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旅する好好爺展 on the web

敬老の日にちなんで毎年9月に好好爺展を開催しようと、昨年9月に初めてのコテーン「ここやで!好好爺展」を開催しましたが、2年目にしてすっかり失念していて開催が出来そうもなかったので、せめてウェブ上でちょっとした企画をやってみることにしました。Twitter、Instagramのフォロワーの皆さんから旅先の写真やそれぞれの故郷の写真をご提供いただき、そこにぼくが好好爺を描き込んで作品にするという企画です。名付けて「旅する好好爺展 on the web」。

多くの方にご協力いただき、全国各地、海外も含め、たくさんの写真が集まりました。それぞれの写真に好好爺を描き込み、コメントを添えて、9月13日から30日までの約半月、順次アップしていきましたので、以下にそれをまとめて掲載します。

北海道百年記念塔は老朽化のため間も無く解体されるそうです。壊すぐらいならはじめから建てなきゃいいのに、懐かしい思い出がなければそう思っていたかもしれません。思い出といっても、小学校のときの遠足でハチに追いかけられたというぐらいのものなのですけど。#北海道札幌市


大学を卒業して就職したのは大阪の会社でしたが、支社が東京の中野にあり、ときどき出張することがありました。東京の建物は全部高層ビルだと信じていたので、初めて訪れたときは場所を間違えたのかと思いました。#東京都中野
たぶん、おそらく、もしかしたら、maybe、probably、perhaps……人はあいまいで自信のないものの先に真理があると信じて、そんな言葉をたくさん生み出したのカモしれません。鴨川でカモを眺めながらそんなことを考えました。#京都府鴨川
物心がついたときにはもう富士山が好きでした。でもそれはテレビや映画のなかで見るものであって、実際には存在しないような気がしていました。なので人々の日常の暮らしのなかに不意に富士山が現れたとき、近所のコンビニで芸能人を見かけたような違和感をおぼえたのでした。#山梨県
あちこちに合戦の跡があります。そこではかつて見ず知らずの人同士が刀で斬り合い、鉄砲で撃ち合っていました。そんなことはこの先起こらないだろうと思いつつ、自分の中にもそこで戦った人たちと同じ血が流れていることは自覚しておいたほうがいいよなって思います。#栃木県栃木市
ロープウェイを口に出すと「ロープゥウェイ」になりがちですが、この「ゥ」がいいなあと思うのです。物事が円滑であるためにはそういう、ないことになってるけど実はあるものがいい仕事をしている気がします。#滋賀県琵琶湖バレイ
悠々と流れる大河や美しい清流など、いろんな川を見て生きてきましたが、「川」と聞いてまず思い浮かべるのって実家の近所を流れるなんの変哲もない濁った川なんですよね。取り立てて思い出があるわけでもないのに。鮭が必ず生まれた川に帰るのもそういうことなのかな。#山口県宇部市
何十年に一度とか、何十年ぶりとか、その華やかな瞬間に価値があるように思いがちだけど、何事もなく続けてきた何十年という期間こそが継続というものの本当の価値だと思います。数十年かけて開花した竜舌蘭にテキーラで乾杯しながら。#三重県志摩市
描いていたらどっちが上でどっちが下かわからなくなりました。まあそんなことは人間が生活する上での都合でしかないので、どっちでもいいんでしょうけども。上とか下とか、表とか裏とか、中とか外とか、たまたま最初にそう決めただけっていうこと、意外と多いかも。#福島県あぶくま洞
まわりに人がたくさんいるのに孤独を感じるというときには、いっそ自分が人間であるということを疑ってみてもいいかもしれません。異質であるということは個性ですから、それを自覚して活かすことができれば、おのずと存在感は高まるだろうと思います。#静岡県伊豆シャボテン公園
海外に行ったときもよく一人でぶらぶらします。怪しい雰囲気の場所にもついつい入り込んでしまうのですが、それができるのは、ヤバかったら走って逃げればいいと思っているからです。毎日走っているのは逃げ足を鍛えるためです。#インドネシアジャカルタ
