ep. 1

「私が消えてしまったら、それを君はどう受け入れるのか、受け入れられないのか、気になる」
と言った。君は自分以外の何かや誰かばかりを気にしていた。
「君が消えたら僕も」
消えるよ。受け入れる、受け入れないの話じゃないんだよ、と僕は言いかけてやめた。試されているのかもしれなかったから。僕が存在を許されているのは、この世界に生かされているのは、君がいるからだと思った。本気で思ったのだ。けれど、それに、その感情に、なんの根拠もなくて、言語に出来そうにもなくて、やめた。

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