【言葉遊び空論11】エアダジャレ

 2012年12月

 とある Twitterユーザーの つぶやきにより 創作意欲に渇望する 一部の 言語遊戯廃人達に 新たなる可能性が 切り開かれる事となる

 その提唱者:のらんぶる(@nolimbre) 曰く

ダジャレを言わずしてダジャレを言う,高度な技です.

 提唱者は 自らが唱えた その技法を こう呼んだ

 エアダジャレ と




 さて 能書きは置き

 エアダジャレの 議論じみた雑談の経緯は 以下の Togetterのまとめにて 閲覧が可能である

 そして エアダジャレに関する 資料は 現時点で これが全てだ

 さて エアダジャレの 本題に 入る前に まず ダジャレそのものの 基本的な仕組みや 大まかな概要について 知っておく必要があるだろう

 ダジャレの基本構造を 知らなければ 何故 エアダジャレが そのような別称を 贈与されるに 値する代物か 解らないからと 思われるからである

 しばし ダジャレの一般原理について 記す



 ダジャレ とは ある語句と それとは 別の語句とを 語音的に 結びつけた 技法の総称である

 次のダジャレを 例にしてみる

電話に出んわ

 「日本人が一番よく使うダジャレ」 堂々の1位として かつて『トリビアの泉』の ワンコーナーで 調査された ダジャレだ

 「電話」と 「出んわ」が 「でんわ」という 共通した語音で 結びついている

 この点で 躓いてしまう人は そう居られまい (もし居られたなら こんなページを見る前に まずダジャレを10ほど 自分で拵えて ダジャレの雰囲気と感覚を 掴んでから 踏み入れる事を 推奨する)

 さて このダジャレの中の 「電話」と「でんわ」は それぞれ ハッキリとした 役割の分担が なされている

 まず 「電話」は 「ダジャレをもたらす為のテーマとなる語」である

 これを マスターワード MW とでも呼んでおこう

 次に 「出んわ」は 「ダジャレのテーマとなる語(MW)に基づいて語音的に選出・操作される語」である

 MWの語音を基準として それと"同じ"あるいは"似た"音の語を 使用する事が 選出である点は お解りだろうが それだけではなく そのような音の語に "変換"が加えられる手法もあり これが操作と呼ばれる

 これを コネクトワード cw とでも呼んでおこう

 ダジャレにおいて その成立骨格を 築き上げるのは 何を隠そう このcwであり cwを制する者は ダジャレを制する と言っても 過言ではない

 ※以下では 必要に応じて MW cw の表記を 用いる



 cwは MWに基づき 選出・操作される 語である

 特に 先に出た 「同じ」音あるいは「似た」音 によって 多彩な変化が 見られる



【cwがMWと同じ音である場合】

①MWと音は同一だが表記が異なっている
②MWの音の区切りが変化されている
③MWの音がcwの一部として使われる

 以下に詳細を記す

①MWと音は同一だが表記が異なっている
 いわゆる同音異義のタイプで 表記以外は 一切の操作が 加えられていない 最もシンプルなタイプであると言える

今日は戦車洗車すると言ったろう(河嶋桃)


②MWの音の区切りが変化されている
 言葉の区切る位置が異なっている いわゆる 異分析 もしくは ぎなた読みに 類するタイプで 有名なネタは多いが 数は意外と少ない

アルミ缶の上にある蜜柑
パン作ったパンツ食った)事ある?
見えない敵の挑戦状 敵の狙いは超戦場(楽曲:SA-DA-ME)

あるみかん → あるみ/かん ・ ある/みかん
ぱんつくった → ぱん/つくった ・ ぱんつ/くった
ちょうせんじょう → ちょうせん/じょう ・ ちょう/せんじょう


③MWの音がcwの一部として使われる
 cwの一部として MWが その中にスッポリと 含まれている タイプであり ダジャレの中でも かなり多く 散見されるタイプである

