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ちいさな物語

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#素敵なnoterさん

僕の相棒 【#シロクマ文芸部 】

一冊の本を埋める。 でもまたすぐに僕の元へ帰ってくる。 そう。 帰ってくるには理由があるんだ。 * 友達のいない僕を心配したじいちゃんが ある日僕に一冊の本をくれた。 外から見るとただの分厚い本に見えるが実際には中は真っ白で どのページにも何も書かれていないようだった。 大好きなじいちゃんからもらったことが嬉しくて 僕は早速この本に自分の名前を書いた。 じいちゃんがなぜ僕にこの本をくれたのかはわからないが とりあえず僕はこの本に僕の平凡な日常を書くことにした。 *

栄養満点 【#シロクマ文芸部 】

手渡されたのは光る種。 けれどあまりの輝きに目を開けていられないので よくわからないままとにかくすぐに土に埋めた。 これでよし。 何の種なのかはわらないけれど 成長して答えがわかるのが楽しみだ。 しかしいくら待っても 光る種からは芽が出てこない。 ちゃんと土に埋めて水やりもした。 けれど一向に芽が出る気配がない。 土…じゃなかったのかな? 私は光る種を土から取り出し 今度は水耕栽培のように水につけてみることにした。 根っこはないけど。たぶん大丈夫だと思う。 これ

マイルール 【#シロクマ文芸部 】

これが日記を書く時の私のマイルール… といっても、実はそんなに大した意味はないんだけど。 特に赤青鉛筆が好きだったわけじゃない。 実家に帰省した時、自分の部屋の机の引き出しに たまたまこの赤青鉛筆が眠っていたのを見つけた。 それでなんとなく連れて帰ってきた、というだけ。 ただそれだけのことだ。 でもそんな赤青鉛筆を 愛おしそうな目で見つめる人がいる。 私には付き合っている彼がいる。 私が日記を書く時、なぜか彼はいつも にこにこしながらこちらを見ている。 それがずっと気

【絵本】 「かわいい助っ人」

今日初めて知ったのですが 毎年11月30日は「絵本の日」なんだそうですね。 そうなんです。まさに今日! というわけで本日は、ちょうど出来上がった絵本(ねじり的)を 投稿させていただきたいと思います。 おふたりさんとトットさんのお話です。 では物語のはじまりはじまり~。 *** 「トットさん最近来ないねぇ」 「どうしたんだろうねぇ…」 おふたりさんはこのところ元気がありません。 どうやら最近おふたりさんのところに 仲良しのトットさんが遊びに来ていないそうなのです。 「

眼鏡猫【こびと部公式応援企画】

あるところに「眼鏡猫」と呼ばれる猫がいた。 眼鏡をかけて本を読む姿は どんな者よりもしっくりくるそうな。 この猫がかけている眼鏡はそもそもは飼い主のものだが 猫はこれをとても気に入っており、その眼鏡をよく盗んでは 自分の方がよっぽどかけているという始末である。 そして飼い主が眼鏡がないと探していても全くお構いなしで 「おやおや」といった顔ですましている。 ここでは「眼鏡が見つからない時は猫を疑え」なのだ。 今日も眼鏡猫はいつもの様に主から眼鏡を盗んだ。 それを背中に背負

タコさんウインナーからのお願い

* 最近タコさんウィンナーを昔より見かけない気がする。 残念なことに僕らの仲間は減っているらしい。 これは僕らが昔からずっと心配していたことだ。 僕らは食べられることを怖がってなんかいない。 その理由はシンプル。 僕らは食べられてもまた何度でも 「タコさんウインナー」としての命をもらえるから。 実は僕らタコさんウインナーは 生まれてから消えるまでの記憶が全て頭の中に残る。 一度消えてもまた新しく生まれれば 以前の記憶はそのままそっくり引き継がれるんだ。 だから僕らは、前

「冷やしココア」の楽しみ方

最近おふたりさんから 「冷やしココア」という言葉をよく聞く。 聞いてもふたりは「ふふふ」と笑うだけ。 これはまた秘密の行きつけのお店のパターンだな、と 私は秘かに思っている。 よし。それなら調査開始だ! お。きたきた、この会話! 最近このワードが多めのおふたりさん。 けれど私はまだその「冷やしココア」なるものを飲んでいない。 なのにおふたりさんったら、もう何度もそちらを 美味しくいただいているらしい。 今日こそはふたりの後をつけて 私も一緒に冷やしココアを注文するんだから

