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2024年3月の記事一覧

日本のスマート農業に人工衛星がもたらす未来 第一人者が語る「アジアをリードできる可能性」

近年、民間企業による人工衛星が増加しており、衛星からの位置情報やリモートセンシングデータを活用したさまざまなビジネスの創出が期待されています。その中の一つで注目されているのが「スマート農業」。労働力不足が深刻な日本の農業において、測位情報を使って農業ロボットを自動運転させるなど衛星の活用が進められています。 農業におけるビークルロボティクス研究の第一人者である北海道大学の野口伸教授は、2022年に高知県の柚子農園で準天頂衛星「みちびき」を活用した柚子の運搬作業の実証試験を

人工衛星がスポーツにもたらす変革 選手や馬の動き、位置を測定 ケガの低減にも

北米プロスポーツ史上最高額でドジャースへ移籍し、日々その動向が報じられているメジャーリーガーの大谷翔平選手。今年1月にドジャースの公式SNSで大谷選手のトレーニング姿が公開された際、胸部に見慣れない黒い器具を装着しているのが注目を集めました。 こちらは「デジタルブラジャー」とも呼ばれる器具で、アメリカのGPSを含むGNSS(Global Navigation Satellite System、測位衛星システム)を使って選手の走行距離や最高速度などさまざまな指標をリアルタイム

人工衛星データを活用したビジネスの先進事例 業界別に解説

近年、民間企業による人工衛星の打ち上げが急増していますが、それに伴い人工衛星から得られたデータを活用したさまざまなビジネスも展開されるようになりました。 身近な例では、天気予報アプリや位置情報を使ったサービス、さらには衛星の観測写真をもとにスーパーマーケットの駐車場の空き状況から投資先を判断するなど画期的な事例も増えています。 一般的に「衛星データ」とは観測衛星から得られた地球上のデータを指しますが、本記事では測位衛星や通信衛星も併せて、市場に広がりつつある人工衛星を利用し

【堀江貴文×野口聡一】日本版スターリンクで時価総額1000兆円超も。衛星ビジネスの無限の可能性

「宇宙というと『夢や希望がありますよね』だとか、そんな話を期待されますが、僕のなかでは宇宙はもう完全に事業になっています」 こう断言するのは、実業家で、ロケット開発に取り組むベンチャー、インターステラテクノロジズ株式会社 取締役・ファウンダーを務める堀江貴文さんです。 国際社会経済研究所(IISE)が2月9日に開催した「IISEフォーラム2024 ~知の共創で拓く、サステナブルな未来へ~」では、堀江さんをゲストとしてお迎えし、基調講演とパネルディスカッションで宇宙産業を注

自然災害と人工衛星 防災と減災に向けた、観測・測位・通信衛星の活用事例

日本は、地震や大型台風、集中豪雨や洪水などの被害に見舞われる事が多い、自然災害多発国です。避けることが難しい自然災害ですが、被害の甚大化を防ぎ、最小限に抑えるための予測・予防に、人工衛星および人工衛星によって取得した「衛星データ」の活用が進んでいます。 観測衛星を用いた、災害予測と減災の取り組み 災害に関連した観測衛星の用途は、大きく「災害予測」と「被害拡大の抑制」の2つに分けられます。 衛星データを用いた、災害の予測 衛星データを分析することで、災害リスクの高い箇所を

宇宙開発における技術のデュアルユース 国内での議論と現在地

2022年7月、日本の科学者の代表機関である日本学術会議が国内の先端技術研究に関して発表した、ある声明が話題になりました。それは、軍事用途と民生用途、その両方で特定の技術を活用する「デュアルユース」に関するものです。 これまでの日本学術会議は軍事目的の研究は行わないとし、デュアルユースを一貫して否定する立場を取っていました。 しかし上記の発表において日本学術会議は、軍事用途と民生用途は「単純に二分することはもはや困難」であると発表。デュアルユースに関して、軍事目的のための