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アーマード・コア マスターオブアリーナ (ACMoA)対戦環境に関する自分なりの理解 ~デビガンと向き合おう編~

前回記事では多くの反応をいただきありがとうございました。これで初代シリーズの対戦に参入してくれる人が増えると良いな…。

私自身、対戦はプロジェクトファンタズマを中心にプレイしていて、MoAは知識としてそれなりに知っているけど対戦経験があまりない、という感じでした。大会を機にMoAの対戦をちょいちょい触るようになって多少分かってきた部分もあるので対戦環境に関して自分なりの理解を、特にデビガンへの憎しみを吐き出しながら書いておこうかと思います。


MoAって”デビガン”ゲー?

MoAの対戦環境について少しでも調べたことがある人は「MoAはデビガンが最強アセン」というような記述を目にしたことが多いと思います。

補足:デビガン
必要最低限の武装以外はゴリゴリに装甲を盛った軽量2脚アセン。
LN-2KZ-SP(軽量2脚、通称「カラス足」)にEサブやHG1+月光等などの強力な武器持たせ、腕部に重量腕部をつけて装甲を確保したアセン。
本来トレードオフであるはずの装甲と機動力を両立してしまう悪いヤツ。

デビルなヤツら

APが低いという明確な弱点があるため完全無欠の最強アセンというわけではないのですが、あまりにMoAの環境・システムと噛み合いが良すぎるため色々な理由から『ほとんどの場面でデビガンが最適解になる』のではないかな~~~と感じています。MoAの対戦環境でなぜデビガンが最適解になっているのか、自分の理解をざっくり整理してみました。

★以下はあくまで「私見」なので鵜呑みにするのはほどほどに★

理由①:足切り武器と化している強武器たち

MoAを語る上ではずせないのが代表的な強武器の「WG-MG500/E(通称「Eサブ」)」と「WG-HG1」でしょう。こいつらが一定の条件を満たしていないアセンに対して異様なまでの凶暴性を発揮してしまうため、デビガン以外のアセンを駆逐してしまっているのではないかと考えています。

WG-MG500/E(Eサブ)
超弾速の軸無視攻撃が最速のリロード1で飛んでくるという邪悪な武器。

EN使うからってその攻撃性能は許されるんですか!?

攻撃力・命中率があまりに高すぎる。
変にいろんな武器持っていくより、この武器握って前に出てぶっ放したほうがダメージレースで勝てちゃうことも。EN防御が低く回避力の乏しい脚部(中量2脚、逆関節など)は一瞬でAPが持っていかれるため、この辺の脚部を選択を奪っているような気がします。サイトが狭めなこと、発射にENをドカ食いすること、別のイカれ武器HG1が存在していることでギリギリ許されている感はありますが、要求される技術が他の武器に比べて格段に低いわりに強力すぎるように感じます。

なお、この武器の回避には軽量2脚の踊り(左右平行移動を高速に交互入力するテク)が有効です。つまり、軽量2脚でEN防御が高いカラス足を選ぶべきでしょうね!

WG-HG1
無効化不可能な高い衝撃値を持ち、あらゆる機体を固め(※)られちゃう邪悪な武器。
(※)固め:衝撃武器で相手を硬直させ続けてハメること

一生スタッガー状態にするような悪いヤツ

衝撃値があまりに高すぎる。
無効化できない衝撃値のため殆どの機体に固めが成立してしまいます。固めたあとはだいたい空中月光がオマケでついてくるので大ダメージは必至でしょう。月光が当たらなかったとしても、この武器の攻撃力が高めなのも厄介なところ。
安定性を上げることで固め抜けしやすくなるのでアセンレベルの対処はある程度は可能ですが、安定性の低い脚部(中2、カラス以外の軽2、四脚など)や地上での動き出しが遅い脚部(重2など)は脱出が難しく、死ぬまで固め続けられるなんてこともありえます。

なお、安定性が高いカラス足はこの武器の被弾硬直を最小の1フレームまで短縮できるため固めからの脱出が他に比べてやりやすいです。つまり、カラス足を選ぶべきでしょうね!

