映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前後章」を両方とも見てきたけど!
タイトルが長いですね!!略としてはデデデデになるそうです。
これが予告編です!!
デデデデは大好きな漫画です。浅野いにお作品のなかでもおやすみプンプンより好きかもしれないです。おやすみプンプンは小学生のときのノスタルジーが刺激されがちですが、デデデデは今の私たちの生活がノスタルジーになるというSFですね。こういうのにめちゃくちゃ弱いんですよね。セカイ系とか公式サイトのセカイの終わりの青春譚と言ってしまうと陳腐になっちゃう感じがするんですけど、ドラえもんをファーストコンタクトSFに換骨奪胎したノスタルジー系タイムトラベルものとしては本当に傑作だと思うんです。そしてタイトルにもあるようにデストラクション、破壊ですね!!破壊は映画のなかでは素晴らしいことです。映画のなかでならいくらでも核爆発が起きて欲しいし、人類が滅亡してほしいディザスター映画好きには堪らない展開もあるわけですよデデデデには!!
…と思って見に行ったわけですけど、あれ!?!???!!ディザスター…???デストラクション…??デストラクションが、無い…。
というのも、これは前章、後章というように2部作映画になっているんですけど、前章はほんと凄く良かったんですよ。良すぎるぐらい良かったのです。予告編とか見たときはちょっと大丈夫かなと思ったりもしたんですけどそれは杞憂で、始まってみると完璧すぎるぐらい原作通り、じっくり忠実に原作をなぞっていてほぼ完璧だったと思います。それにエンディングで流れる絶絶絶絶対聖域(読み方が分からない 追記:ぜぜぜぜったいせいいきでした)もめちゃくちゃかっこよくて作品にも合っていたし前章の満足度はめちゃくちゃ高かったのです。
あと牙狼のミキサーさんでもあった方がデデデデのミキサーをやっていて苦労されていたことを知っていたので、出来上がった表現をみて本当に凄いな〜とか思ったりしてました。原作だと侵略者の声はひらがなを崩したような文字で描かれていますけど、これをアニメ映画でどうやって表現するのか、考えてみるとめちゃくちゃ難しい。漫画だと崩したひらがなというビジュアルで理解できるけど、映画では音だけで「理解できない、聞いたことがない言葉」を表現しなければいけません。しかもこの「侵略者ボイス」は人類から見た侵略者の声でもあり、侵略者から見た人類の声でもあるという二面性を持っているということで、この作品のテーマを表現するひとつでもあって、めちゃくちゃ重要なエフェクトなのです。
とにかく前章の印象は素晴らしくて、後章が公開されたときは映画代を奢るからとにかく見てくれと友達を説得して前後章二本立て鑑賞まで企画して臨んだのです。後章に期待していたものは何かと言えば、破壊ですよね。侵略者の母艦が東京に堕ちて大爆発を起こし「その日、人類は終了しました」になる。終末後はかつての平和だった日々の面影を求めて巨大人型兵器で戦争が行われる地獄のような世界になるんだけど、そんな中でも門出とおんたんはお互いがお互いの絶対の座標になることで生きていく。これは漫画で読んでいて結構グっときたところなので、どうしても破壊が必要になるんです。
ところがデデデデ後章はどうなったかと言えば、母艦が東京に落ちて大爆発、まではほとんど完全に原作通りにアニメ化していたのに、突如アニメオリジナル展開となります。いや、たしかに後章の予告編に「劇場版オリジナルエンディングへ────」という不穏な一言が出てきたときちょっと大丈夫かなと思ったんですけど全然大丈夫じゃなかった。オリジナルエンディングというより、ギャグ漫画日和のソードマスターヤマトだった。完全に打ち切りみたいな展開になっていました。
もちろん、完全に原作通りにやってほしかったわけではないのです。原作通りにアニメ化することにこだわり過ぎて失敗した作品もあるでしょう。むしろ原作を再構成してもっと凄い映画が生まれたら、それはそれで作品にとっても原作ファンにとっても幸せなことだと思うのです。でも流石に、日本沈没という作品をリメイクするときに日本が沈没しなかったらおかしくないですか??(日本が沈没しない日本沈没のリメイクはたくさんあるけど!)
デデデデはたっっっぷりと「平和」な日常をまず描いて、でもその平和は笑えるほど頼りないもので、平和な世界の陰で平和の終わりは着実に近付いていて、それに気がついた時にはもう全てが手遅れになっていて、そうして世界の終わりが来た時にはじめてあの平和だった頃が懐かしいなと思ったりして、最後に最もシンプルな世界を救う方法が示されて綺麗に終わるわけですけど、世界が終わらないデデデデならそれはデデデデじゃなくても良いのでは…?と思ってしまうわけです。
というか世界が終わった後の世界こそアニメで見たかった!!!12巻の巨大人型兵器の決戦シーンとか、映像化されていればこれぞアニメ化の醍醐味!!といえる素晴らしいシーンになるはずでした。作画も音もサウンドトラックも素晴らしかったので、期待していただけに、惜しくて堪らないのです。
…というような原作原理主義の戯言は一旦置いといて、不思議なのは前章のすべてと、後章の大葉がおんたんと別れるシーンまではほぼ完璧に原作をなぞっていて、どうして最後だけこうなったのか、ということです。そのヒントとなる情報がここにあります。
実はデデデデは映画だけでなくテレビアニメ版も制作されていて、すでに海外ではクランチロールで公開されているというのです!(なぜ日本でテレビアニメを公開しないのだろう?権利的な問題…?)
しかも、
とあります。映画の尺で考えれば、12話ぐらいまでが映画で描かれた内容で、それ以降は新作映像ということです。しかも、再構成するとあります。
以下は完全に僕の妄想ですが、こういうことだったのかなと思ったりしています。
デデデデのアニメ映画化企画が生まれる。
原作者 浅野いにお先生的には、完全に原作に忠実に作ってくれるならアニメ化を許可しても良いというスタンスだった
でも原作通り忠実にアニメ映画化しようとすると、どうしても尺が足りなくなる。かと言って、三部作にする予算や計画は無かった。
そこで、脚本の吉田玲子に忠実なアニメ化にしてもらいつつ、最後は侵略者 大葉とおんたん二人の関係性でストーリーを良い感じにまとめてもらって、アニメ映画版がとりあえず作られて公開された
アニメ映画版で収益を確保しつつテレビアニメ化も進めて、テレビアニメで原作の最後まで完全に描き切るという方針にした!
もちろん全て妄想なんですけど、テレビアニメで原作の最後までアニメ化やってくれる説はわりと有力なんじゃないかと思っています。でないと、18話という長さや、「新作映像」「再構成」というのが説明できないですよね。
色々と言ってしまいましたが、アニメ化自体は本当に素晴らしかったと思っています。原作ファンも初めてデデデデを見る人も楽しめる映像化はなかなか出来ないことです。それも、高いクオリティのアニメーションだからこそなので、それゆえに是非とも原作の最後までアニメ化してほしいのです!
最後に、デデデデ後章を見た人のなかで原作ではどうだったのか気になる人はお願いなので11巻と12巻だけでも購入してください。10巻までの内容はほぼ同じなので、11巻と12巻だけ買えば原作版のラストを堪能することが出来るはずです。
デデデデのテレビアニメ日本公開、楽しみにしています!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?