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【本】「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門 (小林真大/小鳥遊書房) #4

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

今日は『「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門』の四章、イデオロギー批評に関する章のまとめをお送りします。序章(文学批評の型)、一章(作家論と近代文学批評の誕生)、二章(ニュークリティシズム)、三章(構造主義)と読み進めております。

そういえば、河出書房新社の池澤夏樹=個人編集の世界文学全集は、二つの文化や思想などに挟まれて、困難な人生を送っている人の話が多いように思っていたのですが、四章を読んで、そうか、これがコロニアル批評ということなんだなぁと、腑に落ちました。

なんとなく部分的に聞きかじったことにある文学批評のそれぞれのタイプが、前の批評タイプを批判する形で生まれて一世を風靡して、別のものにとってかわられてゆく歴史を見てゆくことができるので『「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門 』は、とても面白いです。よろしかったらぜひ読んでみてください。

ではまとめに入ります。()内はまとめている時の私の考えたことです。

■第四章 言葉には「声」がある イデオロギー批評の逆襲

〇はじめに
構造主義の言語観に反発したバフチン『マルクス主義と言語哲学』(1929)は、言語はいつも社会的なイデオロギーに影響されていると考えた。

〇マルクス主義ーイデオロギー批評の古典

〇マルクス主義批評の停滞
 (…こんな硬直した原則で文学を眺めていたら、停滞するのも当たり前ですよね‥)
 1.経済決定論 作家の社会階級がすべて!
  (…それは「作家論」への退化に思えます…)
 2.階級主義 すべての政治的対立を階級闘争の反映と見なす
 3.支配的イデオロギー論 支配階級のイデオロギーだけが文学作品の中に見出せるという考え

〇マルクスからポスト・マルクスへ
 (…ソ連の外では、硬直したマルクス主義をリニューアルする試みが続々と…)
 フランスのルイ・アルチュセール
 アルゼンチンのエルネスト・ラクラウとベルギーのシャンタル・ムフ
 批評家のイーグルトンは「支配的イデオロギー論」に疑問

〇フェミニズム批評
 1960年代以降のマルクス主義批評は、さまざまな方向へと大きく発展する
 注目すべきは労働者階級ばかりではない!
 それぞれのアイデンティティーに絡めた取り組みがはじまる

〇ポストコロニアル批評
 フェミニズム批評が「女性」なら、「民族」という視点から文学作品のイデオロギーに注目する批評もある

〇イデオロギー批評の現在と問題点
 イデオロギー批評の当事者が、問題を指摘した作品を書いたとして、それはあくまでも個人的な体験の表現であり、それが誤った固定観念を広める恐れもある。
 本質主義(ジェンダー、民族、人権という性質を固定したものと考える)に異議を唱える、本質主義批判の運動もある。
 それはこれまでの批評に対して、「本質主義」を強化する者として否定されてしまう。
 …これらの決着はまだついていない。

■本日の一冊:『「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門 』(小林真大/小鳥遊書房)

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