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美しいピアノ。海も、風も。

高速落下中の心を掬い(救い)上げるため、風くんのピアノを聴く。

パナスタの『ロンリーラプソティ』のイントロは、きらきらと煌めきながら清らかな音がこぼれ落ちて光が拡がっていく感じ。心がすーっと鎮まって、じんわり温かくなる。

風くんのピアノは、紛れもなく風くんの音色。ピアノが弾けないわたしでも、少しは聴き分けられるようになった(気がする)。

コロナ禍をきっかけにNetflixに加入し、すぐにアニメ『ピアノの森』にはまった。サントラを買い、毎日毎日飽きずに聴いた。吹き替えで演奏したピアニストの方々の音を聴き比べ、同じ楽曲でも全く違う表現になるのに驚いたし、自分の好きな音に出会う喜びも知った。聴き流すだけだったクラシック音楽だけど(すみません)、演奏者の個性に耳を澄ますようになった。

そのNetflixで、風くんのLIVE映像を観られる日が来るなんてね。

あー、もう一度、LAAT(アリーナツアー)冒頭のピアノ弾き語り部分も聴きたいな。特にオープニングの『The sun and The moon』。あまりに美しくて厳かで、会場が神聖な空気で満たされた。

月の映る静かな湖面。木の葉から雫が落ちて小さな波紋が拡がる。少しずつ月は傾き、やがて山間からゆっくりと太陽が昇ってくる。そんな心象風景。

そういえば、オリンピック記録映画のSIDE Bの音楽が風くんじゃなかったのをつい先日知った。監督の熱烈ラブコールで風くんに楽曲依頼をしたはずなのに、ああいう結末を迎えていたなんて…。全国ツアーが始まることに浮かれていて全然気づかなかった。

劇場公開には行かなかったし、配信も観ていない。ただ、SIDE Aを劇場で観た、風くんを全く知らない中年男性が「音楽がすごく良かった」と言っていたのを思い出す。エンドロールで藤井風という名前を知ったって。きっと素晴らしいんだろうな。いつか観よう。

ところで、パナスタの『何なんw』の軽やかさよ。オープニングだからか、ピアノも弾んでいて心が踊る。アリーナツアーのエンディングの情熱的な(各地の)ピアノを何度も聴いた後なので、とても新鮮。

ピアノを弾ける人たち、いや、どの楽器でも、弾ける人が羨ましい。譜面の読めないわたしは風くんのスコアを買っても宝の持腐れだもんね。

昔々、矢野顕子さんの事務所に勤めていた頃、矢野さんと高橋悠治さんがスタジオで同時にピアノを弾く場面があった。その時、急に、矢野さんの譜めくりを命じられた。えーと、譜面読めませんが…という言い訳など通用しない問答無用の状況。やったよね、多分、やったよね、わたし。記憶にない。

あの頃、矢野顕子さんも、坂本龍一さんも天才だと思っていた(そうか、お二人もピアノで音楽を創る人だ)。風くんが生まれる10年以上も前。いま、この世に藤井風という天才がいて、同じ時代を生きられるのは幸せだなぁ。





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