映画「WISH」の続編を考えました

昨日何の前情報も無くWISHを観ました。
帰宅のバスの中で彼らのその後を考えていたら止まらなくなり、そのまま一つのストーリーが出来ました。
ここから先は、私個人の勝手な解釈から生まれた二次創作となります。
ネタバレも含まれます。
苦手ではない、という方だけどうぞ。絵本風の文章にしてみました。



あの日から2年。
女王となったアマヤと、魔法で女王を支えるアーシャ、願いを自分で叶えようと希望に満ちた日々を過ごす人々。ロサスは平和そのものでした。
そして、スターが空に帰る日が近付いていました。
その事を知ったアマヤ女王は、アーシャとスターにお願いがあると申し出ました。
「マグニフィコのことですね?」
アーシャは、アマヤ女王があの日から何度も彼に会いに行っていたことを知っていました。
鏡に閉じ込められたままのマグニフィコ。はじめの頃は全く反省の色を見せなかった彼も、今では国の人々を心配し、後悔を口にしているのでした。
「彼に取り憑いた邪悪な力。あの力を抱えたまま抑え続ける事は難しいでしょう。けれど、スターの力を借りられれば……」
アマヤ女王の言葉に、アーシャが続けます。
「あの力を、取り除けるかもしれない……?」
スターの意見を聞いて、アーシャは言いました。
「マグニフィコ自身が手放したいと強く望むなら、できるかもしれないですって!」


鏡から出して貰える日の朝、1人の見張りの兵がマグニフィコにそっとささやきました。
「何もかも完璧なマグニフィコ王に、なんてひどい仕打ちでしょう。民たちの為にしたことだったのに。皆、なんて無礼で恩知らずなのでしょう。
アマヤ様では王のように国を治める事はできません。必要な時の為にあの魔力は持っておくべきです。
改心したふりをして一旦私に預けるのです。
なぁに、心の中で願えばいいだけです。けっして秘密はもらしません」

アーシャとアマヤとスター、そして数名の兵士がいる中、マグニフィコは鏡から出されました。彼は2年ぶりにお城の中に立ったのでした。
「禁断の書の力、私の中から去れ!」
マグニフィコが力強く宣言し、そしてスターの力で、禁断の魔法の力は空へとかえしました。
無事終わったと思ったその時、大きな音がして城に恐ろしい顔をした兵士が入ってきました。
空へはなたれた邪悪な力を、城の外に隠れていたあの見張りの兵士が受け取っていました。マグニフィコがこっそり心でそう望んだからです。
そして兵士はこの事を知った全員を亡きものにし、ロサスの国を自分のものにしようとしていたのでした。けれど、力をうまく操れずに暴走を始めたのです。
マグニフィコが改心していなかったことを知ったアマヤ女王は悲しい目で彼を見、そして去るのでした。

アーシャ達は国民たちに逃げるように呼びかけながら、アマヤ女王を森へ逃がすために走ります。

暴れる兵士から逃げてきたマグニフィコは、街を逃げ惑っている人々の中にいました。
目の前で転んだ少年を助け起こすと、その子は大事そうにマグニフィコのクッキーを持っていました。
少年は自分に声を掛けたやつれた男がマグニフィコだとは気付いていません。
「月に1度、このクッキーが国民全員に配られるんだ。その日、皆は彼がいつか救われますようにと祈るんだよ」
妻のアマヤだけでなく、皆が自分のために祈ってくれていたことを知り、マグニフィコは自分の行いを本気で悔いるのでした。

あの兵士は街を壊しながら進み、アーシャ達のいる森まで追ってきました。アーシャとアマヤ女王は願いの木まで追い詰められ、もうだめだと思った時、立ち向かったのはマグニフィコでした。
禁断の書の魔法の力は、マグニフィコの魔法だけでは抑えきれそうにありません。
マグニフィコがスターにいいました。
「もう一度だけ手伝ってくれ!」
スターがこたえると、マグニフィコは邪悪な力を兵士ごと抱えたまま叫びました。
「禁断の書の力よ、空の彼方へ飛んでいけ!」
兵士と禁断の魔法、マグニフィコ、そして帰る時が来たスター。みんな空へと消えていったのでした。


そして、50年の時が過ぎました。
アマヤ女王はついに再婚することなく、次期国王は国民たちの推薦でアーシャの娘が選ばれていました。そしてさらにその息子である小さな男の子が、50年前の話を聞いて言いました。
「だからアマヤ様もおばあちゃんも、時々寂しそうなの?」
アマヤとアーシャは顔を見合わせ、男の子に優しく笑いかけるのでした。

ロサスの港に小さな船がつけられました。
降り立った老人に船乗りが話しかけます。
「本当にいいのかい?ここが願いを叶えてくれる国だったのは何十年も昔の話だよ。
それに、"九死に一生を得たがもう国には帰れない"って、昔言ってたよな?」
「……ああ。だが帰る理由ができたんだ。
50年願い続けてやっと叶った……さぁ、スター。君の友達に会いに行こうか」
願いの木が風に優しく揺れていました。

   おしまい


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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