っていませんが、ミルボラの間では人気です)すぐに使えて便利な上、比較的問題のないミルクです。

最近KRMが入手困難な為、イタリアでそれに似た成分のミルクが発売されてモニターをやってみましたが、全員あっという間に下痢になってしまいました。成分はいいのだけれど脂肪分がかなり高いせいだと思います。
下痢の時はミルクをいつもより薄めにして(脂肪分を抑える)、便秘の時は濃いめに作るというのがルールで、薄めに作ったけれどダメでした。
ミルクのメーカーを変えるときは下痢を予防する為、新しいミルクを従来の物に少しづつ量を増やしながら混ぜて移行していきます。
子猫が下痢になるとめちゃくちゃ厄介ですから。

子猫の腸はとてもデリケートなので、プロバイオティクスなど腸の環境を整えるサプリがお勧めです。

さて、哺乳。
生後1週齢までは2時間おきの哺乳です。
勿論、24時間営業。
この期間は廃人化します。
子猫は胃が小さくて一度にミルクを飲めないので、回数を適切な量のミルクを与えます。

力強吸い付いています。本能って凄い。


子猫の体重の30%が1日のミルクの摂取量の目安で、それを哺乳回数で割ったものが1回の哺乳量になります。


例えば100gの体重の子は1日約30mlのミルクが適量で、1日10回に分けて与えた場合、1回に飲ませる量は約3mlとなります。


でもこれはあくまでも目安なので、数字に縛られず子猫が欲しがるだけ飲ませて大丈夫です。
子猫は満腹になると哺乳瓶の乳首をぺっと吐き出すので、それが満腹サイン。
それ以上は無理に与えない事が大切です。
胃が満タンになりすぎると、寝ている時にミルクが逆流して窒息したり、肺に入って肺炎を起こしたりするので要注意。人工哺乳の場合は若干少なめに与える事をお勧めします。
毎回全く同じ量を飲むとも限らないので量は多少上下しても問題ありません。

子猫によって、それぞれ飲み方や癖、速度、体勢、ミルクの温度の好み、乳首のタイプなど好みがあるので、それを理解してそれぞれの子猫が好む方法を取り入れてあげます。


私が長年愛用しているのはもともとリスの赤ちゃんなどの小動物の哺乳用に作られたニップル(乳首)で、10年以上使用しています。
ミラクルニップルというアメリカのメーカーのものですが、最近はコピー商品がAmazonなどでも売られています。
一度コピー商品を購入した友人に見せてもらいましたが、とても硬くて子猫には優しくないなと言う印象でした。

シリンジ、哺乳瓶などに取り付けられます


すっとこのニップルを輸入して使っていたのですが、素材や色が変わったり、何度もマイナーチェンジをしたりで最近のものは初めの頃に比べとても硬くなってしまいました。
使用する前に、伸ばしたり揉んだりして吸い口を柔らかくしてから使っています。


そして2-3年前からは、ドイツ製の同じタイプのニップルを使用しています。素材が人間の赤ちゃん用と同じシリコンで口当たりがとても柔らかく、熱湯消毒もでき、透明なので空気の泡も見やすく優秀です。サイズも3種類あって成長や子猫の好みに合わせて選べるのも

口当たりがソフトなので子猫も吸い付きやすい


難点は、シリンジにセットすると滑りやすい事。
哺乳中に外れてしまったり、ピョーンとどこかへ飛んでいってしまったり。


これを予防するためにはシリンジとニップルとの接続部分をヤスリで削る必要があります。一手間かかるけどこれで解決します。

ネイルファイルで削ってグリップ力を高めます

そして、透明なのでなくしやすい。
何度キッチンペーパーと一緒にして捨ててしまったことか。落としでも透明なので見つけにくい。
と言う事で、毎回大量に購入しています。

新しいニップルは一通りトライしていますが、現時点ではこの2つがベストです。
何か良いニップルをご存知でしたら、教えて下さいね。

そしてこのニップルをシリンジにセットして使います。市販の小動物用の哺乳瓶にもセットできるのですが、シリンジにつける事で空気を飲み込む事が解消できる上、子猫自身が吸わないとミルクが出てきません。
哺乳瓶は吸わなくてもポタポタミルクが出てくるので、簡単に飲めて「吸う」という動作を忘れてしまいます。

子猫がミルクを吸う力というのは想像以上に強く、色々な筋肉を使うので成長をしていく上で、精神的物理的に重要な役割があるのです。

明日に続きます。







猫ちゃんに少しだけ愛の手を!サポートは全て、遺棄、飼育放棄された孤児の乳飲み子の命を繋げる為、TNR、外猫の治療などのボランティア活動に使わせていただきます。