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社員は辞めるもの、これからの企業は社員の育成をしないかもしれない

こんにちは、ITコンサルのケビン松永です。

新卒で大手SIerに就職し、15年間システムエンジニアとしてサラリーマンをやっておりましたが、40歳の時に思い悩んだ末に独立し、現在はフリーランスでITコンサルをやっております。

人材育成の重要性と限界

私の前職の最終キャリアは課長職だったんですけど、若い頃から人材育成・教育には、多大ならぬ関心を抱いていて、部下の育成も、普通の人の10倍ぐらい真剣にやってきた自負があります。

ただ、部下や後輩の育成に真剣に向き合ったことがある人なら誰しもが、育成しても思うようにはならず、打ちひしがれた経験もあるのではないかと思います。

・言われたことしかやらない、やれない、やりたくない
・一段上のレベルを目指す気もない
・何が分からないのかが分からない
・気持ちはありそうなんだけど行動が空回りしている

そういう相手を目の前にした時に、マインド面・テクニック面双方からどのようにアプローチしていけば良いのか・・・。ある程度の経験を積んで、後進を指導する立場になったら人なら必ずぶち当たる壁です。

中間管理職ならではの悩み

近未来予想図サロンにも時より、育成に関する悩みが寄せられます。

打合せの段取りも資料作成も、指示されたら「わかりました。大丈夫です。」と素直に応じるものの出来映えは大体30点レベル。ミスがあるというより、前提条件や段取りを確認せずに手を動かしているという印象。

その場では「すみません、気をつけます。」と言うものの結局自分で黙って進めがちです。で、心配になって、アレどうなってる?としつこく言って出てきた中間成果は、どうしてこうなった!?状態も多く。コロナ禍だし最初は仕事覚えるのに時間かかるよね、と思ってましたが、1年過ぎて流石にこれはアレかも…という状況です。
本当はいい大人に対して指導とか人材育成とかおこがましいと思っており、チームメンバーがやりがい持って働いた結果として会社の利益と人材価値が高まる仕組みにしたい、会社や自チームが合わないならいつでも出て行ってくれと思ってますが、なかなかそううまくいくものではないですね。。

こちらは、コロナ禍の最初の緊急事態宣言の頃に入社した新入社員の育成に関する悩み相談だったのですが、多くのアドバイスが寄せられました。

とりあえず、こういう状況になってしまった場合は、私の場合は、いったん10時・16時で朝会/夕会を10分1本勝負で設定して
朝会:今日やることは何か、どのように進めようとしているか
夕会:予定した仕事はできたか
を確認しつつ、そのコミュニケーションで知識不足・理解不足がある場合にはそのテーマで別途セッションを設けるようにしています。自分が課長職で、部下に主任/係長などが居て、その部下に2年目がいるとしたら、とりあえず最初は、3人で朝会・夕会やOJTセッションをやるようにして、ペース掴めてきたら、2人でやらせる、頻度を落としていく感じです。

同時期、坂口ジャス子さんによるこんなnoteも話題になりました。

改善はしているけれども

上でご紹介した新入社員の10ヶ月後

昨春、若手社員の指導について相談にのって頂きました。おかげさまで本人・先輩社員と3人で毎日朝礼を行って作業内容や見通しを確認し、仕事術系の書籍も何冊か渡して何とかやっております。
30点から65点まではきているものの「指示したことはできるけど自分で動けない」ことがここ数ヶ月の悩みです。

毎日朝礼やってるってすごい...。頭が下がります。

毎朝朝礼で作業予定を報告、気になるところに私や先輩社員がコメントという形式なのですが、ずーーっとやってるのに指摘が減らないというか、同じような指摘を繰り返しているというか。

「今日言ったことは本来であれば自分で気づいて動いてほしいので、次の作業の際には時間とってよく考えてやってみて下さい。」「はい。気をつけます。」という空しい会話を繰り返す毎日ですが「指示したことができる」段階から「具体と抽象を行き来して効率と品質を上げる」に進むにはもう少し時間がかかるんですかね。。

実らない育成はつらいんだよなー。

できるやつは勝手に伸びていくし、できないやつは手塩にかけても伸びない。であるならば、自分がやってる育成には意味はあるのだろうか。仮に育成した結果で伸びたとしても、それが自分が育成した結果だとどうしてわかるのだろうか。勝手に時期が来て伸びただけなのではないだろうか。

そもそも、人が人を育成するなんて、創造主たる神様に反くおこがましいことなのではないだろうか…。みたいな事を考えてしまいます。

実は日本全体を取り巻く課題でもある

生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が減少している日本においては、ベテランのノウハウを後進に移植していく育成というのは急務でもあります。

IT業界でも「2025年の崖」という衝撃的なタイトルで話題を呼んだDXレポート(経済産業省発行)は、多くの業界関係者に衝撃を与えました。そして、その崖を越えるために解決しなければならない課題の1つが「人材不足」に関するものとなっています。