優しい境界【ひと色展】

僕はここに来てから ずっと俯いていた やっとのことで取れた休み なんとか気分を変えたくて 海の見える場所まで来てみた けれど僕はずっと顔を伏せたまま 海を見る余裕もない 忙しい毎日に僕の心と体は 疲れきっていた ここに来たって 海なんか何も見ていない ただ下ばかり見ていた もういい加減 疲れたよ 何もかも めちゃくちゃだ つらいよ… つらい… 僕はもう限界だった どうしたの? 泣いてるの? どこか痛いの? 君は… どうしたの? 泣いてるの? どこか痛いの? ご

ふたりだけの秘密【ひと色展】

一緒に遊ぼう? 今日から夏休みって聞いたの だからね 一緒に遊ぼう? 夏休み初日 青空の下 涼しげなワンピースを着た彼女が突然 僕の目の前に現れた 君は誰? どこから来たの? 彼女の爽やかな笑顔は その場に漂う熱い空気を ほいっと 静めてくれるようだった それにほんのちょっぴり 息もしやすい気がする 何をして遊びたいの? ふふっ 彼女が笑うと そよ風が吹く ほんのり涼しいそよ風 心地いいなぁ えーっとね かけっこ! そう言って急に めいっぱい駆け出す彼女 おい

「Bakery~若草~」

「お店ここだって」 「着いた着いた~!」 ここは四姉妹が営んでいるという とっても美味しいと評判のパン屋さんだ。 その名も「Bakery~若草~」 ここの一番人気は「焼きそばパン」らしい。 四姉妹の、特に次女の料理の腕がすごいとかで その焼きそばパンを生み親なんだそうだ。 ここの焼きそばパンを一口食べたらもう他では食べられなくなる… そんな噂が広まっていた。 地元で知らない人はいない上に 最近では県外からの客も多いという。 …って、その県外からの客ってのが僕なんだけど。

猫田質店

「喉…乾いた……」 私は今、猛烈に喉が渇いている。 うぅ…それにしても 今日の暑さはあまりに酷い… 何か冷たいものでもぐびっと飲まないと無理。 誰か助けて…ん? あれはなに? 意識が朦朧としている中、私の目に飛び込んできたのは 猫の印が入った看板。 うーん、けどぼんやりとしか見えない。 でもなんだかいい匂いがする…気がする… これはカフェか何かではないだろうか。 あ〜もう暑くてしょうがない。 これは入るしかない! お店をよく確認することはできなかったが 「ここには何か素

ドレスコードはご存知で??(こびとだより)

みなさん、クリスマスは楽しく過ごせましたでしょうか? ねじりはおふたりさんとお家でのんびりしておりました。 あ!そういえばなんと、あの方からこびと部宛に こちらのクリスマスカードが届いたんですよ! コーチョレホトットさんからのクリスマスカードです♬ この中にはある秘密が書かれていましてね。 そう。それは…「秘密のドア」について。 (この秘密のドア、普段は煩悩がないと通れる…ということらしい。) しかし今回はどうやら、大晦日にある事をすると いつもは通れない秘密のドア

「涙キャンディ」

ジュンちゃんは泣いていました。 よく泣いていました。 ジュンちゃん、今まで色んなことがあったのでしょう。 これからだってあるかもしれません。 別に悲しいだけが涙ではありません。 嬉しい涙、悔し涙、淋しい涙、不安の涙、笑い涙… そう。涙にも色んな涙があります。 その涙をね、おふたりさんはせっせと集めていました。 毎回カップを持って行っては こぼれ落ちる涙をすかさずキャッチ。 これが結構大変な作業なんです。 もちろんキャッチするのが難しいってこともあるけれど

「クリスマスクルーズ」へようこそ!

ミムコさんに作っていただきました~!やった~! 皆さんお気づきになりましたでしょうか? この素晴らしいヘッダー画像! こちらは提供写真から作ってくださったミムコさん作コラージュ作品です! しかもしかも… 「ねじり号のクリスマスクルーズ」なんですって! んもう~ミムコさん最高です♪ でね、ねじりはそのコラージュ作品から ある物語を書いてみました。 もしよかったら読んでいただけると嬉しいです。 *** 「ねじり号クリスマスクルーズ」 今日はクリスマス。 威勢のいい声がとび