初夏、死にたいわけではないのに、いつも殺されそうだ。


会いたい、寂しい、なんか悲しい、何となく辛い、夜になるとあなたのことを考えてしまうのに、あなたの夜には私がいないってこと、誰に言われなくともわかっているから、また少し泣いて、また少しだけ弱くなる。

もういっそ、あなたじゃなくてもいい。

そう呟いて、あなたじゃない誰か、すら私にはいないことを自覚する。誰一人、眠れない夜に私のことを思って寂しくなったりはしない。

それなりに仕事は忙しいし、それなりの友人と同僚に囲まれて、それなりに楽しい日々にいる。そんな、それなりで満足できないことが辛い。

助けて、救って、離さないで、とは言えない。言えない、のか、言わない、のか。いやそもそも、言う人もいないのか。一体、誰に?

冬の冷たさに押し潰されそうになりながら、目を瞑って耳を塞いで、白い息を吐き出して心の殻に閉じこもっている間に、どうやらとうの昔に桜は咲いたようで。どうやら、とうの昔に、桜は散っていたようで。夕方6時の空は、明るいんだね、知らない間に時間ばかり過ぎていくんだね。風はどんどん生ぬるくなって、季節だけが進んでいくのに、どうやら、まだ私は寒がりなまま。冷たいまま。もうすぐ夏。もうすぐ夏。この雨が止んだら、きっともう戻れない。いや、もうすでに手遅れだ。私たちは冬の寒々しさも、春の空々しさも鬱陶しくて、面倒で、寂しくて、寂しくて、寂しいまま、耐え抜いた。そうして、耐え抜いた先で、あの夏に殺されそうになる。


ああ、そっか、これが孤独ってやつか。


また、強くならなくちゃいけないね。私たち。

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