壊れそうな我が家のはなし(2)
実父の実家は決して裕福ではなく、中学卒業後、地元で少し仕事をした後、上京して、料理人としての道を歩み始めた。修行の初期は、先輩の作った料理を見て、味見して覚え、大型漁船の料理人なども務めたのちに、地元にやや近い土地の温泉旅館に勤めるようになってから実母と会ったという。やがて、両親は、実父の地元に戻り、私や妹が生まれた。実父はずっと店を持たない人だった。雇われた先で腕を振るう料理人で、特に弟子は持たなかったが、私が幼いころから、地元のカルチャーセンターや、調理師学校の講師をして