マガジンのカバー画像

宇宙

37
宇宙ビジネスに関連する記事をまとめています。
運営しているクリエイター

#人工衛星

【図解コラム】私たちはデジタル情報をどのように電波や光で送っているか

民間企業による人工衛星を使ったビジネスによって、今後10、20年で市場が爆発的に広がると期待されている宇宙産業。さらに人工衛星の通信における媒体が「電波」から「光」へと変わると、地球上ではさらなる高速・大容量・低遅延の通信が実現すると言われています。 以前、IISE noteのコラム記事では「情報通信において電波と光にはそれぞれどんなメリットがあるのか」を紹介しました(記事リンク)。そもそも、私たちは普段スマホやPCで文字や音声、画像に映像と、さまざまなデータを送り合って

自動運転や防災・減災まで 地図アプリだけじゃない測位衛星の活用事例

自動車のカーナビゲーションシステムやスマートフォンの位置情報サービスに活用されている、衛星測位システム。アメリカによる28機の人口衛星からなる全地球測位システム「GPS」がおなじみですが、日本でも準天頂衛星システム「みちびき(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)」が、測位衛星4機体制で2018年から運用されています。 衛星測位システムは、複数の測位衛星から発信した電波を(スマートフォン等の)受信機が受け取り、測位衛星それぞれとの距離を測り受

人工衛星の「光害」は、社会に何をもたらすか 国立天文台・平松正顕さんインタビュー

米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」を筆頭に、民間企業による人工衛星の打ち上げが加速度的に増している今、天文学者の間で「光害(ひかりがい)」に懸念の声が高まっている。人工衛星に太陽光が反射して天体望遠鏡に写り込むなどして、天文観測に大きな支障をもたらしかねないとするものだ。 「影響は天文学だけではありません。2030年頃には10万機ぐらいの人工衛星が飛ぶ世界になるでしょう。そうなると私たちが見ている星空が、これまでとは質が違うものになってしまう可能性がある」

日本のスマート農業に人工衛星がもたらす未来 第一人者が語る「アジアをリードできる可能性」

近年、民間企業による人工衛星が増加しており、衛星からの位置情報やリモートセンシングデータを活用したさまざまなビジネスの創出が期待されています。その中の一つで注目されているのが「スマート農業」。労働力不足が深刻な日本の農業において、測位情報を使って農業ロボットを自動運転させるなど衛星の活用が進められています。 農業におけるビークルロボティクス研究の第一人者である北海道大学の野口伸教授は、2022年に高知県の柚子農園で準天頂衛星「みちびき」を活用した柚子の運搬作業の実証試験を

人工衛星がスポーツにもたらす変革 選手や馬の動き、位置を測定 ケガの低減にも

北米プロスポーツ史上最高額でドジャースへ移籍し、日々その動向が報じられているメジャーリーガーの大谷翔平選手。今年1月にドジャースの公式SNSで大谷選手のトレーニング姿が公開された際、胸部に見慣れない黒い器具を装着しているのが注目を集めました。 こちらは「デジタルブラジャー」とも呼ばれる器具で、アメリカのGPSを含むGNSS(Global Navigation Satellite System、測位衛星システム)を使って選手の走行距離や最高速度などさまざまな指標をリアルタイム

人工衛星データを活用したビジネスの先進事例 業界別に解説

近年、民間企業による人工衛星の打ち上げが急増していますが、それに伴い人工衛星から得られたデータを活用したさまざまなビジネスも展開されるようになりました。 身近な例では、天気予報アプリや位置情報を使ったサービス、さらには衛星の観測写真をもとにスーパーマーケットの駐車場の空き状況から投資先を判断するなど画期的な事例も増えています。 一般的に「衛星データ」とは観測衛星から得られた地球上のデータを指しますが、本記事では測位衛星や通信衛星も併せて、市場に広がりつつある人工衛星を利用し

自然災害と人工衛星 防災と減災に向けた、観測・測位・通信衛星の活用事例

日本は、地震や大型台風、集中豪雨や洪水などの被害に見舞われる事が多い、自然災害多発国です。避けることが難しい自然災害ですが、被害の甚大化を防ぎ、最小限に抑えるための予測・予防に、人工衛星および人工衛星によって取得した「衛星データ」の活用が進んでいます。 観測衛星を用いた、災害予測と減災の取り組み 災害に関連した観測衛星の用途は、大きく「災害予測」と「被害拡大の抑制」の2つに分けられます。 衛星データを用いた、災害の予測 衛星データを分析することで、災害リスクの高い箇所を

宇宙ビジネスの現在地と今後|市場規模や課題、日本の注目企業を紹介

2021年、ZOZOの創業者である前澤友作氏が、民間人として日本で初めて国際宇宙ステーションに滞在したことは、記憶に新しいでしょう。この年は「宇宙旅行元年」と呼ばれており、数々のビリオネアが宇宙旅行を実現させました。 さらには、2022年から始まったロシアとウクライナの紛争で一躍注目を浴びたのが、イーロン・マスク氏率いるスペースX社の衛星サービス「Starlink(スターリンク)」の存在です。ウクライナがロシアの攻撃で重要なインフラを破壊された際、同社がスターリンクを無償

【図解コラム】通信における「電波」と「光」の違いは? それぞれの長所と短所

民間企業による人工衛星の打ち上げが急増し、これから10、20年で市場が爆発的に広がると期待されている宇宙産業。現在、人工衛星の通信には主に「電波」が使われていますが、近い将来「光」も多くの通信で用いられるようになると、さらなる高速・大容量・低遅延の通信が実現すると言われています。 私たちは普段、音声や画像、映像などさまざまなデータをスマホやPCで送り合っていますが、この通信にも電波や光が使われています。光回線、光ファイバーといった単語には聞き馴染みがあっても、なぜ光のほうが

人工衛星による「光害(ひかりがい)」、天文観測へ深刻な影響 夜空の文化遺産を守るためには

地球から高度200km~1000kmほどの低軌道上に、何百機、何千機もの人工衛星を打ち上げて一体的なサービスを展開する「衛星コンステレーション」ビジネスが、近年盛り上がっています(※参考記事)。世界に大きな市場をもたらすと期待が寄せられる一方で、衛星による「光害(ひかりがい)」を懸念する声も天文学者の間で年々高まっています。 天体観測が阻害されるだけでなく、人類が築いてきた“夜空における文化遺産”が失われるとも指摘される、衛星コンステレーションの「光害」。世界で交わされてい

「光通信は、実装のフェーズに入ってきた」ワープスペースが構想する、通信衛星とそのマーケット

「宇宙の通信をよりシームレスに」という目標を掲げ、地球と宇宙を結ぶ光通信ネットワークの実現を目指す宇宙スタートアップ企業、株式会社ワープスペース。 同社が構想する「WarpHub InterSat(ワープハブ・インターサット)」は、中軌道上の人工衛星3基による衛星コンステレーションです。3基の衛星の役割は、地上局と人工衛星との間で行われる通信を中継すること。光通信を利用して、従来よりも大容量かつ高速に、人工衛星が取得したデータを地上へと伝送するのがサービスの目的です。 ワ