……と、こんな感じに2大強武器に対抗し得る脚部がカラス足しか存在せず、この2つの武器を意識した瞬間に選択肢がグッと絞られてしまうわけです。片方だけなら比較的簡単にメタれるのに両方となると両立が非常に難しい。
MoAより遥か未来のゲームで言われる「それ●●見れんの?」という呪いは大昔からあったということですね。

理由②:個性あふれる狭いマップたち

「いうてEサブもHG1も短射程武器だし距離取って戦えば良いんじゃなーい?」と思われる方は多いと思います。事実、装甲特化のデビガンとなると基本的には肩に装備を付けないor付けられたとしても小ミサや機雷といった軽量武器程度なので、中距離以遠の対応力はそこまで高くありません。
開所マップ+アウトレンジ戦法なんかで対処できる可能性があるのですが、MoAではアウトレンジ戦法が成立しないような狭いマップが比較的多めなのが話をややこしくしてきます。

【参考】K-2nd 『対戦ステージ』
https://k-2nd.sakura.ne.jp/ac/report/vs_stage/index.html

MoAの対戦マップは20マップありますが、そのうち大体7マップは閉所ないし距離を取りにくいマップです。大会ルールではホーム・アウェイ制を採用しているため必ず1回は有利マップで戦えますが、3戦目のランダム等でこれらのマップを引く可能性が大いにあります。

色とりどりの狭いマップ
 流氷:空は広いが着地できる場所が少なく距離を取りにくい
 地下駐車場:天井がバカ低い
 廃棄物処理場:狭くて天井も低い
 宇宙ドーム:閉所の中では比較的広めだが屋外に比べると狭い
 海底ドーム:同上
 仮想空間:天井が低い。床を割るとACぶっ殺しゾーンがある
 下水施設:メインフロアが狭い。狭い小部屋や通路もあるよ

仮想空間
この間取り…何か変…

狭い・天井が低いマップではアウトレンジ戦法自体がそもそも成り立たなくなる可能性が非常に高く、近距離での殴り合いを強いられることも少なくありません。そうなると機能しなくなる可能性があるミサイル、遠距離武器、レーダーなどを積むより殴り合いで有利になれる装甲を盛ったほうがよくね?という発想になりがちです。
ランダム1/3の確率で狭いマップを引く可能性があるのにミサイラーを選択できますか?と問われると少し考えちゃいますよね。

理由③:強すぎるフレームパワー

前回記事でも記載したとおり、ダメージ係数は低ければ低いほど耐久力が上がるのですが、代表的な8085デビガン(アセンシミュリンク)の実弾ダメージ係数は10です。これは重量腕部(notドラム腕)をつけた重2並みの防御力で、重2並みの防御力と軽量2脚の回避力を両立したモンスターが実現しちゃってるわけです。しかも単に防御力と回避力があるだけでなく理由①で挙げた強武器を引っ提げてくるわけで火力も十分に高い。

ちなみに、前回記事でもあげましたが、ダメージ係数と被ダメージの関係は下表のようになっています。

ダメージ係数表

8085デビガン(実弾係数10)軽量腕で組んだ武装重視の中2(実弾係数20)ではダメージが2倍違うので同じ武器で撃ち合ったらほぼ確実に撃ち負けます。ミサイルなんかで対抗しようにも決定打になりにくく、何ならガン無視して突撃してくる始末。

個人的には係数が実弾15/EN15ぐらいのドラム腕じゃない重量腕部をつけたデビガンは全然許容範囲だなと思ってるのですが、ドラム腕を付けた実弾10/EN16や実弾12/EN13のデビガンはあまりに防御が高すぎませんか?という気がしてます。係数15と係数10ではざっくりダメージ1.5倍差だしね……。小ミサ一発当てて80ダメちょっとしか出ないのは切なすぎる。

理由④:2P補正も取りやすいよ

前回記事ではあまり触れませんでしたが、初代シリーズには『2P補正』という超特殊な仕様があり、不平等な状態での対戦が強いられます

2P補正【つーぴーほせい/にぴーせほせい】:仕様

対戦(分割対戦、通信対戦、アリーナ全て)で2P側はFCS補正が強まっているという仕様。さらに略して”補正”とも呼ぶ。
厳密には射撃予測位置が2Pは正確なのに対して、1Pは1フレームだけ前のベクトルを元にした予測位置(現在の予測位置ではなく1フレーム前の予測位置)を狙うことによって命中率に差が出る。1フレームのズレだけならほとんど影響は無かったんだけど、射撃が1フレーム遅れる軸武器と合わさって2フレームの遅れとなることで機体の速度によっては着弾地点から機体の当たり判定が完全に離脱出来てしまう。結果として1Pは弾を当てにくく2Pは弾を当てやすくなる(1Pは弾を避けにくく2Pは避けやすくなる)。

