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(下)親とのつらい過去を癒す方法とコツ〈オカン可視化チャレンジ〉

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奇跡の治癒・ポールのエピソード

ポールは十年間コンピュータの仕事を続けてきたが、あまり好きな仕事ではなかった。その上、手首の神経が圧迫される手根管症候群を患った。痛み、しびれ、指の感覚麻痺は絶望的で、医師による補助装具で手首をサポートしても力が入らず、痛みで眠れない日が続く。もうキーボードは打てないだろう。好きな仕事は昔にあきらめたが、生活のための好きでない仕事すらできないなんて。

絶望の底でポールはある日、普段とは違ったことをやってみようと決心した。手首の痛みに対して、特別な注意を向けることにしたのだ。

彼は心配事をひとまず脇によけ、手首に注意を向け始めた。耳を傾け、痛みをありのまま感じようとした。痛みを治そうとしたり、この痛みは何なのかと考えたり、押しやろうとしたりはしないようにした。ただ痛みに耳を傾け、痛みを感じ、痛みにじゅうぶんな空間を与えた。

すると突然、お腹へと意識がスライドする。お腹に結び目があり、それが手首の痛みとつながっている気がしたのだ。その結び目に空間を与えてみると、新たな絶望がわき起こった。もう働けない、お金を稼ぐことができないんだ、眠ることさえできないじゃないか。どうしたらいいんだ。
さらに増して不安と無力感でいっぱいになった。

そこでポールはもう一度、違うことをやってみた。絶望に沈み込むのでなく、無力感を受け入れてみた。どうしていいのかわからない、という真実をそのまま受け入れることにしたのだ。さらにお腹の痛みと無力感に耳を傾け続ける。

すると突然、痛みそのものから、シフトが生じた。行き詰まっていた痛みから、どこか喜びと言ってもいいような痛みに変化した。それをただ見つめ、注意深く感じ続ける。二時間もそうしていただろうか。

コンピュータの前に座ると、指がのびのびしていることに気づく。指が、ポールの意識でない、指それ自身の知恵を持って伸びていて、意識を持って震えていた。愛が指から流れ出しているようだった。その瞬間、彼はキーを打つということだけでなく、職場の人間関係から仕事そのものとの関係まで、人生の全体が変わったのだと悟った。キーを打つとそれは、からだ全体から流れ出るダンスのようで、彼は驚きと喜びに包まれた。その夜、彼は眠ることができた。日々痛みは薄らいでいく。
やがてポールの手首は完治した。補助装具はもう必要なかった。

(エピソード内容出典『ホールボディ・フォーカシング アレクサンダー・テクニークとフォーカシングの出会い』より、まとめ文責オカン)ケビン・マケべニュ著 コスモスライブラリー刊

オカン式セルフヒーリング

じゃー、やってみましょうか! 楽しみですねぇ。
ポールさんの事例、すごく良いでしょう?
「身体のなかの感じをそのまま感じると、感じ自身がひらいて変容する」という今回のテーマに、明確さを与えてくれます。
ポールさんの場合は、先に痛みがありました。その痛みに意識を向け、痛みのありのままを受け入れ、押し戻そうとしたり変えようとしないことで、小さなシフト(変化)が起こり、やがて大きなシフトへと開いていきましたね。

今日、オカン式セルフヒーリングとしてご紹介するのは、痛みや違和感が無い、普段の状態から始める方法です。苦しいとき、痛みがあるときは、(1)から(4)へ飛んで、その感じから始めてください。

【オカン式セルフヒーリング】
  時間:30分から1時間ぐらいは見ておいてほしい。

  場所:安全で安心できるところ。
  体勢:座った状態。

(1)座った状態で始めます。布団やベッドの上であぐらをかいてもいいですし、椅子に座ってもいいです。
身体の周囲にある、生命エネルギーの場に空気を吸い込むように、深呼吸をします。吸う息のたびに、生命エネルギーの場がふくらんで、愛と優しさが身体を取り囲むのを感じます。まずは明るい、いい気分で始めたいですね。

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(2)目を閉じ、意識的な呼吸を続けながら、身体の内側に向かって、言葉を落とします。小声でもいいですし、声に出さず行ってもいいです。
「ありがとう」「愛しています」「ありがとう」「愛しています」
これはハワイの民間伝承からの癒やし技法、ホ・オポノポノの一部で、身体と内側の感覚がガチガチのときに、ゆるめる効果があると感じて採用しています。細胞はひとつひとつが小さな子どものようで、あなたが落とす言葉を喜んでゆるんでくれます。そのことで例の黒いオセロを固めた膜のようなものが薄れて、動きやすくなるように感じます。自分という存在をなでなでするように、言葉を落としましょう。
この部分は、いわば時間短縮用、クイックメソッドみたいなものです。

