dear our prince, jack grealish

これを書き殴り始めた段階では、スカイやらヒャウィゴーおじさんやらが既に移籍決定と報じているところで、まだシティの公式やヴィラの公式からは何のアナウンスもない状態です。最後の最後までジャックの残留を信じてますが、恐らく移籍は既に内定しており、あとはアナウンスを待つばかりなんでしょう。そういう気持ちの整理も込みです。

奇しくもジャックのプレミアデビューはマンチェスターシティ戦、後半残りわずかでの交代出場でしたが、当時のヴィラファンは一眼見てその才能の虜になったことでしょう。斯くいう僕もそのひとりです。まだ17歳のヒョロヒョロした少年がヌルヌルしたボールタッチで屈強な大男達を手玉にとる姿に、「これはとんでもないのが生えてきた」と震えたもんですよ。

「こいつがピッチの上の22人の中で1番上手い選手だ」と気づくのに時間はかかりませんでした。途中出場でジョーカーとしてピッチに現れると果敢なドリブルを見せ、かと思えば2、3人を引き連れて簡単にパスを出すなど、頭の良さも垣間見えるティーンエイジャーでした。早くも攻撃のジョーカーとなったジャックは、当時からメディアの注目の的でした。地元生まれ、アカデミー育ち。「ONE OF OUR OWN」というバナーはまさしくジャック・グリーリッシュがアストンヴィラ、ヴィラファンにとってどのような存在であるかを表すこれ以上ない文言でしょう。先日、Luke Hatfieldというエキスプレス紙の記者がこんなツイートをしていました。
「Do you know what really hurts Villa fans regarding Grealish to City?

The fact that he is the embodiment of every supporter's dreams.

Boyhood Villan, comes through the academy, captains the club back to the Premier League. He lived the dream every Holte Ender had/has. #avfc
「ヴィラのファンにとって、グリーリッシュがシティへ行くことの何が本当に辛いことなのか、貴方達に分かるでしょうか。
それは彼(グリーリッシュ)が全てのサポーターの夢を体現しているからです。
小さい頃からヴィラファンとして育ち、アカデミー上がりで、キャプテンとしてクラブのプレミアリーグ復帰を果たす。彼は全てのHolte Ender(ヴィラサポーター、中でもウルトラスのような存在)が描いた夢の中に生きているからです。」

ヴィラサポーターは皆、何処かで果たせなかった夢や想いのようなものをジャックに託していたのでしょう。頑なに40番のシャツを着ていたジャックが、初めて10番のユニフォームに袖を通した姿を見て、それだけで涙が出そうでした。アームバンドを巻いた姿も今ではすっかり見慣れましたが、あの18-19シーズンに10番とアームバンドを背負ったジャックにのしかかったプレッシャーは想像を絶するものでしょう。

スリーライオンズに招集されたジャックが、どれだけ誇らしかったことか。ようやく「過密日程の中で代表にも呼ぶなんて」とイキることが出来るとウキウキしました。イングランド代表の資格を持ちながら育成年代ではアイルランド代表でプレーしたジャックが、A代表でどちらを選ぶのかピリついた時期もあったなあ、と遠い昔のことのようです。

ウェンブリーで崩れ落ちるジャックを見る度、やっぱり胸が裂けそうなほど辛くなりました。この夏はEuroでスリーライオンズの一員として、ようやく頭角を現し始めたかと思いましたが、やはり指摘されるのは「国際経験の不足」。昨季は一時はトップグループを走っていましたが徐々に失速し、ELまで食い込めるかというところで最後は11位フィニッシュ。大陸大会の出場権を逃してしまいました。ジャック個人としても、終盤に怪我で思わぬ期間離脱したことは後悔が残り続けるのではないでしょうか。

そんなアカデミーからローン期間を除いてヴィラ一筋だったジャックが、初めて本当の意味でクラブを離れるときが近づいています。こんなに思い入れのある選手は初めてです。まさしくアストンヴィラを愛する全てのファンにとって夢のような存在でした。できればジャックと、クラレットアンドブルーのシャツでヨーロッパを戦いたかった。ファンとして悔いが残るとすれば、そこでしょうか。

日付が変わって、起きたらジャックの移籍が決まってた。寂しさが募るけど、もうずっと心の準備期間が長くて、「ショック」だとか「裏切りだ」なんて感情は一切ない。ジャックの本懐はこれからだ。ジャックが移籍した先でヴィラでのような活躍が出来るのか、シーズンが始まってみないとわからない。けれど、ジャックがトロフィーを掲げる姿を、できれば一回でも多く見れるのなら、彼のデビューから見てきたいちファンとしてこれほど喜ばしいことはない。

ありがとうジャック、ヴィラファンとしてクラレットアンドブルーのジャックを応援出来て本当に良かった。毎試合、ピッチ上やピッチ外で話題になるジャックが、なんだかんだ誇らしかった。ジャックのコメントでこれからもヴィラファンだという一文が見れて、それだけで報われた気持ちになれた。

Once a Villan, always a Villan
Thank you for everything Jack Grealish, Our Captain.

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