民放キー局が今秋から同時ネット配信へ
今日のネット記事で見かけたのだが、今秋から民放キー5局がテレビ番組をインターネットで同時配信するとのこと。この3月から先行しているNHKに追随して、との記載も見かけた。
若い世代のテレビ離れがよく叫ばれるが、データを拾ってみたので記載しておくと、20代の1日のメディア利用時間は、テレビからネットへと移行が加速している。
テレビ:120分から112分へ
ネット:112分から155分へ
(総務省調べ:12-16年情報通信メディア利用時間調査より)
視聴者が減れば広告スポンサー離れが加速していく。ましてや若者向けの商品を取り扱っている企業は当然ながらネット広告に投資した方が良いと考えるようになる。メディア別の広告費もすでにテレビとネットでほぼ同規模になっている。
地上波テレビ広告費(1兆7848億円)
ネット広告費(1兆7589億円)
電通発表「18年の日本の広告費」
そうした状況を踏まえて、テレビ局各社もネット配信に舵を切り、2006年から広告代理店4社と共同でTVerを開始していた訳だが、いよいよこの秋から、同時配信に踏み切む、ということらしい。
ただしこれがそんなに上手くいくだろうか?ユーザーはスマホというデバイスが登場したから単純にテレビを見なくなった、というより、テレビ番組のコンテンツとしての魅力度が相対的に弱まったからその結果としてスマホを見ているのであり、単にデバイスだけ乗り換えているという訳ではないからだ。
仮に、テレビ局が今までと同じ番組をただスマホ向けに配信開始しました、というだけでは、この取組みは全く上手くいかないだろう。何より、5社共同で運営しているTVerで配信していくという時点(報道によると)で、各社固有の施策が取りづらくなるし、プラットフォームへの機能追加や運営面での機動的な動きは取りづらいだろう。加えて、アマゾンやNetflixといった巨大動画プラットフォーマーが巨額予算を投じて制作する番組に果たして勝てるだろうか?
もちろん、一部の番組では人気コンテンツ化することもあるだろうが、総じてネットコンテンツの自由な競争環境のもとで高い視聴シェアを獲得することができるだろうか?
今までのように放送法という傘の下で守られ、グローバル競争がない環境下で高い利用時間シェアを維持していた各社が、今までと同じような作り方でコンテンツを作る限り、厳しい戦いになるんじゃないかと思う。ネット配信に適したコンテンツ作りがどこまでできるか?
テレビと同じ番組を同時配信する、というだけでは、到底勝ち目がなさそうな気がするのは私だけだろうか。
いずれにしても、今後数年でこの結果が出てくると思うので、それを待ちたい。
詳しくは動画で解説しているのでよろしかったらご覧下さい。
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