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上流家庭の話

たった今、奥さんとの家飲みが終了しました。僕は左のアルコール9%のほうを飲んだので、今ぐらんぐらんしています。

片付けるのは僕なのですが、いつも気になることがありまして。奥さんの空き缶だけ、空き缶じゃないのです。意味わかんないと思うんですけど、いつもちょっと中身が残ってんの。缶を振ってみると、チャポチャポと音がします。「まだ残ってるよ、もったいないよ」とひとこと申し上げ、ブツブツ言われながら「最後のひとすすり」をしてもらうのです。

突然ですが僕は上流家庭で育ちました。母ちゃんが女手ひとつ、裸電球のアパートで教えてくれたのは「飲み物の最後は全力ですすれ」でした。飲み物をぐいぐいと飲み干した、と思っても油断することなく、器の角度は地面と90°、垂直にすする。ストローなら視認できるしずくを次々と狙い撃ち、ストロー内の空気と飲み物の割合が10:0になるまですする。「ズズ、ズズズー」は上流家庭のたしなみ、そう教わりました。

な、もんですから奥さんの空き缶のチャポチャポが気になるのです。

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