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自然災害と人工衛星 防災と減災に向けた、観測・測位・通信衛星の活用事例

日本は、地震や大型台風、集中豪雨や洪水などの被害に見舞われる事が多い、自然災害多発国です。避けることが難しい自然災害ですが、被害の甚大化を防ぎ、最小限に抑えるための予測・予防に、人工衛星および人工衛星によって取得した「衛星データ」の活用が進んでいます。 観測衛星を用いた、災害予測と減災の取り組み 災害に関連した観測衛星の用途は、大きく「災害予測」と「被害拡大の抑制」の2つに分けられます。 衛星データを用いた、災害の予測 衛星データを分析することで、災害リスクの高い箇所を

宇宙開発における技術のデュアルユース 国内での議論と現在地

2022年7月、日本の科学者の代表機関である日本学術会議が国内の先端技術研究に関して発表した、ある声明が話題になりました。それは、軍事用途と民生用途、その両方で特定の技術を活用する「デュアルユース」に関するものです。 これまでの日本学術会議は軍事目的の研究は行わないとし、デュアルユースを一貫して否定する立場を取っていました。 しかし上記の発表において日本学術会議は、軍事用途と民生用途は「単純に二分することはもはや困難」であると発表。デュアルユースに関して、軍事目的のための

宇宙ビジネスの現在地と今後|市場規模や課題、日本の注目企業を紹介

2021年、ZOZOの創業者である前澤友作氏が、民間人として日本で初めて国際宇宙ステーションに滞在したことは、記憶に新しいでしょう。この年は「宇宙旅行元年」と呼ばれており、数々のビリオネアが宇宙旅行を実現させました。 さらには、2022年から始まったロシアとウクライナの紛争で一躍注目を浴びたのが、イーロン・マスク氏率いるスペースX社の衛星サービス「Starlink(スターリンク)」の存在です。ウクライナがロシアの攻撃で重要なインフラを破壊された際、同社がスターリンクを無償