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立場が変わると…

先月の今頃、紅葉を見にふらりと出かけた山歩きの帰り、登山道で足を滑らせ、救難ヘリを呼ばれる騒ぎとなった。

そのまま近くの病院に搬送され検査を受けたところ、足首の骨が2本折れているとのことだった。COVID-19や感染症のリスクを見極めるために1週間後に手術を受け、しばらく車椅子生活を余儀なくされた。

術後まもなくリハビリが始まった。最初は両松葉杖での歩行。ゼロ荷重という、足を着けない状態での歩行は、腕とお尻が痛くなり廊下を一往復するのもしんどい。退院の条件は「自力で日常の移動ができること」というので、二つの意味で気が遠くなった。

車椅子で移動ができれば退院の許可が出るのかも、という思いつきで、車椅子(とフリーハンド松葉杖も)に関して調べまくったところ、以前一度茅ヶ崎の道でみかけたwhillに興味を持った。そして遠くない未来(おおげさ)に試乗体験ができるイベントがあることを知り、退院していたら行ってみようと思い、今日に至る。

退院には介護タクシーを予約していた。
両松葉のひどいありさまから、松葉杖で退院することは不可能だと考えたからだ。
しかし、荷重が許可されてからの上達は目覚ましく、退院も予定より早まった。

まだエスカレーターや階段には不安はあるが、WHILLに乗れる貴重な機会である。百聞は一見に如かずである。私は乃木坂のNEW STAND TOKYOに出かけた。

初めて乗ったwhill-C2は想像していたより速度が早く、動きがスムーズ。院内で必死に輪っかを回していたことを思い出すと夢のようだ。切り返し、カーブもスイスイ。速度は1から4があるが、1でも相当速い!
「外に出ると速度が遅く感じますよ」と会社の方が言うので、店の外の道を最高速度で走ってみたが、店内の半分くらいの速さに感じる。これも不思議だ。

要介護認定のない私が1か月レンタルをするとなると2万7000円。1万円くらいなら足が本調子になるまで借りてみてもいいかもしれない。
今は本当に必要な人に届けるためのフェイズで、将来的には少し歩行に不安のある人が気軽に使えるようになればいいな。

試乗を終了し、ミッドタウンのエスカレーターを下って六本木駅に向かったが、怖くて乗ることができない。
上りの時には気づかなかったが悪い方の足を先につくことがどうしてもできない。
駅ではそんなことがなかったのになぜかと考えたら、最初の3枚くらいがフラットだったからだった。

ほんの少しのことなのに普段は気づかない。
そんなことに気づくことができたのも貴重な経験だなと思いつつ、もうしばらく松葉杖を友としよう。

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