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【メモ】古代ギリシャの奴隷とアメリカの奴隷

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

先日の「プラトン読書会」で『饗宴』を読んでいた時、
わたしたちは「奴隷」というと、アメリカの黒人奴隷を連想するのだけれど、古代ギリシャの奴隷はちょっと違うようだという意見がありました。
『饗宴』での扱われ方を見る限り、古代ギリシャの奴隷は、いわゆるサラリーマンのように、仕事さえしっかりやっていれば、あとはそれなりに命の危機などは無い状態で暮らしていけるように感じました。

その後、古代ギリシャの奴隷と近代的な奴隷の違いについて書いてあった本に出合ったので、ご紹介します。

・古代ギリシャで奴隷は「ものを言う道具」と扱われ、主人の所有物だった。
・都市国家ポリス同士の戦争の戦利品として、奴隷は不可欠なものだった。
・ただし、奴隷も植民地も、人種とは結びつかなかった。


古代ギリシャ時代には、人種とは全く関係の無かった「奴隷制」が、近代になるにつれて、人種を根拠に「奴隷制」が作られてゆく経緯が、『レイシズムとは何か』(梁英聖/ちくま新書)の「第一章:レイシズムの歴史」に書いてあります。

「科学的であること」が、ゆがめられて利用された歴史でもあります。
リンネの分類法、そして、ダーウィンの進化論は、もともとは人種差別とは全く関係のない方法や思想だったようです。しかし、あとから白人に都合のよい解釈を付け加える人物が現れて、人種差別の道筋をつくっていました。

結局、劣等人種がいると科学的に説明できれば、その人種を安く労働力として使える口実になるわけです。だから、「科学的」に人種を貶める物差しを作り出すことが望まれていたということなんですね。

それらがやがて、ヨーロッパ中からユダヤ人をかき集めて600万人ともいわれる犠牲者を出したホロコーストに帰結してしまいました。
ホロコーストを行ったそのヒトラーは、著作『わが闘争』(1923年)の中で、20世紀の米国のレイシズム政策を非常に高く評価して、それを参考にして断種法やニュルンベルク法を制定したことがわかっています。

ですので、第二次世界大戦後、世界はナチスドイツと同様のレイシズム政策を行っていたらひどいことになる、と認識し始めるわけです。その辺は、3章に書いてあるらしいですが…。本日はここまでにいたします。

みなさま、おやすみなさい♪

■本日の一冊:『レイシズムとは何か』(梁英聖/ちくま新書)

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