2022/11/22 FIFAワールドカップ オランダ対セネガル 雑感

※素人の個人的な感想なので、流し読み推奨。オランダ視点。

試合を通しては、アディショナルタイムを含めたおおよそ100分間の内、90分はセネガルにクオリティで負けていたと思う。
EUROでチェコに見事にやられた”オランダ潰し”を今回のセネガルはそれ以上の強度で見せていた。

具体的に書くと、
①フレンキーに前を向かせない
②もし前を向かれた場合、スピードに乗る前の早い段階で潰す
③ダンフリースを自由にさせない
④ダンフリースに競り勝つ
の4点。

もちろんこれだけでオランダの全てを潰せるわけではないが、正直なところこの4点を遂行できれば、現状オランダの攻撃力の7~8割を削ぐことができてしまう。
EUROでのチェコは①、②、③を見事に遂行させ、④は完遂はしきれずいくつかチャンスは作られたものの、ゴールは割らせず勝利してみせた。
今回のセネガルは4つ全てを途中まで見事に遂行し、見た目拮抗した試合に見えながらも、実際は手詰まりなオランダをかなり苦しめていた。
特に③と④に関しては、途中対面するサイドバックの負傷交代があったにも関わらず、交代で出てきた選手まで完璧に対応し、ダンフリースは本当に何もできないまま終わった。
①と②も、時間帯による強度の違いこそあれ、基本的には遂行できていた。負傷による交代が起きるまでは。
73分のセネガルの2枚替え。これが勝敗を分けたと思う。

実際に起きた交代は、
クヤテ→パプ・ゲイェ
ディアタ→ニコラス・ジャクソン
の交代。

ディアタは前半から、守備時はフレンキーをずっと捕まえる①の役目を担っていた。
そしてクヤテは、ディアタが①の役目を果たしきれなかった時に、②の役目を他の中盤2名と共に担っていた。
そこにきてクヤテが負傷。代わりに入ったパブ・ゲイェも大きな問題はなくこなしていたが、問題はディアタと交代で入ったニコラス・ジャクソン。
ディアタは本当にオランダ陣内の半分近くでもフレンキーがボールを持ったら潰しに来ていたが、彼がいなくなった時間から、自陣内ではフレンキーが自由にボールを持たせてもらえるシーンが明らかに増えた。
プレッシャーから解放されたフレンキーがゲームメイクしやすくなったおかげで、ここから少しづつオランダの時間が増えていく。
そして先制点のシーン。メンフィスのポストからフリーのフレンキーに渡り、そこから見事なクロスボールがガクポに。
その後はセネガルに攻め込まれるも、逆にカウンターから追加点を奪って勝負あり。
しっかり決め切ったオランダの自力ももちろんあるが、自由にしてはいけない男を自由にしてしまったセネガルの少しの自滅に助けられた感は感じた。

しかしながら、守備に関してはブロックの構築、スペースの埋め方、サポートと、全てをしっかりこなしており、危険なシーンはフレンキーの若干強引な仕掛けのロストから。
まあそれも打開策に困った結果なので、結局攻撃面での悪いリズムが時に守備にも負担となった、って感じです。
危ういシュートは打たれましたが、大きく崩される様なシーンはなく、セネガルに押されている感覚は多々あれど、失点する気配もそれほど感じず。
攻撃面で改善が見られるまではスコアレスドローか、最悪スーパーなゴール決められたら負けかなぁ、なんて思っていました。

以下、各選手の個人的評価

GK
ノペルト
代表初キャップにしてクリーンシート。どちらもおめでとうと言いたい。
前半は大きな仕事はなかったが、後半は素晴らしい仕事をした。
中でも73分のシーンと、先制後すぐのシーンのセービングは間違いなくチームを救った。
特に先制後すぐのシーンは彼の身長が大いに活きた場面だと思う。

DF
ブリント
守備では全体と連動し大きな穴もミスもなし。
攻撃では少々位置取りが悪く、ビルドアップの手詰まりの原因の一つ。
右のダンフリースも今日は完璧と言えるまでに潰されていたので、こう言う時に彼にもう少し走力があればなぁ、とつくづく思います。

アケ
素晴らしいファイトでDFラインを支えた。
主にファンダイクが残る形になるが、時に彼と入れ替わりながら、ブリントとも連動し左サイドの守備を安定させていた。

ファンダイク
ネイションズリーグでも見せていたが、彼が余る形での安定感、安心感は本当に素晴らしい。
後半からは得意のフィードも少しづつ出てきて、セットプレイ含め攻撃面でも少しの存在感を見せた。

デリフト
序盤早々にミスから危険なシーンを作られるも、大事には至らず。
その後も少々”手”が目立った。正直に言って印象は悪く、オランダでは彼のみカードを貰った。
試合が進むにつれて落ち着いてきて、終盤は特に気にすることなく見ていられたが、できれば最初からそのパフォーマンスを見せてもらいたい。

ダンフリース
普段は右サイドで大きな起点となってくれる彼だが、今日の試合では残念ながら攻撃の停滞の一翼、原因その1を担った。
縦への推進力と、188cmの長身を活かしてファンダイクなどからのロングボールに競り勝ち起点となる役目だが、今日の試合ではセネガルの左サイドに完全に封殺され、何もできず。
守備でもサールに手を焼き、デリフトとうまく連動できず危ういシーンを作られることも少なくなく、今日のパフォーマンスに関して言えば完全に不合格。
今後を勝ち抜くために彼の力は間違いなく必要なので、向上に期待。

