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緊急子猫保護 エントリーNo69-72

イタリアからCiao!

昨日の早朝、いつも猫の保護活動を助けてくれている保健所の獣医師の友人から電話が入りました。
「今から保護された乳飲児の子猫が来るんだけど、育ててくれる?すぐに引き取りに来て欲しい」と。。。


現在3ニャンの孤児の子猫に哺乳をしているので、できれば数を増やしたくない。しかし、いつも保護活動に協力してくれる彼女の手前、断りきれず引き取りに行く事になりました。今年の3月から数えて69-72匹目の保護です。

子猫の数も週齢も全く情報がないので、とりあえず湯たんぽ、哺乳セット一式、ミルク、カテーテル、プラスチックボックスに柔らかい毛布を敷いたものを用意してお迎えに行きます。


保健所に着いて、子猫は生まれたばかりの4匹と言う事が発覚。箱の中で臍の緒も生々しい子猫がうにうに動いています。触れると濡れている上、氷の様に冷たい!

予想してたより全然小さい!


体温調節のできない新生児にとって低体温は命取りにもなります。内臓に障害が出るので、低体温時は哺乳するのはNG。血糖値を下げない様、栄養剤を少量口に入れ、すぐに湯たんぽをセットしてあるボックスへ移して速攻で家へ戻ります。


臍の緒の状態からすると生まれてから24時間経っていない様子。保護主さんの連絡先をもらったので電話で、保護時の状況を聞いてみました。

猫というよりネズミサイズ


犬の散歩をしていたら、犬にゴミ捨て場の方へ引っ張られ、行ってみるとゴミ捨て箱に下げられた水色のビニール袋の中で何かもぞもぞ動いている。中を見たら4匹の子猫が入っていたと言うわけなのです。
保護主さんはそのままクリニックへ向かい、応急処置と哺乳をしてもらったものの、乳飲子は育てる自信がなく保健所へ持ち込んだと言う事でした。


日本では保健所というと殺処分と言う言葉が浮かぶかもしれませんが、イタリアには基本的に殺処分はありません。
市のシェルターに収容する事になるのですが、乳飲児は24時間体制でお世話をする人がいないので、ミルクボランティアへと引き継がれます。
ミルボラでも特に新生児の経験が多く、設備も整っている私の元へは、特に難しいケースの子猫達の保護依頼が入るのです。


家に着いたらまず、体温の確認をして(移動中にだいぶ体温が回復していました)、体重測定。平均より小さめです。一番小さい子から78、80、83、89g。
男の子2匹(タビーとブルー)と女の子(タビーとサビ)2匹。

第一目標体重100g!


まずは排泄をさせますが、離乳するまでは局部に刺激を与えて排泄を促さなくてはならないので、キッチンペーパーで優しくマッサージをします。

新生児は産まれて間もなく真っ黒いタールの様なメコニウムと言う胎便(胎児の時に飲み込んだものが腸に溜まっている便)をします。これが出たら腸が動き出したサインです。
既にメコニウムは排出されていた様なので、最低でも生後24時間くらいは経過しているかもしれません。
でも、子猫の様子(特に足やマズルの毛が生えていないなど)と体重から見ると未熟児だった可能性があります。
未熟児、低体温だと生存率はかなり下がります。

保護時に保護主さんからできるだけ多くの情報を集めるのはとても重要な事です。発見時の子猫の状態を把握する事で、子猫の状況を把握しそれに対応したケアをする事ができるからです。

例えば、毛並みも綺麗で丸々している子は少し前まで母猫と一緒にいた子で、母親にいきなり飼育放棄されたとは考えがたいので、大抵人間によって遺棄されています。この様なケースは母親の初乳(コロストルム)を飲んでいるので、母親からの抗体を受け継いでいます。

逆に、汚れがひどかったり、胎盤がついたままだったり、痩せ細っている場合は母親の飼育放棄や死亡と言う可能性が高く、子猫は初乳を飲んでいない場合が多いので、育てる上で感染症などに対して更なる注意が必要になります。

勿論、胎盤を通して抗体を受け継ぐ事はできるのですが、その場合は母親の抗体の9%程度しか受け継がれません。
母親から受けた抗体は、個体差はありますが成長と共に減少するので、生後8週移行にワクチンを打って再度抗体をつけます。

話が外れてしまいました。
ワクチンの事はまた別の機会に話すことにしますね。


子猫達の濡れたからもう拭いて、血行を促すために体をマッサージして(フリクション)、4にゃんは体温も戻り(新生児の体温は低めです)哺乳に入ります。
本当は体を洗いたかったけれど体力を消耗させないため後日に見送ります。

体が温まったらリラックス


4ニャン中1匹(サビ)の子の元気がなく、力が入らず体がふにゃふにゃです。嫌な予感。

動きも少なく、力が入らずふにゃふにゃです

明日に続きます。

猫ちゃんに少しだけ愛の手を!サポートは全て、遺棄、飼育放棄された孤児の乳飲み子の命を繋げる為、TNR、外猫の治療などのボランティア活動に使わせていただきます。