【削除された話】失踪【Deleted stories】

注意・こちらは草稿です。

・あるメモから
・ある夜。Aさんが会社を出たら、もう十年は会ってない、学生時代のクラスメート・Rと出くわした。
・どういう子かというと、まあ、何か知らないけどこちらを目の敵にして来る子だったと記憶している。周囲の皆がいる事がクッションになり、それがあるから付き合えてたかも、というタイプ。
・Aさんはどうだったかというと、Rについてはそういう事しか思い出せないレベルで、張り合おうとか思ってなかった。
・そもそも、こっちが一息つこうとしてる時に限ってうるさかったのだ。
だから、記憶から消えてた。
悪意とかそういうのを抱く以前の人っていると思うけど、それが、AさんにとってのRだった。
・嫌な記憶でも忘れられるんだ、という稀有な例。
・何でも、同窓会で幹事になったらしい。その事も含めて連絡したいと思っていたと言う。
・ふーん、とAさんは言った。同窓会。皆どうしてるんだろ、と思ったけど、明日の仕事の方が優先度が高いし、コンビニで新しいメニューがあるから、それを見て、食べたかったら帰ろうかな、という思考が、頭を占めていた。
・少し興味が湧いたので、コーヒーショップに入った。
・Rは、相槌を打つだけで、一人で喋ってくれた。店員さんに注意されない程度の声量。
・大学在学中にRは語学留学し、ホームステイ先で、Aさんでも分かるハイブランドメーカーの社員の息子と知り合い、熱愛の末、婚約、結婚。三人の子に恵まれてるが、旦那は本社勤務なので、なかなか会えないのが寂しい。
・『子供三人とか大変ね』
と相槌を打つと、Rの目の輝き具合が変わった。
Rは、
『確かに大変だったけど、空き時間を利用して資格を取りまくった。向いてたんだと思う。
子供も大きくなって、皆一流大学に行ってる。
私は今、いくつかの会社で秘書をしてて、滅茶苦茶充実してる。
生活に困ったら言ってよね。重要なポジションに限ってスタッフ不足なのよ』
という内容を、三時間程かけて話した。
・Aさんは、同窓会には返事しとく、と告げ、終電に間に合う様に走った。
『またね〜』
というRの声を背に。

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