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本が身近にある空間

小学校の図書館ボランティアへ行く。今年度は初。朝の隙間時間におこなっている読み聞かせは、下の子を保育園に送る時間と重なるのでやっていない。作業内容は、ボロボロになった本の修理や本棚の整理、何かと開催される図書イベント(クイズラリーや図書週間など)で配られる栞作りなど。
子どもの通う小学校は、環境配慮系の有名な(?!)某設計事務所が設計していて、田舎ならではの建築面積が広々とした2階建て、真ん中はドドーンとぜいたくに吹き抜けていて、その周りに壁のない(正確に言うと取り外し可能な引き戸)教室が並んでいる。蛍光灯は無造作にぶら下がっていて、とても明るい。

学校という建物としてはかなり珍しいものだろう。
吹き抜けなので、音がうねる感じが少し過ごしにくいかな。

その真ん中の吹き抜け空間、児童たちが通り抜ける場所にメディアセンターという名の図書スペースがある。
この図書スペースが本当に明るく、子どもたちがあちこちに散らばって各々に過ごす姿がとてもよく、大好きな空間だ。私もこの空間で過ごしたいがためにボランティアに登録している。
短い休み時間でも、ちょっと本を手に取ったり、どれを借りようかなと眺めながら考えたり、ちょっとした時間で本に触れることができるのだ。

今日も行ったらちょうど休み時間で、下の子の保育園で一緒だった1年生の顔見知りの子がいて「○○ちゃんのお母さん!」と話しかけてくれる。何借りたの~?なんて聞くと、その子は妖怪にハマっているらしく、妖怪絵本を紹介してくれた。もう、推しの妖怪の話しに一生けん命である。目を輝かせて青入道や牛鬼について語っていた。

本を借りない子どもたちもどんどん通過する場所なので、喋りながらカウンター内で作業する私をチラッと見ていく。低学年の子は興味津々で「なにしてるの~」と顔をピョコっとだしてきたり、知り合いの子どもは「○○ちゃんのお母さん!!」って大きな声で挨拶してくる。

そして2限目と3限目の間は少し長めなので、高学年の図書委員が貸出カウンターに座り、本物の図書館員と同じようにバーコード管理された本をピッピとスキャン。そこにはズラーっと子どもたちの列ができている。そして、本棚の横に置かれた椅子に座りながら、待ちきれずに本を読む子、机でじっくり読む子、お喋りだけをする子と様々。学年ももちろんバラバラ。

本の修理をダラダラとしながら、この子どもたちを眺めるのがとても好きな時間だ。癒しでしかない。私も小学生のとき、こうだったのかなぁと思うけど、通っていた小学校は上靴が床に擦れる音さえ気になるくらいに静かで、人のいない図書館だった。陽が差し込むカーテンがベージュ色で、少し埃っぽい匂いのする空間だった。

子どもの学校生活が、こんなにも本との距離が近く、かつ6年間それが続くなんて羨ましいなぁと思う。
(しかーし!残念ながら私たち家族は8月に転居が決まっている。この点は残念でならない・・・。次の学校は昔ながらの校舎だ。きっと図書室も静かに違いない。)

そして、よく見られている本たちだから、結構本棚が荒れている。特にサイズがバラバラの絵本はそれが顕著だ。
今日、新たに発見。図書スペースの一番外側の棚にある本は、さっき書いた「ちょっとした時間」で手に取られるので、慌てて本棚に戻す子が多いようで、本の置き間違い確立が高いのだ。その本棚の横で縄跳びなどで遊んでいる子を何度も見かけたことがあるし、他の遊びの流れで本が目に入っちゃって気になって手に取るんだろうな~。

今はちょうど新刊図書が入るころなので行ってみると、思った通りで今日のお昼休みから貸し出されるピカピカの本たちが、ズラーっと本屋さんのように面だしされて並べられていた。
図書担当の職員さんに聞くと、先週金曜日から並べていたら、休み時間にどんどん子どもたちが訪れては立ち読みをしていたそうだ。人気のある本はすぐに借りられて、かつ予約もどんどん入るので、一度逃すと手元に来ることはなかなか叶わないので、今のうちに休み時間を使って立ち読みしてしまおうという魂胆だそうだ。君、賢いね。私は真面目に貸出予約を入れて待つタイプだったな。そして、私の子どももそうするタイプである。


コロナ禍突入後すぐの入学式で。風切る子どもの奥に広がる本棚たち。


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