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その4「ハイタッチのイメージ」

 マラソンのレースを走っていて力をもらえるのが、沿道のひとたちとのハイタッチです。30kmを過ぎていよいよ疲れてきたときに、沿道から伸びる手に軽くタッチをするだけで、いったいどこから湧いてくるのか、体に力がみなぎってくるのです。

 さて、前回は体を前傾させることで重力を利用して前へ進んでいく「ドミノ倒しのイメージ」をご紹介しました。今回は、それとちょっと関連する着地のイメージです。

 ランニング界では長く、かかとから着地するのがよいといわれていましたが、いまでは足裏全体もしくはつま先に近い前足部で着地すべきという説が主流になっているようです。

 ランニングの際に足裏にかかる負荷は相当なものですが、人間の足にはその衝撃を和らげるためのしくみが備わっています。それが、骨と筋肉によって形作られる3つのアーチです。ひとつはかかとから親指の付け根、ふたつめはかかとから小指の付け根、そして、親指の付け根から小指の付け根の3つです。この3つのアーチが衝撃を吸収し、足を守ってくれるのです。

 ためしに裸足でアスファルトの上を走ってみましょう。はじめは痛くて走れないかもしれませんが、コツをつかむとスイスイ走れるようになります。そのコツとは、足裏の3つのアーチがうまく機能するポイントで着地すること。そのポイントとは、足裏全体もしくはつま先に近い前足部なのです。

 「ドミノ倒しのイメージ」では体全体を前傾させて走るので、着地は自然と前足部になります。3つのアーチが機能するポイントなのでケガはしにくいはずですが、ぼくは以前、足裏が痛む足底筋膜炎を発症したことがありました。

 そのとき、自分の走り方をじっくり観察してみたのですが、指を握りこむようにしながら足先に力を入れて、地面をしっかり踏み込むような走り方をしていることがわかりました。力を入れすぎていたため足裏のアーチがうまく機能していなかったのかもしれません。

 それ以降、ぼくが意識するようになったのが今回紹介する「ハイタッチのイメージ」です。

 まず、足裏の前半分が「手の平」だとイメージします。そして、この足裏の手の平を大きく開き、地面に軽くタッチするように着地するのです。そうすると、足裏のアーチがうまく機能し、パチンという軽い反発力が返ってきて、その力を活かしながらラクに走ることができます。まさに地面とハイタッチをして力をもらっているイメージなのです。


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