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月経の悩みで試したものたち、そして出会ったミレーナ/後編

月経の辛さで悩んでいる方の参考になれば良いと思い、ご紹介します。

※写真はありませんが、具体的な汚れとか施術の話が出てきます。
今回はまな板の魚とか肉に例えるので、前回より生々しいかもしれません。
読み進めるかどうか、ご判断ねがいます!


前回は、ミレーナ以外の色々なものを試してきたけれど、どれも落ち着かなかったというお話をしました。

ミレーナへ踏み切った

たまたま読んだエッセイ漫画で知った

ミレーナとは、子宮の中に直接入れて、5年間まで効果が続く医療器具です。
月経ピルと同じく、月経をすごく軽くするもので、1年経過してからは血が全く出ないと実感する方も2割程度いるとのこと。
ただし、PMS(月経前症候群)には効かないそうです。

私の場合は元々、頭痛とか気分の落ち込みもあるため、PMSとの違いが分からないから、まあいいかと思いました。

たまたま、以下の無料漫画で体験を読み、存在を知りました。

高価だなあと思ったし、かかりつけの婦人科のホームページには掲載がありませんでした。
診察の際に、思い切って相談してみると、取り扱いがありますよとの返事を頂いてバンザイ!

しかも、私は月経困難症と診断が下りているため、保険適用になって、手が届く範囲の値段で良いそうでした。

入れ方としては、病院でやってもらいます。
出産とか妊婦健診するお母さんのように、足を開いて診察椅子に座り、医師が直接下から手作業で突っ込んでいく方法です。

ただし、出産経験がないので、スッとは入らず痛いはずだということ。
又、入れやすいように、次の月経の2、3日目で診察できるよう予約を取って下さいねとのことでした。

ここで、飲んできたピルも終わりまして、数週間後、また月経が来たときに即お電話し予約を入れてもらいました。

院長「ミレーナは国内で毎年何件か、失敗が起きています。
子宮が破裂して救急車で運ばれ、摘出手術をする方がいます」

私「(顔から血の気が引く)」

院長「それはプライドの高い先生が、無理をして入れるためです」

私「(爆笑)」

院長「大事なのは勇気ある撤退です。
私は、ミレーナを1000人以上の患者に入れてきました。
1000人を超えてからは、数えていませんが、今までで中断したのは1人だけです。

しかもその中断は、某国の器具を、何年も胎内に入れっぱなしだったため、癒着が起きていたという極端なケースです」

私「おお!

施術当日

当日、施術の際に「ここまでは入るんだけど・・・」という医師同士の会話が聞こえてきました。
時間をかけて試しましたが、若手の医師から、「1000人以上」の院長に交代しました。

そして・・・結果的に中断となりました。
1000人以上で・・・中断、2人目が私?!

院長「あなたは1年以上月経ピルを飲んできたから、処置するところが狭くなっていたかもしれません。

次回は、ふつうの月経が来てから連絡頂けますか?
月経2・3日目の、子宮口が開いてるときがいいです。
できれば私が・・・いや、2・3日目なら他の先生でも大丈夫かな・・・」

私「(私の体、ちょっと難しそうなんだな・・・)」

数週間後に再度挑戦

院長の指示通り、ふつうの月経が来て、2日目に予約をとってもらいました。
もう枠はいっぱいだったそうですが、ありがたいことです。

処置の際、若手の医師は落ち着いていましたが、
始まる直前にもう一度カルテを見て、

若手の医師「・・・できれば院長診・・・って書いてあります・・・(声震え)

医師が弱気になった瞬間を聞いてしまった私でした。
ちなみにこの日、院長は不在でした。

そして施術は、前回同様、難航します。
私が足を開いて診察用の特別な椅子に座ると、自動でぐっと高く上がり、角度がついて、医師側から施術しやすいような向きに止まりました。

当然、施術の手元は私から見えないので、
「今から子宮の入り口をつかみますねー」などと、細かく声に出して説明してくれます。

子宮の入り口をつかんで、広げるための器具を入れるだけでも、医師と看護師の会話を聞いて、どうやらすごくふつうじゃないのが分かりました。
絶妙にやりにくいようです。

前回は、よく分からないままがまんしているうちに終わったな、という印象でしたが、今回は滅多にないであろう2回目なので、どうしても気持ちが暗いまま始まりました。

そして、すごく自覚的になってしまいます。

まな板の上の自分

痛い!
内臓(子宮)を掴んで引っ張られるって変な感じ!
人生で、掴まれたことも、引っ張られたこともない部分!

思ったより体の中心に近いのが、なまなましいし、皮膚じゃなくて粘膜なので、すごく脆弱な感じ!

