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そう言えばクローン病だった私(消したいほど微かな記憶②)


体調が悪いまま、退職した私は実家の農業と祖母の介護を手伝って無職生活していた。
父がりんご作りをしていた為、畑に行った。
何の手伝いをしたか記憶にない。
(苗木植えだけは覚えてる)
ただ、自分は農家は向いてない!と強く感じた。

夏になると、なぜかお見合い話を勧められた。近所の(世話焼き)おばさんの知ってる人だという。それまで彼氏がいた事がない私。年下の従姉妹に「私、お見合いするんだ」というと『え!振袖着てかなきゃ』なんてからかわれていた。お見合いという言葉にビビりながら当日を迎えた。

普段ぜったい穿かないスカートを穿いた。
近所のおばさんに会場(和食のお食事処)に連れて行かれ、相手の男性と付き添いの女性の四人でご飯を食べた。緊張して何を話したが覚えていない。(22年前だし)

10歳上と聞いていたけど、本当は13歳上だった。

食べ終わると私にとって恐怖の言葉が聞こえた。

『あとは、若い二人に任せて』

(ここから、この人と二人っきりになるの?うううう、キツい)

相手の男性もこういう事に慣れてなくて、かなり緊張されてたと思う。男性の車でドライブとなったけど、お互い言葉数が少なかった。私は私で生まれて初めて身体の左側半分だけ汗をかくという体験をした。

「どこに、行きます?」
困る私。何を喋っていいかわからない。行きたい所も特にない。なんならこのまま帰りたい(泣)

男性は、深浦町の閉館したウェスパ椿山へ連れて行ってくれた。施設内のお土産売り場を見たり、スロープカーで上まで登った。天気が悪くて霧がかかり下の景色がほぼ見えなかった。なんだか自分の心がそのまま天気になったみたいで残念だった。楽しくない。
何で今日来たんだろう?ほんとはあなたどうしたかった?

雨が強まり帰宅。途中、風合瀬いか焼き村に寄る。
「おうちの人へどうぞ。」
男性はお土産を持たせてくれた。

『今日は、ありがとうございました。』
お土産を受け取り、家に帰った。
近所のおばさんにその日の報告をしたかどうかの記憶はない。

その翌々日、相手方から断りの電話があった。私は振られた。何だったんだあの時間は?と思った出来事だった。



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