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【本】『おちび』(エドワード・ケアリー,古屋 美登里 (翻訳)/東京創元社)#2

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

先日、こちらでご紹介した『おちび』をようやっと読み終えました♪ 

久々に一気読みをしました。「読まずには、他のことが出来ない!」とまで思える物語に出会えたのは久しぶりです。

時代は、フランス革命の少し前。
のちにロンドンで「マダム・タッソーの蝋人形館」を開く女の子の半生を描く物語です。ある意味「芸は身を助く」な話でもあります。

「おちび」と呼ばれる女の子は、幼いうちに身寄りを無くして、蝋で人間の臓器を模写する仕事をしていたクルティウス先生のもとで助手として暮らしはじめます。知らないことばかりでしたが、「おちび」は一生懸命学びます。

あるときクルティウス先生が、試しに「おちび」の顔を模写したところ、その出来上がりを見た人が、自分の顔の模写も作って欲しい…と、どんどん注文が来るようになりました。

やがて二人はパリに出て、蝋人形館を開くようになるのですが…。

「おちび」の半生が悲しく辛いことばかりで、目が離せなくなったこともあり、読み終えたときには、ほとんど全部歴史的事実だと信じかけていました。
ところが、訳者あとがきに「本書はあくまでもケアリーの作り上げたフィクションである」とあったので、びっくりするとともに、どこからがフィクションで、どこまでがノンフィクションなのか、知りたくなりました。

ちょうど、「マリー・タッソー」のWikiがありました。これによると、感覚的には物語のおよそ8割がノンフィクションというところでしょうか。

そして私が一番気になっていたのは、マダム・タッソーが本当にルイ16世の暮らしぶりを知っているかどうか? でした。

以前、マダム・タッソーの館でルイ16世の一家の蝋人形を観たことがあるのですが、他の見学者達が、その姿を観ながら、処刑されたことを哀れがっていたのです。

この本を読んで、見る人が深く哀れんだのは、マダム・タッソーが、ルイ16世とその家族の人となりをよく知っていて、そのおかげでリアルな蝋人形になったと考えたいところです。

Wikiによると、マリー・タッソーは、ルイ16世の妹であるエリザベート王女の蝋人形教師として、実際にヴェルサイユ宮殿に暮らしていたそうです。ならばきっと、じかにルイ16世とその家族に会うこともあったでしょう。

小さなことなんですが、それが確認できて、なんだかホッとしました。

■本日の一冊:『おちび』(エドワード・ケアリー,古屋 美登里 (翻訳)/東京創元社)

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