(3)目は閉じたまま、呼吸はしっかりと意識的に続けましょう。静かで力強く、長い呼吸です。とにかく呼吸を止めないことがコツのひとつです。吐ききったらすぐ吸う息にかかります。
感じがひらいていくためには、一定の量の酸素が必要なんです。
身体の内側に意識を向けて、問いかけます。
「いま、どんな感じがあるかな」
おなか、背中、首の後ろ、肩、腕、手、太もも、足、おしり。
好きな順番で感じていきます。

(4)気を引くなんらかの感じがあったら、それに注目します。部分でなく、全身が重い、といった感じも注目に値します。単に食後で胃が重い、なんていうのも、最初の注目の対象でいいのです。対象は徐々により深いほうへと変わっていきますから。
ただ、感じましょう。これは何なんだ、という思考の解釈はオフにしておいてください。ここは肝臓の位置だな、肝臓と言えば…と考えたくなりますが、すぐオフにして感じる方向に集中します。
その感じを最大限尊重する態度が大切です。押し付けたり、推しはかったりするのではなく、見守ります。注意を注ぐのです。ぜんぜん知らない何かがそこにあるぞ、という気持ちで見つめます。

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(5)変化についていきます。感情が動いたら、それをそのまま感じます。押しやろうとしたり、避けようとしないで、受け入れ、それがあることをただ認めます。そもそも「こんなものが有ってはだめだ」という意識で封じられた感覚ですから、出てくること自体を歓迎してあげてください。「そうだ、それがここにある」と受け止めて、感じるほうへ意識を戻しましょう。
感じが動いたときほど、呼吸をしっかりと。
身体のなかにいくつもの感じがあるときは、そのなかでいちばん気を引く感じに注目します。

(6)自発動といって身体が勝手に震えたり、リズミカルに振動したりすることもよくあります。それ自身が動くにまかせ、静まるにまかせましょう。立った姿勢で行うと、この自発動で転ぶこともありますので、座ってやるのが良いのです。すべては身体が、バランスを取り戻そうとやっています。
自発動が止まらないときは、続けられる限り続けてあげて、そのあと身体を横たえてみましょう。そのまま静かにしていると、いまの動きで変化した、新しい感じが現れることがよくあります。ちなみにオカンは自発動大好きで気持ちよく、えんえんと揺れていることがあります。

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(7)今日ですべてをやってやる!と言うことではなく、今日はここでおしまい、また後日、と区切りをつけて終わりにして大丈夫です。「ありがとう」「愛しています」「ありがとう」「愛しています」とホ・オポノポノの言葉を内側に落として、終わりにしましょう。
お茶や水をじゅうぶん飲みます。
ヒーリング記録をつけたければこの後、書きましょう。
おつかれさまでした。この先も、ご自分のペースで生活にとりいれてくださいませ。

根を下ろすためのフォーカシング

【オカン式セルフヒーリング】は、心理技法の「フォーカシング」とハワイの癒やし技法「ホ・オポノポノ」を混ぜたような格好です。これは、自分用に長年やり続けてきて、効果があるところだけを残したような具合です。セルフヒーリングですから、あまり深く掘りすぎて昏倒するようではいけないし、面倒で続けられないのも困ります。気分良くスタートできて、気分良く終われる、しかも効果が体感できる。確かに日々が変わっていく。そういう時間でありたいですよね。

本式のフォーカシングでは、起きた感じを言葉にします。これをハンドルと言います。フォーカシングをしっかりやりたい方は、ぜひフォーカシングの先生に習いに行きましょう。【オカン式セルフヒーリング】では、解釈のための思考を働かせないよう、ハンドルはつけないで進めています。身体から自然に湧いてきた言葉があれば、身体の内側で響かせてみて、反応を見ると良いでしょう。

実際にやってみると、初めのうちは何か起きているのか、変化しているのか、わからないまま過ぎていくと思います。いつも大きな変化があるわけではありません。めげずに続けていくと、日常のほうで変化が突然理解できる、ということも起こります。ポールさんのエピソードでも、痛みを見つめたあと、コンピュータに向かったときに、指の変化に気づきましたね。

ただ、何よりもオカンが強調したいのは、セルフヒーリングを続けると意識の根が頭から身体に向けて、深く深く伸びるんです。
日常に苦しさを感じておられる方は皆さん、根が首もとで途切れています。身体に伸びていないんです。意識の根が身体に伸びるとそれだけで「自分はここに居ていい」という感覚になれます。環境や人間関係が変わらなくても、どっしり、ゆったりと今いる場所にくつろげるようになるんです。ヒーリングによって、拒絶した記憶が詰まっていた身体から、生き生きとエネルギーが流れる身体になりますから。根が気持ちよく伸びます。全身、指の先まで、心地いいあなたになります。そうすると環境は関係ないんです。居心地の良さは、意識が身体に根を張っているかどうか、なんです。
そうなったあなたは、親との関係でも別の感じ取り方が生まれるのではないでしょうか。より落ち着いて、自分を見失うことなく、人生の選択ができるようになるとオカンは信じます。

以上です。これですべてというわけではありませんので、また機会があれば書き進めていきたいと思っています!
読んでいただいてありがとうございました。

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