じぶんが、まな板の上の家畜と同じで、ふだん鏡で見ている部分だけでなく、水分がとおった内臓までもが自分自身であり、神経が通っていることがありありと分かります。

魚や肉を思い出します。
何度も何度も、釣った魚を持ち帰って、内臓をさばいた日の様子がまぶたに浮かびます。

そして、今使われている金属か何かの器具が、少しでも傾いて力がかかればその内臓がちぎれてしまう可能性もあるっていうことを、ひしひしと感じているのでした。

私は出産の経験がないのですが、これが1時間とかじゃなくて、何度も、そして何時間も続くのが出産か・・・と、たいへんさを垣間見ました。

そりゃ、無痛分娩がいいわ・・・とか、いや、帝王切開を選ぶ人の気持ちも分かるわ・・・とか、

ちらっとでも垣間見ることができたのは、すごくいい経験だなあと診察椅子の上で思いました。

人が生まれる前に、魂のまま、次の人生のシナリオを決めるのであれば、絶対にこれもやると指定してきたはずだな・・・、

私は直前の過去生がきっと男性で、女性の気持ちをもう少し分かろうと思ったのかな・・・、

むしろ、これは何かの過去生の罰かな・・・等とたくさんの気持ちになりました。

しかしこりゃ、痛すぎじゃないか・・・?とがまんしているとき、診察用の椅子の上で冷えていく自分の体が白々と光って見えました。

医師や看護師の「すごくたいへんだから声を抑えている会話」だけが響く、場の空気を感じながら、

施術を打診したときに聞いた、
あなたは出産の経験がないから、施術の際、痛いと思います」との予言が頭によみがえっていました。

そしてベテラン医師が呼ばれ、医師2人がかりで取り掛かります。
「入れにくい人もいるからねー」という声も聞こえています。

そして終盤、看護師やベテラン医師が私を今までにない様子で見て、
もうすぐ終わりですからね!!すっかり冷えてしまって!
気持ち悪くなったんですか???
ここにいますからね、大丈夫ですからね!!!
大丈夫ですからね!!!気持ち悪くなってしまったんですか???

と変わりばんこに手足をさすりに来てくれました。

ドラマで、生命の危機があるときにされる呼びかけじゃないか・・・?

このとき、自覚がなかったのですが顔が真っ青だったそうで、意識ははっきりしているのに体が重いような感じがありました。
その時間がいつまでも続くように思えましたが、最終的には挿入に成功。
抗生物質も投入して、終わりました。

施術直後の体調不良

そして、医師が「今歩けますか?!歩けないですよね!」と聞いて下さり、力なく答え、

看護師が下着を履かせようとして下さったのですが、布ナプキンとか、自然療法向けの下着であったり等、少しややこしい服装だったことから、自分でやると言ったものの、

カーテンを閉める気力がないので、医師や看護師たちから丸見えのまま履こうとするしかなく、

医師の「カーテン閉めてあげて!!!」という声と、即閉められた手際の良さをありがたく思いました。

私の亡くなった祖父もそうでしたが、体が麻痺して動かせないから自分でどうしようもできず、おむつ替えや施術中の裸のまま、その場にいなければならない人ってたくさんいるんだよな・・・と頭によぎりました。

すごく自分が弱くなった気分で、そのままキャスター付きの椅子に乗せられ、後ろから押して下さる看護師の力で、廊下を移動させて頂きました。

何とか下着とズボンを履くことはできたものの、目があまり開けられず、「ありがとうございます」くらいしか言えず、手先から足の先まで動かせない私は、明るくて風の入る部屋で、リクライニングソファに寝かせてもらいました。

病院で歩けないことなんて、乳児の時期を超えたら、今までの人生で、なかったはず。
医師や看護師たちが私を中心に、空間をてきぱきと動き回るのが分かりました。

重病の方や、思うように動けないお年寄りは、こういう景色を見ているのか。
これは遠い将来、大病をしたり、死ぬときなんかに迎える状況と近いのか。

頭がはっきりした状態なのに、動けないのがものすごく不思議で、何人もの人達にここまで体を預けたのは、もしかして自分が生まれたとき以来かもしれないと不思議な気持ちになりました。

そして、今まで定期健診やピルの処方で、淡々と対応してきてもらっていた医師や看護師が、本当に医療の現場の方々なんだとよく実感しました。

看護師「もっと気分が悪くなったら、すぐ声かけしてくださいね。周りに、先生も看護師もいますからね!」
との声に、体調を崩したのが病院内というのは、これだけ心強いことなのかとしみじみ感じました。

この看護師さんの声かけがとても上手で、絶妙に明るくて、段取りも適切でありがたかったです。

看護師「時々、気分が悪くなる患者さんがいらっしゃるんですよー」
との声に、安心しました。

又、一切体が動かせない段階のときに血圧を測ってもらうと、すごく低くなっていて、生命ってちゃんと反応するんだなあと興味深かったです。

そこから5分~10分置きに様子を見に来てくださり、血圧も戻っていき、「ありがたい」だけじゃなく「嬉しい」といった気持ちが湧いてきて、自分でも生命の火みたいなのが戻ってくるのが分かって面白かったです。