コンドルが地面にめりこんどる

cw「めりこんどる」の 中に MW「こんどる」が 含まれている

改造した艦はでかいぞー(舞風)
部室の無断使用は罰金バッキンガムよ(杉浦綾乃)

 なお最後の 「罰金バッキンガム」は 「ある言葉の後に 全く関係ない言葉を 共通する音で 接続させる」という 無駄口の技法である


【cwがMWと似た音である場合】

 これも 3種と見られる

①MWに一字もしくは濁点・長音ナドが加わる あるいは 取り除かれている
②MWの音のリズムが共通する語を並べている
③MWと全体的な音感が近い

①MWに一字もしくは濁点・長音ナドが加わる あるいは 取り除かれている 

 おそらく ダジャレの中でも 特に操作率の高い タイプであろう

布団吹っ飛ん
このステッキとても素敵(高垣楓)
屋根の上で猫が盛ってんですよ ヤ~ね~(林家木久扇)

②MWの音のリズムが共通する語を並べている
 いわゆる を踏んでいるタイプ とでも言えば ぐっと解りやすく なると思われる

かっぱ らっぱ かっぱらった(谷川俊太郎)
いかん ポンカン 夏ミカン(瀬戸豪三郎)


③MWと全体的な音感が近い
 いわゆる 音感が似ているタイプで ものによっては 空耳も この一種に含まれるだろう

そう言えば総入れ歯
dishes[this is] a very bad joke(SANS)
ダンシングふーみん!?[単身赴任](野原しんのすけ)

 この 野原しんのすけのような 「響きが似ている全く別の言葉に置き換える」手法を マラプロピズム あるいは単に 言い間違い と呼ぶ


 このように MWを起点にした cwの語音的な結びつきにも これほどの タイプが 少なくとも 存在する事が お解りいただけたと思う

 MWへcwを語音的に結びつける

 これが ダジャレにおける 基礎的構造である という事は ここまで見て来ても 了承を得られると 思われる

 しかしながら ダジャレを 形作る操作は これだけではない これだけに留まらない これだけでは終わらない

 語音的な結びつきの前に 別の操作が組み込まれるケースが 存在するのである

 そして それこそ 本稿のテーマである エアダジャレに 深く関わってくる 最重要機密事項となる



 語音的に結びつける事が ダジャレの本質である

 だが これまで列挙してきた例は cwが MW自体に 直接 関連された ケースである

 前述の通り ダジャレには もう一つ cwが 語音の連結をする前に 別の操作がなされるケースもある

 例を出そう

「向かいの空き地に囲いが出来たってねぇ」
「へ~」

 定番の一つとして 名高い小噺である

 「囲い」と「へ~」が ダジャレとして 成立しているのは お解りだろうか

 ここでは 「囲い」のイメージが 「塀」という "意味合いは同じだが言い方の異なった"言葉(異音同義語)へ 暗黙のうちに変換がなされており それが結果として 返答の「へ~」へと 語音的に繋がっている

 お解りいただけだだろうか

 REPLAY...

 という訳にもいかないが つまり これまでのケースは 「MWとcwが直接結びついている」ものであったのに対して ここでは新たに 「"MWと関連する語(関連語)"とcwが結びついている」ものが 掘り起こされている という訳だ

 異なる語音で意味は同じである言葉を 特に 『異音同義語』と 呼ぶが 上記の説明で 異音同義語 ではなく わざわざ"関連語"と呼んだのは 複数の関連の仕方が 確認されており 異音同義語は そのうちの一つにすぎないと 見なす事が 出来るからである

 大きく分けると 2種となるだろう 

①類語を用いる
②異国語・専門語を用いる

①類語を用いる
 MWと 同じ意味だが 別の言い方で 表された語に 変換するタイプで 前述の「向かいの空き地~」 即ち 異音同義が ここに当てはまる

教養ツイートを強いる(のらんぶる @nolimbre)

