"Netflix世代の象徴" FUNLETTERSが送る怠惰と愛のベッドルームポップ 『PRAY』(2019)
ライター:しばけん
今回紹介するのは、agehaspringsが主催するレーベル「agehasprings Tracks」からリリースされている期待のエレクトロポップユニット FUNLETTERSのPRAY。
まず、agehaspringsは玉井健二、蔦屋好位置といった有名プロデューサーが数多く在籍するチームです。
そのagehaspringsが主催するレーベルから音源が出てるということは、間違いないです。それだけでも充分なお墨付き。
FUNLETTERSはトラックメイカー・コンポーザーのNew Kと女性ボーカルのChami.からなる山梨発のユニットです。
自身の音楽性を「Netflixとジャンクフードに捧ぐ、怠惰と愛のベッドルームポップ」と自称しています。めちゃくちゃ時代感があるフレーズだと思います。
「Netflixとジャンクフード」、この2つのコンテンツのようにFUNLETTERSの音楽もいつでもどこでも誰でも楽しめますし、かつクオリティが高いと思います。そして、怠惰≒現代の若者 に捧ぐベッドルーム(このベッドルームというのは自分の部屋だけじゃなくて、スマホの画面、PC画面、SNSアカウントのような自分だけの部屋かもしれません。)ポップというのが良いですよね。しかも、「愛」を忘れていない。人を見捨ててないしどこか信じているような気がします。
このアルバムは上記のように、いつどこで聞いても違和感が無いです。
深夜でも早朝でも昼でも。薄暗い部屋の中でも、日光が差し込む電車の中でも。なぜなら、それはFUNLETTERSの楽曲がこの時代そのものだからだと思います。上がりすぎないし、下がりすぎない。
そして、ところどころで生活感のあるフレーズがキャッチーなメロディと共に使われているのが特徴的です。誰でも愛着がある、身近なモノや言葉を使っています。そんな言葉たちがベッドルームポップの浮遊感と相まって生まれる違和感に心地よさがある気がします。生活感と浮遊感の対比は、それこそ現実とNetflixの対比にも感じます。
1.Untouchable
「朝食は食べてますか?」
このフレーズがキャッチーでアルバムの1曲目にふさわしい曲。
この言葉に込められた意味をずっと考えさせられるような感覚になります。誰に宛てた言葉なのかは聞いた人それぞれですね。
ギターっぽい音がめちゃくちゃ良いアクセント。
2.染みの付いたシャツ
クラブDJのように1曲目からそのままつながる形でこの曲に入ります 。耳の中はもうダンスフロア。
ここでは「染みの付いたシャツ」という生活感のあるフレーズがずっとリフレインします。この染みは一体なんなのか、これまた聞いた人それぞれですね。ちなみに自分はラーメンのスープとかかな、THE 学生。
5.幸あれ
これなんかもホントに現代の若者って感じです。
みんなそれぞれの幸せがあるから強要すんな、って感じですね。インドアもアウトドアもそれそれ良さがあるよね。
イントロのフレーズが心地良い。ここでもギターっぽい音が良いアクセント。
7.California
自分はカリフォルニアには行ったことが無いけど、見たこと聞いたことはたくさんあります。多分FUNLETTERSのお2人もそうなんだと思います。
8.ロマン思考
アルバム最後の曲。
切なくて儚いアルペジオが印象的。このアルバムの残響。
あと、全体的に音がめちゃくちゃ好みです。打ち込み系が好きなら必聴。
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