K-2nd 『初代アーマード・コア用語集:つ』より一部抜粋
https://k-2nd.sakura.ne.jp/ac/glo/ta_tu.html

要するに、2P側になったプレイヤーが予測射撃精度で有利になるという仕様だかバグだか分からないイカれた仕様?バグ?なのですが、どちらが2P側になるかは機体パーツ数(少ないほど2Pになりやすい)とPlay Station本体のコンディションが影響してきます。
(※)エミュレータ環境ではパーツ数によってほぼ振れ幅無しで1P2Pが決まるが、PS実機環境では本体コンディションによってかなりの振れ幅がある

で、デビガンは肩武装を積まないことが多いため、2P補正を取りやすい機体構成なんですよね。ミサイルなどで多武装化する場合は1P側になる覚悟が必要でしょう。いくらPS本体のコンディション差が影響するとはいえ、Eサブ単装のデビガンと武器全積みの機体ではほとんどがEサブデビガンが2Pになるのではないかなと思います。

多発するミラーマッチと2P補正

デビガンにはそうしたシステム面で優位性があるため、大会はデビガンないしカラス足のアセンが大部分を占めるのではないか、というのが個人的な読みです。それで、厄介になってくるのが2P補正の存在です。

デビガン環境になればなるほどパーツに多少の差異はあれどほぼ同じアセン・コンセプトのミラーマッチが多発するのでは、と危惧しています。同一の装備・勝ち筋で勝利を目指すため2P補正の有無がめちゃくちゃ有利・不利に影響し、純粋なプレイヤー同士の技術勝負が成り立たたない、というのがこのゲームの厄介な部分ではないでしょうか

異なるコンセプトのアセンが相手なら、試合運びや立ち回りを変えるとかで対処できないこともないかな~~~なんて思ったりしますが、ミラーマッチだと『2P補正ないから負けた』という気持ちが一瞬沸いてこないでもないのが辛いところですね。
初代~MoAまで2P補正の原理と影響は変わらないはずなのですが、「MoAはPPより2P補正が強い」と一部で言われている原因はこういったゲームバランスの偏りからくる部分もちょっとあるのではないかな、なんて思ったり。

先人たちはそうした部分も乗り越えてきているはずなので、現在はなるべく1P側になるアセンを組んで練習するようにしています。2P補正の現実から逃げるな……。

余談
PPでも同様に2P補正があるのですが、制限レギュのPPはMoAのデビガンのように突出した強さを持つアセンがないためアセンが多彩です。ミラーマッチが発生しにくいですし、2Pになるため射撃武器1本にするというような新たなコンセプトを生んでいたりするので個人的にはPPの2P補正は許容範囲というか、むしろ肯定派ぐらいな感じです。それはそれで歪なバランスだよねと言われれば、それはそう。

2P補正の影響については、以下の記事で実戦的な戦闘シーンも踏まえて整理されていて面白いので興味があればぜひ。個人的にも大枠として同意できる内容だと思っています。

でもアーマード・コアらしさを楽しみたいよね

デビガンが強いというのは頭で理解していても、自分のこだわりのある武器を使いたくなるのがアーマード・コア。MoAの対戦環境はまだまだ研究の余地があると思っていて、実際に大会はデビガンまみれになるのか、新機軸のアセンが登場してデビガンを駆逐することになるのかはまだ分かりません。

個人的には中ミサに可能性を感じているので大会までに仕上げたいなという気持ちもあり。でもデビガンに轢き殺されて辛いという気持ちもあり。いろいろと試行錯誤してる最中です。

この機体がすごく楽しい

大会を機に対戦が活性化して環境の理解も進むでしょうし、知見をアップデートしていきながら大会に備えたいところですね。

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初代シリーズはいにしえのゲームなので当然ネット対戦なんてものは実装されておらず、今から対戦に参入するのはとてもハードルの高いものと思います。

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