みずいろさんへ

ねこです。

私のことを、覚えていますか。会わなくなってからずいぶん時間が経ちました。あなたはまだ生きていますか。あなたの瞼はいつも明るいみずいろで、長い爪には赤い闇みたいな太陽がありました。今思うと、あなたのままならない悲しみを受け止めるには、私はまだ小さすぎました。微妙なニュアンスは、今なら察してあげることができたでしょう。ごめんなさいね。

あなたは私に色んなことを呟きました。今ならこう想像する。あなたの果てには暗闇しかなく、でもまたその向こうまで歩く事ができたなら、あなた自身があなたを出迎えたのだと思います。とても長い旅路を労ってくれた事でしょう。

この暑い日に、あなたのみずいろの瞼を思い出すなんてナンセンスでしょうか。あなたはいつでも情熱的にわがままを言いましたね。暑い日に肩を出したワンピースを着て高めのヒールを履いて、歩くたびにコツコツ鳴るのが素敵でした。バスに乗ってどこかへ出かけたのを覚えています。私は、いつも、嬉しくも悲しくもなく過ごしていたのを覚えています。パーマに憧れたのは、みずいろさんのパーマヘアーが美しかったからです。

私はもう、怒っていません。

ただ、みずいろさんは、どうしているのかふと気になっただけなのです。またいつか思い出す日まで、さようなら。

涼しい1日を。

ねこ

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