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映画「オッペンハイマー」を早く見たい

まずは予告編を見てみましょう。

この予告を見て想像するのは「原子爆弾を称賛しよう!」という映画ではなく、オッペンハイマーという一人の科学者についての映画なのかなということですよね。

実はこの予告編は日本公式のものではなく、アメリカの予告編に有志が日本語訳をつけた動画です。2023年8月10日時点で、オッペンハイマーに関する日本向けの公式情報は一切無い状態なのです。アメリカではすでに7月21日に公開されていて、お隣韓国やアジア各国でも当然のように公開されています。世界で、日本だけがオッペンハイマーという映画を見せてもらえない状態になっているわけです。

原因として囁かれているのが、やはり「アメリカが作った原子爆弾に関する映画だから」ということです。原子爆弾に関する式典などを行う夏の日本で公開しようとすれば、映画の内容に関係なく批判されて売り上げを見込めなくなるということなんだと思います。

結果として、世界で唯一の被爆国である日本が、唯一のオッペンハイマー非公開国となってしまいました。日本人はこの映画を見てはいけないのでしょうか?

だいたい、いろいろ配慮して日本だけ非公開にしていたのに、映画バービーの一件でバービーはもちろん、オッペンハイマーも不謹慎な映画というレッテルを貼られてしまった可能性もあります。さらに、まだオッペンハイマーという映画がどんな内容なのかすら知らない日本人の間で、映画に関連付けて原子爆弾についての議論だけが先行してしまいました。これは映画にとっても日本人にとっても不幸な状態だと思います。

宮崎駿監督の「風立ちぬ」も公開時に似たような議論があったし、こういう戦争映画の宿命なのかもしれないですね。風立ちぬはアメリカ軍や日本軍による空襲、そのほか戦争のシーンは一切描かれないことが批判されたこともあったようですが、オッペンハイマーも広島・長崎の原子爆弾によって荒廃した街とかの描写はどうやら無いらしいです。この辺りも少し似てますね。

決定的に違うのは、風立ちぬは最終的に韓国や中国でもちゃんと公開されて素晴らしい映画だと称賛されたり、戦争の反省がないと批判されたりしたのに、オッペンハイマーは全く日本でのアナウンスがないことです。

オッペンハイマーの監督はクリストファー・ノーラン。これまでにダークナイトやインセプション、インターステラーやTENETなど、傑作ばかり生み出してきた人です。CGを安易に使わないことで知られていて、妥協無しの大型セットで撮影したり、本物の旅客機を爆破することも厭わない"狂気"があるタイプの監督です。

そんな監督が作る原子爆弾開発の映画が普通なはずがありません。予告編の冒頭の映像はおそらく世界初の核実験「トリニティ実験」の再現映像だと思いますが、これもCGではなく実際に膨大な火薬を爆発させて撮影してそうですよね。個人的な予想だとクリストファー・ノーランの「風立ちぬ」みたいな映画が見られるんじゃないかな…と思っています。不幸なことに日本では公開の目処すら謎なので予想のまま終わる可能性すらありますが…。

早く日本で公開されて称賛されたり批判されたりすると良いなと思います。


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