 教養は 同音異義の 「強要」を指し 「強いる」と 掛かっている


②異国語・専門語を用いる
 MWが 特定の言語・用語で 言い換えられたタイプであり その殆どは 英語による変換が なされている

キャッと驚く
足湯で疲れを吹っ飛ばす


 因みに MWの関連語 という範囲では 以下のような タイプも 考えられるが ものによっては 「語音的に結びつけ」られた ものではない ケースもあり ダジャレと称するに 相応しくない可能性もある

 参考程度に 見ておけば良いだろう

①用途や効果の名称を用いる
 MWの性質に基づき それに関連する事柄を 用いるタイプであり ジョークや返答によって 「上手いこと言う」たぐいの ネタとして 用いられる事が多い

かつお節「くっ・・この俺が・・・だし抜かれただと!?」


②同じカテゴリーのものを用いる
 MWと 同等のグループに属する 別のモノと 入れ替えるタイプであるが 技法としては かなり稀少であり 使用者は かなり限定される

おぉ!いいぞ!ニンジン抜きだぁ!(ブタゴリラ)

 ※「ゴボウ抜き」という 本来の言葉の 「ゴボウ」部分が 同じ"野菜"である 「ニンジン」と 入れ替えられている



 ダジャレには 「MWとcwが直接結びついている」ものと 「"MWの関連語"とcwが結びついている」ものとが ある

 これが ダジャレの一般原理である

 とっくりと 頭に叩き込み 更には 全身に 溶かし込んで いただいた上で ついに本題の エアダジャレ と向かおう (引用文は 特に断らなければ 冒頭の Togetterまとめページを 主として参照している)

 提唱者:のらんぶるによる #エアダジャレ の例に 以下のようなものがある 

この映画には受験生がキットカットを食べるシーンがあるんだけど,NHK が放映するときは多分とばされるだろうな

 ここでは 菓子名「キットカット」と 「多分→きっと」「とばされる→カット(編集される)」が 掛かっており 同氏は これを濫觴とし エアダジャレ の名を高々に掲げる

 結論から言ってしまえば これは 「"MWの関連語"とcwが結びついている」ダジャレの類であり それこそが即ち エアダジャレ と称される技法である

 つまり エアダジャレは 「向かいの空き地に~」「猫がキャっと~」「足湯で~」などと 同属なのだ

 「たったそれだけ?」 と思われるかもしれない 

 同氏が想定する エアダジャレの 定義からすれば どうしても そう断言せざるを得ない

語句 A, B であって,A を適切に言い換えれば語句 B にごく近い音になる組を含むものが(広義の)エアダジャレです.そのうち,そもそも A を言い換える必要がないものが普通のダジャレ,そうでないものが(普通に言う,教義の)エアダジャレです.

 そもそも これを読むと お解りの通り 同氏の 定義する いわゆる"普通のダジャレ"というのが 「MWとcwが直接結びついている」タイプのみ つまりは 「カレーは辛ぇ」「コーディネートはこーでねーと」「内容が無いよう」などといった 言葉の(語音以外の)置き換えが 一切発生していないものしか 想定されていないのだ

 余談となるが 『声に出して踏みたい韻』(著者:細川貴英)に 次のような箇所がある

韻の成立条件が「二つ以上の言葉の母音が一致していること」であったのに対し、ダジャレは「二つ以上の言葉の母音と子音が一致していること」が成立条件ということになります。もしこれが、

アルミ缶の上で待つ時間

なら、ダジャレとしては不成立です。なぜなら、「あるみかん」と「まつじかん」では、子音が異なっているからです。ただし、韻としてなら成立します。 

 著者は 「韻とダジャレは異なる」 という主張の下 母音と子音に 着目した 珍しい持論を 引っ提げて 韻の奥ゆかしさを展開している

 しかし 著者の言い分からすると ダジャレは 「母音と子音が一致」 つまりは 語音的には全く同じ 「同音異義語」でなければ ならない事になる

 確かに 著者が例として挙げた 「アルミ缶」は 説明上 最適ではあるが それでは 前述した 「布団が吹っ飛んだ」や 「そういえば総入れ歯」などは どうなるのか

 音の追加や一部差し換えが 生じている為 定義された「母音と子音の一致」が 達成されず ダジャレ不成立となってしまう(筆者としては 「アルミ缶の上で待つ時間 はダジャレ不成立」 という解釈も 検討の余地があると 思っているが)

