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【メモ】レイシズムの段階を上下させる仕組み

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

昨日に続いて、『レイシズムとは何か』の第三章「偏見からジェノサイドへ」を読み、分かったことをざっくりまとめます。

この本を読むことで、ナチスのホロコーストをきっかけに、戦後社会はレイシズムを社会悪と考えるようになった…と、知ったのですが、それでもこの三章を読むまでは、「差別の進んだ先はジェノサイドである」ということにあまりピンと来ていませんでした。

ジェノサイドなんて、情報伝達が上手くいっていなかった時代や、そういう技術が発達していない国で起きることだ…と何となく思っていました。
でも今の時代、きちんと情報伝達できているのかしら…? そう考えるとぜんぜん他人事じゃないと感じました。

〇レイシズムのピラミッド:5つのレベル

 レベル1:偏見
 レベル2:偏見による行為
 レベル3:差別
 レベル4:暴力
 レベル5:ジェノサイド

 ・レベル3以降は、国連の人種差別撤廃条約で禁止されている

 ・レベルを上下させる効果をそれぞれ、本書では「差別アクセル」「反差別ブレーキ」と名付けて、それぞれを考察している

〇「差別アクセル」にはおよそ二種類

 ・直接の差し迫った利害関係
  
 ・差別煽動ー加害者にとって暴力が正統であると思える社会的条件
  →国家が取り締まる姿によって、レイシズムは加速または沈静化する。

〇レイシズム暴力発展の四段階(ヴィヴォオルカ『レイシズムの変貌』より)

 段階1.レイシズム以前
 段階2.レイシズム発生
 段階3.レイシズムの政治化
     →レイシズムが制度内に浸透している。  
 段階4.レイシズムの全体化

〇ヘゲモニー実践とは(アントニオ・グラムシ)

 道徳的・文化的なイニシアティブによって他者の同意を獲得し連帯を作り出す実践のこと。グラム氏によると実践に対して、決定的役割を果たすのが、「知識人」だという。

知識人とは、「理論と実践のあいだにあるべき同じ統一性」を打ち立て、「大衆の実践的活動」が提起する問題を一貫性ある形で練り上げることで、大衆と知識人のあいだに「文化的、社会的ブロックを構築」する主体である。グラムシはこのような主体を「有機的知識人」と呼び、逆に大衆に権威的・観念的に接する「伝統的知識人」と区別した。

…ということで、極右は、グラム氏のヘゲモニー実践において「差別アクセル」を進める側の「知識人」であり、レイシズム暴力発展の段階2→3へ変わる鍵を握る存在だそうです。

差別アクセルに対抗する「反差別ブレーキ」は、次の四章で取り上げているそうです。

一章や二章と比べて、ページ数は少なかったけれど、三章は内容が非常に重かったです…。もう本日はここまでにいたします。

みなさま、おやすみなさい♪

■本日の一冊:『レイシズムとは何か』(梁英聖/ちくま新書)


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