ウクライナ戦争が突きつける「表現の自由」と「フェイクニュース」のジレンマ

ロシアのウクライナ侵攻

2021年1月からロシアはウクライナ国境で大規模軍事演習を繰り返していましたが、2022年2月21日にロシアはウクライナ領内の自称・ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国を独立国家として承認し、これらの国の平和維持を名目として、ウクライナへの全面侵攻を開始しています。

SNS上でリアルタイムに中継される戦況

今回の戦争の大きな特徴として、SNSの存在の大きさが挙げられます。火炎瓶を投じられるロシア軍の戦車や、爆撃の映像など、最前線からリアルタイムに衝撃的な戦況がアップロードされています。

また、ウクライナのゼレンスキー大統領は、世界に向けて積極的に動画で発信をしており、世界から圧倒的な支持を集めることに成功しています。


Twitterで進むドラマチックな展開

また、戦況がSNS上でリアルタイムに中継されるだけでなく、関係者同士のやりとりがTwitterのメンションなどを使って公開で行われ、多くの人が歴史の目撃者となるようなダイナミックな展開も多々ありました。

例えば・・・ウクライナの通信インフラがロシアに破壊され、ウクライナ国内でのネット通信に支障が出ていた場面では

ウクライナ ミハイロ・フェドロフ副首相イーロン・マスク、あなたが火星を植民地化しようとしている間に、ロシアがウクライナを支配しようとしています。あなたが宇宙からロケットを着陸させようとしている時、ロシアのミサイルがウクライナの市民を攻撃しています。どうかウクライナにStarlinkステーション(衛星通信サービス)を提供してください。
イーロン・マスク「Starlinkサービスはウクライナで利用可能。端末も発送中」

なんなのこのスピード感・・・ 私も実際に目の前で目撃していて鳥肌が立った瞬間でした。

他にも、ウクライナ・ゼレンスキー大統領から、トルコ・エルドアン大統領にTwitter上のメンションで黒海を封鎖するよう依頼がありました。

もう、地政学的な外交と考えたらメチャクチャなやりとりなんですけどね・・・でも、その結果はと言うと

マ、マジですか・・・。お、おう、そうなんや。。

いつ何が起きるか分からない。そんな感じで、いっときもTwitter目を離せないのが今回の戦争なのです。

ディスインフォメーション(フェイクニュース)にご用心

Twitterを始めとしたSNS上でやりとりされる情報が大きな意味を持ってきている一方で、ディスインフォメーション(フェイクニュース)についても取り沙汰されています。

ロシア・ウクライナ双方から出される大本営発表には、自軍を有利に運ぶためのプロパガンダやフェイクが含まれていますし、さまざまな利害関係を持った構成員や、愉快犯なども含めて、非常に多くのフェイク動画・デマが拡散されているという指摘もあります。

思いっきりポジショントークのプロパガンダや、分かりやすいフェイクはまだ良いんですが、例えばこんな感じの意見論評というのは扱いが難しい。

・戦争は良くない、どんな理由でも戦争には反対だ
・ロシアもウクライナも両方とも武器を置くべき
・程度の差はあるかもしれないが戦争とは双方に責任があるものである

一見、話としては理解はできなくはない。一定程度の支持も集まるかもしれません。ですが、これが「世論をどっちもどっちに持ち込む」ロシア側の工作として発信されていたらどうでしょうか。

西側世界としては表現の自由の範囲内で行われている意見論評の範疇ですので、工作として見分けるのも難しいですし、見分けられたとして違法行為ではないので排除するのも難しい。サイバー空間ではこのような巧妙なミーム戦が行われていると我らが山本一郎隊長が指摘しております。

このSNS時代に私たちはどのように行動すべきか

リアルタイムに展開される衝撃の動画や、歴史の1ページになるかもしれない各国の首脳同士のやりとりなど、SNSでやりとりされる情報が重要性を増す一方で、それは意図を持った誰かが仕掛けているフェイクの可能性もあります。

このSNS時代、私達はどのように行動すれば良いのでしょうか。

まずは、SNSで刺激的な情報を見たとしても、いったん一呼吸置き、それが信頼できるソースにチェックされるのを待つというスタンスもあります。これは10年以上前の東日本震災時にも盛んにTwitterで議論されていた論点だったと記憶しています。

窓際三等兵さんは、このツイートの真意を詳細に解説してnoteにもまとめておりました。

その一方で私は「脊髄反射で拡散されているSNSの大きなうねりが起こしている世界の変化」というものも同時に存在していると感じており、一人一人が一呼吸置いて拡散を抑止することに対して、両手を上げて正しいとも思えずモヤモヤしています。

望むと望まざるとに関わらず、世界の潮流は、目の前の情報を脊髄反射で拡散する方向になっているとも思えます。

そもそも、戦争という有事でなくとも、ネットの情報はフェイクやデマやステマに塗れています。

何がフェイクで、何がファクトで、何がステマで、何が意見で、何がミーム戦でなのか、境目は非連続ではないため、それをきっちり切り分けるのは非常に難しい。

ただ、そういう曖昧な世界にあっても、私はなお、表現の自由に重きを置きたいと考えています。

自分自身で考え、それに基づいて自分の思った通りに意見論評をする

例えその中身が荒唐無稽であったとしても、フェイクニュースに影響を受けていたとしても、適法の範囲内であればその自由は尊重したい。その人から意見論評の権利自体を剥奪するアプローチではなく、対向言論でボコボコにするのが、健全な社会だと思ってます。

人はそれぞれ価値観も意見も異なります。話し合えば分かり合えるというのも幻想です。でも、対話や議論を通じて、どこが自分と相手の違うポイントなのか、そこからインサイトを得てお互いに発展していくためには、意見論評をする自由というのは非常に大事な要素だと感じます。

正反対はこれね。

とはいえ炎上も嫌だよね

ただ、率直に自分の意見をポロッと言っただけなのに、瞬く間に切り取られて野放図に拡散されて炎上するみたいなことも最近は特に増えました。

そのため「SNSは主に情報収集用途で、発信はしない」というスタンスの方も増えてきた気もします。まあ、そうですよね。

まあ手前味噌で恐縮ですが、近未来予想図はそんな方のためのコミュニティーみたいなところもあります。クローズド空間ですので、Twitterのように炎上することもなく、自由に意見が言える空間で、心理的安全性も担保されていると思います。全体的に自分の言いたいことを言いっぱなしで終われるように運営していまして、対向言論でボコボコにされるようなこともございません 笑

先日、DMM公式にインタビューも受けて記事化されてますので、よかったら見ていってください。

やっぱりね、言いたいことを言える社会が良いと思うんですよ。

目の前の情報はフェイクかもしれないし、敵国の工作員が流している撹乱情報なのかもしれないという意識は持ちつつも、今日も脊髄反射で情報を拡散し、どんどん自分の意見を発信していきませんか。




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