図説・アストンヴィラくん守備陣

 19/20シーズンのアストンヴィラの守備と20/21シーズンのアストンヴィラの守備を比較して、何が変わった(ように僕の目に映っていたのか)を図面に起こして、文字で補足・解説します。ご意見ご感想苦情あるでしょうが、これはもう僕の見解なので!!!!!!


①19/20アップセット

4123の守備陣。選手名いれてないけど、

LSBが的、LCBがミングス、RCBがコンサ、RBはフレッド。

19/20の守備陣で大きな問題だったのは下図。

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守備陣は基本的にゾーンマークで、それぞれ誰に強くアタックにいくのかが決まっていた感じ。

19/20の問題は的のポジショニング。かなり内側に絞っていて、大外のウイング、インサイドハーフ、CFの3枚を意識していた。一番失点の危険性が高いパターンは相手中盤の3枚から的のサイドのウイングにボールが渡る展開。(下図参照)

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スタート位置が内側だったため、外に速いボールが出た時に遅れてしまう。するとその1秒前後のズレで相手ウイングが3~5メートル侵入してしまい、マークの受け渡し、スライドの遅れ、守備のズレが生じてしまっていた。

また、図面では説明しきれていないが、RSBだったフレッドはやや右サイドに張って外のウイングを捕まえにいくため、左にスライドする距離が長く、その間に相手インサイドとウイングに挟まれてしまう。結果としてボックス内でマークが浮いたり、ゴール前で局所的な数的不利が生じてしまっていた。

ここまでが昨季の守備の問題点。そして20/21の守備がこちら。

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図説のために少し露骨な配置にしているが、守備陣が全体的に内側に寄っていた。

場面で見ると下図のような感じ。

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このアイデアは形としては非常に上手くいっていた。昨季の守備ではスタート(相手ウイングにボールが出る瞬間のヨーイドン状態)で出遅れ、守備陣のバランスを崩してしまっていた的だったが、今季は全体的に内側に絞ったことによりCFを視界から切り捨てた。相手インサイドは絞った位置のCBやアンカー、プレスバックしてくる味方インサイドに任せることが出来るようになり、昨季よりもシンプルな「サイドでの1vs1」を作り出すことに成功した。

元サイドバックのミングスはカバーリングが早く範囲も広かったが、今季はその範囲を限定的にすることでスライドの難易度を落とし、負担の軽減も測っていたのだろう。ところが誤算だったのがミングスのパフォーマンス不良で、とても万全の状態とは言い難く、イージーなミスや致命的なポカが見られた。ミスひとつが失点に繋がるポジションで、ここまで守備陣のためにシステムを整えてもらいながらあのパフォーマンスでは少し厳しいだろう。

さらに、今季の課題は右サイド。

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今季新加入のキャッシュはプレミア初挑戦ながらレギュラーとして活躍。まだ若く有望な選手だが、今季のシステムとやや噛み合わせが悪かった。

守備時に相手選手へタックルを仕掛けがちで、そのタックルもやや荒く単発的なアタックになっていた。せっかくチームが中へ絞っていたのに、1人で外へ出て行ってしまい、挙句簡単にはがされて突破を許す、というシーンが多い。ここのカバーに入るコンサやドウグラスの負担が増え、中央を空けたりスライドやマークの受け渡しでズレが生じてしまっていた。

また1vs1の意識が高いからだろう、相手を慌てて追いかけたり、ぴったりとマークにつく場面で、DFラインの他3枚と連携がとれていない。右を空けてしまいカバーに入るコンサやドウグラスが強引に止めるシーンもあれば、ぴったり相手を追いかけて1人でオフサイドラインを下げ的やミングスの逆サイドの裏をとらせてしまうなど、独り相撲が悪目立ちしてしまった。

昨季は左の的が緩く右のフレッドが対人守備でなんとか解決していたが、今季は左の的が対人でストップをかけるも、右のキャッシュで崩されてしまっていた。ここはキャッシュの成長か、フレッドの帰還によってなんとか両立させてもらいたい。

最後に、おまけ。

今季流行った3−2−5で殴られ続ける試合で何が起きていたのか、図面で解説。

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配置とマークについてはこんな感じ。3−2−5相手では常に5の大外を1枚余らせながら、DF4枚がスライドをし続ける4vs5の場面が多かった。両ウイングや中盤3枚がしっかりとプレスバック、あるいはブロックを形成していれば、もう少しただただ殴られる時間を減らすことができたかもしれない。

けれど、実際にピッチで起きていた事象はこちら。

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両ウイングが守備参加を嫌い、中盤3枚が忙殺されていた。4枚のDFと3枚の中盤が2ラインで守っているのに対して、3−2−5の「2−4−1」が3ラインを作ってライン間のギャップと数的不利を作り続けていた。

とにかくウイングがしっかりとプレスバックしてくれていれば大事や致命傷の数は減るはずなので、この3−2−5対策は何かしらの手を打たないと来季もタコ殴りにされてしまうだろう。

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