 意地悪い 言い方をすると 両者共に エアダジャレ もしくは 韻 を強調する余り "一般的なダジャレ"の 枠組みを 極度に 狭めている節がある

 筆者の私見を言えば ダジャレ・エアダジャレ・韻の関係は 並列されたものではない

 ダジャレは 一定の 「語音的な結びつき」さえ 備えていれば 当てはまる 言葉遊びの一つの"ジャンル"であり その観点から言えば 語呂合わせ・なぞなぞ・ぎなた読み・無駄口・空耳・段駄羅・謎掛け...など これらは全て ダジャレというジャンルの中の個別技法と 呼んでも 全く差支えない

 それは エアダジャレであろうと 韻であろうと 同じであり この両技法も ダジャレというジャンルの中の個別技法と 言える

 少々長い 脇道であった

 道草を頬張るのは さて置き ここで 今一度 念を押して言う

 エアダジャレとは どのような技法か については 既に 結論が出た

 それは 「"MWの関連語"とcwが結びついている」タイプの ダジャレである という事だ



 「たったそれだけの事か」

 と肩を脱落し 気を打ち沈めている方々に 朗報がある

 エアダジャレの構造は 上記で違いないだろうが 提唱者:のらんぶるが エアダジャレに求めた その本性について 再度 確認してみたい

 冒頭でも 取り上げた 同氏のこの言葉を 覚えておられるか

ダジャレを言わずしてダジャレを言う,高度な技です.

 筆者は ここに エアダジャレに対する 氏の本懐を 見る

 エアダジャレは 即ち 「一読してダジャレとは思われない形に言葉を操作されたダジャレ」 とも言える

 構造的には 確かに 通常受け取られる ダジャレの中の 一技法に 相当する程度ではあるが 「一読してダジャレとは思えないが実はダジャレになっている」 ここに エアダジャレのエッセンスが 凝縮されている

 この意味で エアダジャレは 確実に 本来のダジャレとは 違ったスタイルを 打ち立てたと言って 良いだろう

 そして まさに この基軸に従い まとめページ内で見る限り 様々な エアダジャレの所作が 応用・発展される 事となった


#エアエアダジャレ #エアエアエアダジャレ

 まとめページ内では エアエアダジャレ というものが 突如として 登場し その後 更に エアエアエアダジャレ なるものまでもが 生み出されたようである

 大本の エアダジャレと 何が異なるのか よぉく ご覧頂こう

一般の商群 #エアエアダジャレ
(MarriageTheorem @MarriageTheorem)

 非常にシンプルでありながら 一見すると どこがダジャレなのだと 首を傾げて へし折れそうになるが これは
  ①「一般」が英語の「general」に変換出来る
  ②「general」は名詞で「将軍」の意味を持つ
  ③「将軍」が同音異義語の「商群」に変換出来る
 という過程を 経ている

 MWの言い換えを より深部へと 掘り下げて cwに至らしめている訳だ (cwからの 逆算という 可能性もあるが 掘り下げる作業そのものは 同一と言える)

 他にも 例を 見てみる

例によって三振だ #エアエアエアダジャレ
(りばー @river_jpn)

  「例に」→「rainy」→「雨天」→「打てん」→「三振」 と 所々かなり 思い切った 変換が なされているが 言い換え方の 面白味という点では 好感が持てる

署名を自由にはさせない #エアエアエアダジャレ
(りばー @river_jpn)