MF
フレンキー
前半、ディアタに執拗に追いかけ回され、たまにボールには触れるものの前は向かせてらえず、向けたとしても即中盤の3枚に寄せらせスピードには乗れず、かなり困らされていた。
それでも決定機に顔を出したが、もたついてシュートは打てず。彼の技術ならせめて打っては欲しかった。
後半、状況を打開しようと少々無理やり仕掛けるシーンが散見されたが、奪われて危険なシーンを作られることも多かった。
まあこれは割と普段から彼はやりがちですし、正直彼以外に打開策をもたらせる選手がほぼいないのが問題なので、彼だけが悪いわけでは決してないです。
やっとのことで前を向いても、中盤より前のメンバーとの距離感が悪く、そこからの展開に非常に困っていました。
状況が変わったのは62分のデパイ投入と、73分のディアタの交代。
今までよくも悪くも背負って受けていたヤンセンから、スペースを突きながら必要とあれば背負うメンフィスになったことでギャップが生まれ、彼に選択肢ができだしたところに、追いかけ回されていたディアタがいなくなったことでかなり自由にやれるように。
84分のガクポへのクロスボールはまさに「ロックオン」と言う言葉が相応しいほどの素晴らしいボールでした。
EUROの時から解決してませんが、彼を徹底的に潰しにこられた時にどうするのかをもっと考えないと、これからはかなり苦しくなります。
それを助けるためのベルハイスではあると思うんですが、今日は彼も良くなかったから本当に手詰まり感がすごかったです。

ベルハイス
守備はタスクをしっかりこなし、加点もなければ減点もない出来だったと思います。
課題は攻撃面。デローンでもコープマイネルスでもなく彼が起用されたのはフレンキー潰しを助けるためのはずですが、今日は距離感が悪く彼の選択肢になってあげられず。
セネガルの中盤がしっかりパスコースを潰していたのももちろんありますが、それにしてももう少しムーブが必要だったかと。
あとFKでの立ち方。あの立ち方だとニアに狙っていくのは相当腰を捻らないとできないので、そうなるとファーか合わせるしか選択肢がなくなり、GKを困らせられないと思うのですが。

ガクポ
殊勲の先制点を挙げたが、前半の彼はどこにいたのかと言うくらい幽霊。
フレンキーが前を向けても、彼はヤンセンとベルフワインと並んで3トップのようになるだけで、引き出す動きがなにもなく停滞の原因その2になっていた。
後半は少し修正されたが、それでも大きな変化とまでは言えず。
正直、クラーセンが交代を待っている時に代わるのは彼だと思ったが、ベルフワインを下げて彼を一列上げた結果ゴールが生まれたので、その辺はファンハールの妙。
彼もパフォーマンスの向上が必要。

FW
ヤンセン
フレンキーの所にも書いたが、良くも悪くも相手DFを背負いすぎで、前を向きながら貰おうという動きが少ない。
背負えて持っても、その後の落としの精度もあまり良くなく、そこの精度さえ上がればもう少しいい攻撃ができるのになぁ、と思わされた。
交代で入ってきたメンフィスの落としの精度が良かったので、なおさらヤンセンと比較してしまった。

ベルフワイン
ガクポが常に彼とヤンセンの間に入ってくるので、位置関係に困っていた。
外に流れればベルハイスやダンフリースのスペースを潰してしまい、だからと言って中に居続ければ渋滞。
決して彼だけが悪いわけではないが、全体的に消えてしまっていた。

交代出場者
メンフィス(62分 ヤンセン)
ヤンセンと違い、基本的にはスペースを前を向きながら狙い、必要とあれば背負うプレーをしてくれたため、相手守備陣にギャップが生まれ、彼の投入後停滞感はだいぶ払拭された。
先制点の起点となったフレンキーへの落としは決して難しいプレイではなかったが、ヤンセンの酷い精度を見た後なのもあり見事の一言。
さらにアディショナルタイムの追加点は、疑いの余地なく彼がシュートまで持ち込んだことによるもの。
ケガ明けで無理はできない状態だか、今の時点でこれだけのプレイができているなら今後コンディションが上がれば大いに期待できる。

クラーセン(79分 ベルフワイン)
ベルフワインに代わり彼が入り、ガクポが一列上がったことで、ガクポが担えていなかったフレンキーの助けができるようになり得点のにおいが漂うように。
アディショナルタイムのゴールは、交代出場とは言え最後までしっかり走った彼へのご褒美。

コープマイネルス(79分 ベルハイス)
フレンキーのビルドアップ面の助けをクラーセンが担うことになり、メンフィスも入ったため、フレンキーの守備面の助けを担うために投入された。
投入時まだスコアレスだったこともあり、積極的なプレスからボールを奪い、役割をしっかりと果たしていた。
先制後もクラッシャーとしてしっかりとした仕事。
94分にガクポが下がり、デローンが入ってからはデローンがクラッシャー、彼が前線からのプレスを担当。
与えられた仕事はしっかりこなした。

デローン(94分 ガクポ)
試合を締めに登場。プレイ時間も少なく評価はできず。

何はともあれ、これでグループ最大の難敵には勝ちました。次はエクアドル戦ですが、これに勝てればグループ首位はまず確定でしょう。
今後の日程の為にも是非勝っておきたいところですが、今日のクオリティのままだと苦戦は必須…。

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