こどもの頃、平たい石を投げて水面に跳ねさせる水切りが得意でした。あまりにも得意だったので、あの頃投げた石がいまだに日本海のどこかで飛び跳ね続けている可能性があります。付近を航行する船はご注意ください。#鳥取県琴浦町鳴り石の浜
仕事が立て込んでいるとき、自分がもう一人いればなんてことを思うことがありますが、例えば本当に分身できたとして、その分身のほうが自分よりも優れていて、その分身にいつのまにか自分という存在を乗っ取られたら……さあ、がんばって一人で仕事しよっと。#栃木県日光
もしここから落ちたらどうなるだろう……それをリアルに想像できる人ほど高所に恐怖を感じます。そういう想像力豊かな人はとっとと下界におりてクリエイティブな仕事をすればよいのです。度胸や勇気は自分の能力を発揮できる場面でこそ役に立ちます。#富山県薬師沢
暑い日に飲むビールがうまいのは当たり前ですが、寒い日に雪につっこんでキンキンに冷やしたビールを暖房をガンガンにきかせた部屋で飲むのがまたうまいんよ。だから冬はできれば雪国で過ごしたいのです。#京都と滋賀の県境
学校で習ったことは社会に出たら使うことがないなどと言う人がいますが、そういう人は目の前に高い壁がそびえたときどうしているのでしょうか。そういうときのために我々は跳び箱を華麗に飛び越える練習をしたのではないですか。#長野県松本城 
こどもの頃、パスポートと財布だけ持ってイタリアにスパゲッティを食べに行く人がいるという話を聞いて粋だなあと思いました。大人になってわかったのは、イタリアに着くまでに機内食が何回も出てくるということ。食うためには食わなければならない。#イタリア #マテーラの洞窟住居
とかく現代アートはわかりにくいと言われがちです。説明を聞けばなるほどと思えるのですが、それって「こんばんは森進一です」と言わないと伝わらないモノマネと紙一重です。ひと目で美しいと思えるものはたくましくてやさしい。#愛媛県道後温泉
いつか行きたいと思っていた直島。シンボリックだったあの黄色いカボチャは台風で飛ばされてしまったそうです。行きたいと思ったところにはすぐ行かないとな。「いつか」はチャンスをゴミ箱に捨てるときの掛け声ぐらいに思っておいたほうがいい。#香川県直島
長髪をきつく結んだほぼ全裸の太った男がふたり土の舞台に上がり汗だくで激しく抱き合う。そのまわりを小柄な男が奇声を上げて飛び回り、老人たちがしかめっ面で見守る。それが数分間隔で日が暮れるまで繰り返される。相撲を知らなければ、世にも奇妙な物語。#東京都両国国技館
こどもの頃からずっと野球帽をかぶっています。野球よりむしろ野球帽が好きなのです。球場に行けば試合の中身よりもビールを楽しむ。野球というのは本当に懐の広いスポーツだと思います。ちなみにこの帽子は野球ではなくNFL(シカゴベアーズ)のものです。#広島県 #マツダスタジアム
先日料理をしようとキャベツを洗っていたらイモムシがぽろっと出てきました。体の何百倍もあるキャベツを独り占めするとは羨ましいと、自分も何百倍もあるキャベツを想像してみましたが……そんなにいらんわ。#兵庫県淡路島
ふだん口下手な人間は言葉のわからない外国に行ってもあまり困りません。もともとコミュニケーションの際に言葉に頼りませんし、たいていのことは尋ねなくてもわかるよう洞察力と想像力が鍛えられているからです。#韓国釜山
旅行は行くものですが、旅は出るものです。行くことと帰ることはセットですから旅行に行けばやがて家に帰ります。一方、出たものがそのまま元の場所に戻るということはありません。体は戻ったとしても、心はいつまでも漂い続けるような感じがします。#東京都 #東京駅

というわけで、お写真を提供いただいた皆さん、ご覧いただいた皆さん、ありがとうございました。写真を通してさまざまな場所を旅できてとても楽しめました。お写真をお送りいただいたのに使えなかった皆さん、申し訳ありません!気まぐれな好好爺に免じてお許しください。来月は北海道でリアル旅する好好爺をやってみたいと思ってます!

お気持ちだけで十分だと思っていますが、サポートされたくないわけではありません。むしろされたいです。