  「署名」→「サイン」→「sin」→「正弦」→「制限」→「自由にはさせない」 といった過程を追って 成立したものであるが もはや ここまでくると 暗号解読の 類である

 さて これらは #エアエアダジャレ や #エアエアエアダジャレ と付されているが この "エア"の数は 単語の変換回数と 比較しても 明らかに差がある事が 見て取れるが 呼称の"エア"の数は 何を 基準としているのだろうか

 まとめ内の論考によれば 大きく分けて 「意味が同じで言い方が違う言葉に変換する」異音同義的操作と 「語音が同じあるいは似た言葉に変換する」同音異義的操作の 2種類があり "エア"の数は 前者の 異音同義的操作が なされた回数 とみなされるらしい

 そうすれば 確かに 「一般の~」は「→general→しょうぐん」の2回 「例に~」は「→rainy→うてん→さんしん」の3回 「署名を~」は「さいん→せいげん→自由に~」の3回 という事で "エア"の数と 辻褄は合う

 ただし この辺の 「何度言葉を変換させたか」といった問題は 強いて言えば 解読のヒント もしくは どれだけ変換出来たかのチャレンジ精神度 を表す各人の好みの域 と言って良いだろう


#ダブルエアダジャレ

もやし事業で1年間の売上高を上げることに魂を燃焼させている人

 ピックアップすべき語句は 「もやし」 「1年間の売上高」「燃焼」の 三語である

 これは 「もやし」が 「燃焼→もやし(燃やし)」に掛かり 「1年間の売上高」は 「燃焼→年商」に掛かっている

 このように あるキーとなる1つの言葉が 2通りの別の言葉に 読み換えられ ダジャレのペアが 2つ成立する仕組み これが ダブルエアダジャレである

(A, B)をエアダジャレ対と呼ぶとき,「語句 A, B であって,Bを適切に B' と言い換えれば (A, B') がエアダジャレ対となるもの」を含む文がエアエアダジャレ.「エアダジャレ対を2対つくれる3つの語句」を含むのがダブルエアダジャレ.

 一見すると 随分また複雑なダジャレだ と思われるだろうが この ダブルエアダジャレの構造上 筆者は ある2種の技芸に 類似性を思う

"マラソン"とかけて、"壊れたハンガー"と解く。その心は"下手にかける(駆ける/掛ける)とやぶれるよ" (立川談志)

 言わずと知れた 謎掛け である

 「Aと掛けてBと解く その心はC」 という構文で 成り立つ この技法は AとBの事柄に 共通する言葉Cを オチに置く という構造に 基づいている

 逆算的に言えば 一つの言葉を基軸とし 2種類の別の言葉に 置き換えが 施されている と言えるし その意味では 謎掛けは ダブルエアダジャレの 構造と 近似している

 ただし 謎掛けの場合は 明確に "異音同義語"に 変換される という事ではなく "(用途や効果など)関連のある言葉"への 変換である為 厳密な定義からすれば ダブルエアダジャレと 異なってはいる 

竜宮は 浦島も酔う裏縞模様(ウラシマモヨウ) 江戸の粋

 段駄羅 は 石川県能登半島の 輪島地方に古くから 伝えられている 言葉遊びである

 五七五の定型で 中央の七音節が 音は共通だが二重の意味に 掛けられており 上五七と 下七五とで 異なった句になる という仕組みとなっている

 一部の地方で 発達し後代に残る という 非常に特殊な経歴を持つ この段駄羅であるが これも 中七音の基軸となる言葉が ダブルミーニング化され 上五・下五それぞれに 連想される言葉が 設定されている

 同音異義を基軸に 2種類の異なる言葉へと 連結させる という性質からすれば 謎掛け 段駄羅 そして ダブルエアダジャレは 同型だが ペアとなる言葉が "関連語"か "異音同義語"か という点からすると むしろ ダブルエアダジャレは 謎掛けや段駄羅とは また違った性質を 持っていると言える

 