また、年功序列・終身雇用が前提であった企業も、急速にジョブ型雇用への移行を強めており、育成への影響も出てくるのではないかと想像されます。

転職前提で1〜2年しかいない若者を、上司・先輩が育成してスキルアップに協力するインセンティブ働かないですからね。

ジョブ型雇用の米国などは、育成は個人の責任と捉えられているところがあって、日本も徐々にそのような考え方にシフトしていくのではないかと思われます。

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今後予想される方向性

そのような背景を踏まえて、「近未来の企業の育成ってどうなる?」というテーマをサロンで考えてみました。

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今回もメンバーの皆様からたくさんの投稿をいただき、内容もウンウン頷くものばかりで、近未来が少し垣間見えた気がしました。

【育成のアウトソーシング化・ジョブ特化型 】
・大企業は新卒一括採用を辞めて中途採用に舵を切り、育成は中小企業でお願いします
・企業内では、長期的な人材育成は行わない。自分で目指すジョブに向けたスキルアップを図る
・教育はOJTに限界が出てきて外注が増える
・コーチングも向き不向きあるからマネージャー全員にやらせようとするのが無理
【育成責任が企業から個人に移る】
育てない、やれることをやってもらう
社員は辞めるもの、長期のリーダーを育てるなんてことはしない
・スキルアップのための研修は報酬の⼀部
【テクノロジーを使ったジョブやスキルの可視化】
・ウェアラブル端末を含めた仕事/スキルの見える化
・「分からないが分からない」をAIが分析して可視化する
・ゲーミフィケーションやVRを使ったトレーニング

そして2022年1月のMVPは・・・・

今回のテーマでも、サロンメンバーの皆様にうんうん唸ってもらって、未来を想像してもらいました。そして、厳正なる投票の結果、今月の最も素晴らしかった未来予想が決定されました!

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ひいらぐさん:バーチャルできる先輩なりきりシュミレーター
最近始めた社内の新人育成法が元ネタですが、ベテラン1に新人2、3人を付け、業務を完全に「思考」と「作業」に分割してベテランは「思考」してそれを「思考文書」に落とす。

新人はそれを読んで「作業」して納品、これを繰り返すうちにベテランの思考が自然に伝承されて行きます。

また、組み合わせは定期的に入れ替えて特定の師匠のスタイルに偏らないようにして平準化させます。これは元々はキャパアップのために外注の設計会社を育てて弊社スタイルの設計を覚えてもらうために始めた方法でしたが、新人の短期育成にも効果あると思い最近取り入れました。

で、ここから更に進化した育成法としてVRを使って行えないかな、という案です。過去の先輩の業務をすべてカメラで記録して、VRコンテンツにします。新人はそれを装着してバーチャル世界で先輩になりきって先輩の仕事ぶりをトレース体験します。

思考中の頭の中までは映像だけでは再現しないので、そこはコンテンツにナレーション入れるなど相当洗練する必要がありますが、うまくいけば先輩の業務経験、思考をまるっと自分の体験として吸収できるのではないか!と。

実際やってみるとハードルは山程ありそうですけど、個人的にスキルの体得は「一回経験したことがあるか否か」がすごく大きいと思っているので、そこをVRででも一回経験をさせるのはけっこう吸収率は高いのではないかと期待するところです。

この投稿、実際にひいらぐさんの業務でリアルにやっている取り組みで、ベテランが「見て盗め」に逃げずに、ちゃんと自分の思考を「思考文書」に落とすという努力をしている事が本当に素晴らしいなと思いました。

言語化できることは、再現性が高くなる。新人に移植することも容易になりますけど、コンピュータ(AI)に取り込むことも可能になる。

詳しく話を聞くと、そんなに簡単な取り組みではなく試行錯誤を繰り返しているようなんですが、思考文書や取り組みノウハウがいずれ組織の宝になっていくのではないかと思いました。

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近未来予想図はこんなコミュニティです

「近未来予想図」は各業界を横断した個性豊かな会員のみなさまと

「少し先の未来はこうなるのでは?」

とテーマを決めて近未来を想像し、自由にブレストを楽しむコミュニティです。

先日は「近未来予想図メタバース会議」と題して、Meta(旧Facebook)が提供しているメタバース Horizon Workroomsに集結して近未来を語ってみました。

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近未来予想図は、意識高すぎず低すぎず、適度な温度感でゆかいな仲間たちでわちゃわちゃやっております。

【こんな人におすすめ】
・知的好奇心が旺盛である
・時事、テクノロジーなどの話題にアンテナを高く張っていたい
・新しい繋がりがほしい、意見交換をしてみたい

新しい繋がりを求めるのが難しくなってきている昨今ですが、ぜひこの機会に近未来予想図を『サードプレイス』として、一緒に遊んで、適度に学んで行きませんか?

あなたのご参加を心よりお待ちしております!


ぜひサロン紹介動画もご覧ください


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この記事を書いている人:ケビン松永

プロフィール

大手SIerで15年間システムエンジニアをやっていたが40歳を契機に独立し、現在はフリーランスのITコンサルとしてクライアント企業のIT部門に参画。また、ブログ、Twitter、YouTube等のSNSで積極的に発信を行なっている。意識高い系より尿酸値高い系。
ブログ:ストレスフリーに生きる技術
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