【本】『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール、柳瀬尚紀/評論社)
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
今日は、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』を読みました。
ちょっと前に映画になっていましたよね。シザーハンズの人が主役で…ええと…
そうそう、2005年に日本公開の映画で、ティム・バートン監督の作品だから! というので観に行ったのを覚えています。その原作である本書は1964年の作品で、面白さは不変と思いますが、今読むとあれっ!?と思うところもところどころあります。今日はその辺をまとめます。
〇テレビVS本
この物語では、テレビがひどく嫌われています。
読書好きとしては、時間を奪うテレビを嫌うのは、まぁ正直、納得しますね。でも1964年の時点のテレビは、今だとスマホとかインターネットに当たるかもしれません。テレビスキーという悪い子の名前が、スマホスキーに変更になるのかもしれません。
〇ウンパッパ・ルンパッパという名前
訳者が後ろで書いていますが、ブラスバンドみたいに、ぷかぷかどんどんという擬音だそうです。
「ウンパッパ」っていう歌を小学校?中学校?の音楽で習ったことがありす。ウンパッパって何なのよー! ってみんなで首をかしげながら歌ったのでよく覚えています。
♪胸に願いを 込めて歌えば 広場で街で公園で
楽しい歌が いつも聞こえる みんなで夢を歌い出す♪
…だったかな?
♪ウンパッパ、ウンパッパ、誰でも、
ウンパッパ、ウンパッパ、知っている
君と僕とは友達さ、そうさ、ウンパッパ♪
音楽の時間は、こういった「気恥ずかしい」歌を歌わなきゃいけないという困惑で結構記憶に焼き付いているんですよね。
「君と僕とは友達さ」って一一君の前でわざわざ歌って聞かせる状況なの!? 私だけが多感だったのかなんだったのか、確かめる術はありません。
〇ウンパッパ・ルンパッパ人の故郷での不遇
彼らはジャングルの中で、どう猛な獣に脅かされながら、木の上の家に住んで大好きなカカオ豆は滅多に食べられず、毛虫を調理して食べて暮らしていた。そこを、チョコレート工場のワンカ氏が、イギリスに連れてきたんですね。
〇チャーリーの家
主人公のチャーリーの家は貧乏で、父方の祖父祖母、母方の祖父祖母、両親とチャーリーの六人で、あばら家の一軒家に暮らしています。挿絵を見るとそんな感じ。きっと当時は高層ビルの方がゴージャスだったはず。でも、いまどきなら、一軒家暮らしのほうがゴージャスですよね。
お父さんの稼ぎが足りなくて貧乏こじらせているチャーリーの家です。そういう社会の構造も真正面から描くところがロアルドダールなのかも。
〇小間物屋のおやじの優しさ
うっかり「小間物屋」と書きましたが、どういう店かは本文で、「新聞や文房具その他雑多なものを売っていて、キャンディーやたばこも」…これって今ならコンビニで、少し前ならドラッグストアですね。
チャーリーは店で板チョコを買うとおつりを受け取るまえに、むさぼり食います。それを見た店の主人の優しい言葉がこれです
「そんなにそれが食べたかったのかい、坊や」
さらに、チャーリーが二枚目に買った板チョコから、皆が手に入れたがっていた「黄切符」をみつけると大人たちが売ってくれとすり寄ってきます。
そんな中、店のおやじは「いいかげんにしないか!」と大人たちをたしなめ、チャーリーをかばいます。そして別れ際にこんなことをいいます
「じつを言うとな(中略)きみにはぜひとも、こんないいことがあればと思ってたよ。当たって、ほんとによかった。幸運を祈るぜ、坊や」
まともな大人もちょっといないと子供向けの物語はうまくすすみませんね。
〇訳者あとがき
登場人物たちの名前を翻訳した根拠についてとても面白いことが書いてあります。そして、続編に『ガラスの大エレベーター』があるようです。読んでみたいです。
■本日の一冊:『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール、柳瀬尚紀/評論社)
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