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ちいさな物語

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2024年1月の記事一覧

手の冷たいひとがいました 僕はそのひとに僕の手袋をあげました するとそのひとは僕に 自分のマフラーを巻いてくれました 僕の頭に小鳥がとまりました その小鳥は寒さで震えていました 僕は小鳥に自分の帽子をあげました すると小鳥は歌を歌ってくれました そうしてみんな温かくなりました

スタート #シロクマ文芸部

布団からテーブルから何から何までなくなった部屋に わたしは一人ぽつんと立っていた。 あの布団もあのテーブルもここにあったもの全て 探して探してようやく出会ったお気に入りのものたちだった。 お気に入りのものたちに守られた「囲いの中」は それは居心地がよかった。 誰にも自分を傷つけられることもなく ここにいるみんなに守られているようで ずっとここにいられたらいいのにと思っていた。 けれどこれからの暮らしにはどれもこれも すべてが小さすぎた。 わたしを守ってくれていたこの部

雨化粧 #シロクマ文芸部

雪化粧があるなら雨化粧もあるの? 妹が僕に聞きました。 聞いたことがないなぁと答えると 妹はそれって変よねと言います。 何でもそういうことってあるだろ? これはあるけどこっちはない、とかさ。 すると妹は「そういうのがいやなの」と 怪訝な顔をしました。 雪化粧があってなぜ雨化粧はないのか。 もちろん僕にはそんなことわかりません。 でもそもそも雪化粧とは雪による白さで 化粧をしたように景色ががらっと変わることをいうわけで。 だから僕は、雨は雪みたいに白くもないし何も変わらな

本物ではないけれど

ある日のこと。 おふたりさんが突然こんなことを言ってきた。 「ねじちゃん。私たち、恵比寿さんになりたいの」 どうやらまたどこかで影響を受けてきたらしい。恵比寿さん…あぁなるほど。七福神だね。でもなんで恵比寿さまなんだろう? 「あのね、鯛を抱えたいの」 鯛?たしかに恵比寿さまは釣竿と鯛を持っていた気がするけど。 「だからねじちゃんにね、メインの鯛と恵比寿さんっぽい服を用意して欲しいの」 おやおや難しい注文がきたぞ。まぁでもふたりの頼みならしょうがない。可愛いふたりの

連想パワー #シロクマ文芸部

新しいは、ぴかぴか。 ぴかぴかは、光。 光は、照らす。 照らすは、太陽。 太陽は、エネルギー。 エネルギーは、僕たちのパワーの源。 エネルギーよ 必要としているみんなのもとへ 今こそ届け。 【おしまい】 *** 今週のシロクマ文芸部でした🐨