 エアエア...ダジャレ と ダブルエアダジャレ

 当初は 区別に混乱していた人も 多かったようだが 前者は 「言葉の変換数(いわば"エア数")を増した」ダジャレであり 後者は 「エアが掛る言葉が一文中に複数ある」ダジャレである

 しかと 腑に落とし込んで いただきたい



 エアエア...ダジャレ と ダブルエアダジャレ は 生成には やや手間はかかるものの それなりに 創作されていた 様子である

 しかし まとめページを見通すと とある2種のエアダジャレ形式が 課題として保留され 例の提示がないままに 終わってしまっている

 それは リバーシブルエアダジャレ と サイクリックエアダジャレ

 この2種の形式は エアダジャレに 沸き立った 界隈の者達をして 超上級の レベルである事を 知らしめた 魔物であり 提唱者においてをや 己が頭脳に 突き付けた 反逆の旗印と なった


#リバーシブルエアダジャレ

 リバーシブルエアダジャレとは語句A1とB1を含む文で,語句A1には異音同義の語句A'1があり,語句B1には異音同義の語句B'1があって,A'1とB1が同音異義,A1とB'1`が同音異義である,

 改めて 確認する
異音同義 語音は異なるが意味は同じ(瞬時─刹那・神─GODなど)
同音異義 語音は同じだが意味は異なる(熱い─厚い・想像─創造など)

 留意すべきは 文体として ダジャレが 成立するのは 同音異義 であるという点

 繰り返すと
①(例として)基本文「AはBだ」がある
②Aの異音同義語を「A’」/Bの異音同義語を「B’」とする
③「AはB’だ」「A’は→Bだ」が 両方ダジャレ(同音異義)として成立する
という事だ

 2つの単語のうち 一方の どちらを 言い換えても ダジャレとして 成立出来る これが リバーシブルエアダジャレ である

 唱える分には 易しいが これが思った以上に 至極厄介な条件である事は まとめページ内でも ついに 例が出されずに 終わっている状態を 鑑みれば ご理解 頂けるだろう


#サイクリックエアダジャレ

語句Aを言い換えれば語句Bにごく近くなることをA→Bと表す(元々近いのは許さない)とき,「A1→A2→…→An→A1を満たす語句Aiを含む文」を位数nのサイクリックエアダジャレとよびます.

 「AがBをCした」 という最単純構文モデルが あるとしよう

 この時 AとBはエアダジャレとなっており BとCはまた異なるエアダジャレとなっており CとAは更に別のエアダジャレとなる これが ここでいう サイクリックエアダジャレの 様式と言える

 いきなりリバーシブルエアダジャレは難しいから,n > 2 でもいいから位数 n のサイクリックエアダジャレをひとつ探すべきだな.
 リバーシブルエアダジャレとは位数2のサイクリックエアダジャレの事です.

 提唱者の発言からも解る通り 構文にAとBの単語しかない場合 AとBがエアダジャレ BとAがエアダジャレ という形式は リバーシブルエアダジャレである

 であるからして 円環的に引き延ばしたものが サイクリックエアダジャレであると考えて 間違いないだろう



 先にも言った通り 最後の2種のエアダジャレ形式は 例文の提示が されずじまいである

 だがそれも むべなるかな

 このような数学の証明法を以て 言葉遊びの 技法のシステムを 解読しようという試みは 他の技法でも 幾つか散見してあるのは 事実であるが ここに 言葉遊びにおける数学的介入の 限界がある

 何故なら 証明によって 導き出せるのは 操作手段の 可能性でしかないのだ

 すなわち 「こうした操作が存在し得る(出来るかもしれない)」 という示唆が 求められただけであって 実際にそれが出来る・完成する かどうかは 畢竟 創作者の 言語表現の蓄積量に 全権委任されている

 至極当然の事を 改めて言うが 言葉遊びは 言葉を知ってこそ成立し 知り得た言葉の数だけ 世界を創造し拡げ得る

 


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