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夢うつつ。愛しの王子へ捧げる『燃えよ』。

今朝の出来事。

午前4時半。ベッドの足元にすとんと飛び乗った気配。この重みは愛犬の王子だ。横向きで寝ていたわたしの背後にゆっくり近づいて来る。そして、脇腹に両前足をのせると、かりかりと引っ掻き始めた。羽毛布団にカバーをかけていない時にするしゃりしゃりという音が聞こえる。だんだん強い力で掻きながら、わたしの体を乗り越えようとした。あまりの勢いに驚いて「待って待ってやめてやめて王子!」と言うと、おとなしく動きを止め、足元に戻ってベッドから飛び降りた。聞き慣れた「トン」という着地音。

目を開けて振り返る。誰もいない。なんの気配もない。不安になって立ち上がり、カーテンを開けて外を見る。何事もない。階下に降りて確かめる。何事もない。

1年1カ月と少し前に、急逝した王子。何の前触れもなく、ある日突然、天に帰ってしまった。最期に立ち会うこともできず、もう息をしていない彼を抱いても実感が湧かなくて…。なかなか死を受け止められず(多分、王子もだと思う)、いまだに近くにいる気がしている。

それにしても、あんなに激しく引っ掻いて、何を伝えに来たのだろう。一瞬でも、怖いと思ってしまった自分を悔やんでいる。いつも寝ていた定位置に行きたかっただけなのかな。あのまま乗り越えさせてあげればよかった。そしたら姿が見られたかな。

4番目にわが家に迎えたわんこ。最後のパートナードッグ。夢でもいいから会いたいと願っているのに、ごめん。また来てね。いつでも待ってる。

夜遅くに病院に迎えに行って、支払いをせずに帰ったので、行かなくちゃいけないのに行けなくて。心の整理がつくまで待ってもらって、ようやく向かった日の道すがら、ずっと口ずさんでいたのが、風くんの『燃えよ』。

しょげた顔をひっさげて
石ころを蹴っ飛ばして
太陽が泣いてるよ
ほら見上げてみて

王子は、SUNという名前。この歌詞に本当に力を分けてもらった。

今日も聴こう。そうしよう。

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