手首が回せる!足首が回せる!と、徐々に動かせるようになって、心身の余裕が出てきました。

最終的に歩けるようになって薬局についたときは、施術開始から1時間半が経っていました。
1時間半って、長いの・・・?短いの・・・?と、よく分からない実感でした。

そして何度も、出産する人はこれだけで済まないんだよな・・・もっと寝たきりなんだよな・・・と頭の中で考えました。

翌日以降の体調不良

それから3日間、抗生物質を飲み続けるのですが、ありがたいことにゴールデンウイークも重なり、施術日からまるまる4連休を取っていたので、家で寝たきりでいられました。

この連休も不思議で、職場の都合で「その日はお休みにしてもいいですか」と、たまたま壁際にいた一部の人だけに声がかかり、快諾しました。

そんなこと今までなかったので、神の采配としか言いようがありません。

4日間全て寝たきりではなかったものの、4日間あると思えただけで違ったと思います。

又、施術当日を入れて3日間は痛みがたいへんでした。
それ以外の原因もあると思いますが、ふだんの手の痛みも増していたような気がします。

そのときはnoteを書こうとしても、少し打ち込むだけで手が痛すぎて、投稿ができませんでした。

私はいつも抗生物質を飲むと体がぐったりして、思考の範囲が狭くなり、頭が朦朧とします。
あの、引っ張って広げて器具を押し込んだ子宮は、自然界で言えばケガをしたようなものですから、とうぜん養生が必要です。

おおいてえ、おおいてえ、とぼんやりした頭で感じておりました。

又、不思議な色合いのものが排出され続けるので、何だこれ、何だこれと思っておりました。
アクリル絵の具とかペンキで作った、はっきり明るいサーモンピンク色のものがたくさん出てくるので、ナプキンが、明るい色合いになるのです。

あれから1週間

ミレーナを入れてから、1週間経ちました。
痛みはおかげ様で収まりまして、排出されるものも、医師から聞いていた通り「おりものシートに収まるくらいの量」の血やおりもの、膜等です。

これはミレーナを入れてから3日目くらいで、その量になったので、もう効いているのかもしれない、面白いなあと思いました。
次の月経時もそんな程度だったらすごく嬉しいです。

1年間ほど経過すると、20%の人が、月経がなくなったと感じるそうです。

私は発達障害ゆえの感覚過敏で、体に身に付けられないものがすごく多いため、ミレーナも難しいんじゃないかと思っていました。

「子宮の中にじゃまなものが入っていて、痛い!早く取り出してほしい!」といった感覚になるんじゃないかと危惧していました。

1週間目の今は、ありがたいことに、下腹部に痛みは全くありません。
このまま様子が見れそうです。

又、ミレーナは月経ピルとは違って、PMS(月経前症候群)には効かないのだそうです。
月経前の頭痛とか、気分の落ち込みとか、そういったものですよね。

私は元々、体調が良くないことが多いので、それに関してはどこまでがPMSなのかよく分からないまま20年間月経を過ごしてきました。

ですから、せめて月経血が減らせるのであれば、それだけでも万々歳なので、よろしいと思っています。

今後も折に触れて、ミレーナがどうだったか、そのまま入れておけたか、それとも取り出しが必要になったか、ちゃんと効いているかを皆様にご報告したいと存じます。

ちなみに、ミレーナが自然に体の外へ出てきてしまうこともあるそうですが、あれだけ入れるのがたいへんだったんだから、簡単には出て行かないでよねと思っております。

北米にいる男性の友人からは、
「そういった子宮内避妊用具って、いい噂しか聞いたことないよ。
入れるのは超簡単だけど、取り出すのはすごく難しいってさあ」
と連絡をもらいました。

挿入だけでも大変だったのに、取り出しが難しいのは困るなあ・・・と思っております。
noteで検索していたら、腕に薬を埋め込んで効果を発揮させるものも、北米ではあるようですが、残念ながら日本での施術情報は見つかりませんでした。

5年後には、もっと辛くない方法が普及していることを望みます。
とはいえミレーナだって、私が10代で月経をひたすらがまんしていた頃に比べたらずっと普及してきていて、使いやすくなっているはずです。

最後に

長くなりましたが、読んで頂き、ありがとうございます。
婦人科の先生方と看護師の皆様に、今度の定期健診で渡す、お礼のお手紙を書きました。

ミレーナを入れるまでに、小さな決断と行動が絶えずありました。
そのために、たくさんの方々のお力を直接・間接的に頂きました。

自分が前に進もうというとき、体のしんどさを諦めずに何かしてみようというとき、自分の10億人の先祖の顔(想像)も直接の友人たちや知人たちもそうですが、皆様の存在が浮かびます。

いつもnoteを読んで下さっている皆様のお顔は、知らないことが多いです。
しかし、結果的に、継続して年単位でいいねを押し続けて下さっている方も、何人もいらっしゃいます。

そうやってどこかの誰かをちょっと応援して下さることが、あなた方の今後の幸せをより太く編んでいることを、私は、見えているわけでもないのによく実感しています。

それと、ミレーナ(Mirena)の由来ですが、古代ローマの知恵、戦略、医術の女神「Minerva(ミネルヴァ)」から取ったそうです。

そして「Mi」はイタリア語で「私の」という意味だそうでから、私(れいな)の中に「私のれいな」が入っているという状態です。

私はマトリョーシカになったんでしょうか?
それか、これがインナーチャイルドというやつでしょうか???

必要としているどなたかが、重たい月経の治療を始められますように。
そして、日々、少しでも穏やかな温かい気分で過ごせますようにお祈りしております。

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