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その2「大転子を引き上げるイメージ」

 前回は、ヒザの動きを固定する「くの字のイメージ」をご紹介しました。くの字のイメージで走れば、ヒザの痛みに悩まされることなく、ラクに長く走ることができる! ……とはいえ、さすがに20キロ、30キロと走っていくと脚がしだいに重くなり、ヒザのあたりもだる〜くなってくるものです。

 今回は、そんなときにあっという間に脚が軽くなる魔法のようなイメージをご紹介します。それが「大転子を引き上げるイメージ」です。

 前回、くの字の脚を動かす支点として紹介した大転子ですが、脚が重くなってきたときにこの大転子を上に引き上げるように意識すると、ヒザのあたりにかかっていた負荷がすぅっと抜けて、脚をスムーズに動かせるようになるのです。

 大転子を引き上げるといっても、大げさな動きをする必要はありません。ほんの1cmぐらいだけ位置を上げるようにイメージすればいいのです。

 それにしても、なぜこんなイメージで脚が軽くなるのでしょうか。そのためにはまず、脚が重くなるメカニズムを考えてみる必要があるでしょう。

 長い距離を走ることによって脚の筋肉に疲労がたまるからというのは言うまでもありませんが、それ以外にもうひとつ重要な要因があるとぼくは考えています。それがフォームの崩れです。長い距離を走っていると体の各部の筋肉がゆるみ、フォームのバランスが知らず知らずのうちに崩れてくるのです。

 とくに注目したいのが骨盤の後傾。骨盤が後傾すると、体の重心は後ろ寄りになります。脚にかかる負担というのは、直立した状態が一番少ないはずであり、重心が後ろ寄りになればなるほど、体を支えるためにより大きな力が必要になります。その大きな力が脚にさらなる疲労を招き、またヒザへの負荷を増大させるのです。

 大転子を引き上げようとイメージすると、腹筋・背筋などいわゆる体幹を内側へ絞りながら上に引っ張りあげる効果が生まれます。この筋肉の動きにより後傾していた骨盤が起き上がって、重心が適正な位置に戻ることにより脚の動きがスムーズになる、つまり脚が軽くなるのではないか、というのがぼくの考えです。

 この大転子を引き上げるイメージは、走るときだけでなく、歩くとき、ただ立ってるとき、椅子に座ってるときでも、意識するとお腹の引き締めや腰痛の防止に効果がありそうなので、マラソンには興味がないという方でも日常生活に取り入れてみるといいかもしれませんよ。


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