191108_がっつり倍音講座

徹底解説!ガッツリ倍音講座【007】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんです。

今回は、微分音を攻略するためのファーストステップ
と言えば、倍音
倍音に関する重要な項目にサクッと触れながら
微分音に必要な倍音の知識を総ざらいしていこうかと思います

1.倍音とは?

倍音という超重要キーワードです

以前Twitterで一度倍音について連続ツイートしたことがありますが、
これよりもさらに深く喋っていこうかと思います。

例えば、100Hzの音が鳴ってるとすれば、
倍音はその倍の周波数200,300,400 …100×N Hzのことを指しています
この時の「100Hz」を基音といいます

「周波数の倍」なので、オクターブを等分して作られた12平均律とは違ったピッチになります。

2.セント

2倍音は最もよく調和する音程で「オクターブ」と呼ばれます
このオクターブを12分割した音律がよく使う12平均律というやつで
それをさらに100分割するとセントという単位になります
1オクターブ(oct)=1200セント(cent)
このセントという単位をもちいて、
倍音は音程上のどの位置にいるのか?を測っていきます。

3.倍音の掛け算=音程の足し算

2倍音という周波数の倍率は、オクターブという音程として決められています
これを発展させて、4倍音=2オクターブ 8倍音=3オクターブと増えていきますが、ここで注目してほしいのは数の関係
倍音が2倍になると、オクターブは1増えるという仕組みになっています
これはつまり「倍音の掛け算=音程の足し算」ということなのです

これによって、例えば6倍音は3倍音の1オクターブ上だなとか
9倍音って3倍音の音程2つ分だなとか
法則性が読めてきます

3.自然倍音列
2倍音が終わりましたので、それ以外の倍音はどの位置にあるのか
これは、対数の計算をすることでもとめることができます
logなんとか…ってもとめるのですが、今回はスキップしまして

3倍音=1oct+702cent 
5倍音=2oct+386cent 
7倍音=2oct+969cent
11倍音=3oct+551cent
13倍音=3oct+841cent

ということが計算で分かります
なぜか飛び飛びで倍音のセント値が書かれていますね
ですが、先ほど「倍音の掛け算=音程の足し算」というルールを使うことで
間の倍音も単純な足し算で求めることができます

例えば9倍音は2oct+1404cent=3oct+204centという風にね。
そのため素数倍音さえ把握しておけば、簡単に計算して
だいたいどの位置なのかわかります

ちなみに12平均律は100セント刻みですので
ミ=400cent ソ=700cent ラ=900cent
という風に12平均律の音程も把握してると、さらによいでしょう

4.リミット

リミットとは限界とよく訳されますが
微分音や純正音程の分野では倍数に制限をかけることを指し
とくにp-リミット(素数限界)といって、使用する素数に制限をかけます

高い倍音ほど、減衰して弱くなっているので
実際聞こえないのであまり気にしなくてもよかったりしますし
何より、要素が増えすぎてややこしくなることもあります
素数限界を5とすると5-limit、Pentimalといい7以上の素数は使いません
これらをまとめると

2-limit→バイナリー(binary)
3-limit→トライマル(trimal)
5-limit→ペンチマル(Pentimal)
7-limit →セプティマル(Septimal)
11-limit→アンデシマル(undecimal)
13-limit→トライデシマル(tridecimal)

といいます。
僕のポリシーでは基本アンデシマルですね
また5-limitは一般的ですので、ローリミット
微分音感が高まってくる7,11のリミットをハイリミットと呼んだりします

リミットは和音のサウンド感を決める重要なファクターなので
リミットを意識することでジャンルの雰囲気を操作したりできます

5.ユートーナリティ

さて、倍音は音色に含まれているため
これを音程でとることによって、音色と一体化できるという気持ちよさがあるのですが
逆倍音という発想で、主音として用意した音程を倍音に仕立て上げるということも可能です。
この発想を「ユートーナリティ(utonality)」といい
逆倍音、サブ倍音、ユートーナル、ネガティブハーモニー、ミラーハーモニーといったりします。

ユートーナリティの対義である通常の倍音を意識する発想はオトーナリティ(otonality)、オトーナルと言ったりします
倍音が存在していることを前提として、あえていわないこともあります

オトーナリティは緊張と弛緩といった調性を作り出すのが得意で
「♯」と親和性があり、周波数比の分子を担います
一方、ユートーナリティは浮遊感を作り出すのが得意で
「♭」と親和性があり、周波数比の分母を担います
倍音の割り算=音程の引き算 という風に計算でも活躍します 

これも和音のサウンド感の決定要因でオトーナリティ/ユートーナリティで結構好みが分かれるところがあります。

6.純正音程

純正音程とは単純な整数比であらわされる、音程のことで
5/4 9/7と言ったように分数であらわします
倍音をもとに構成される音程ですから、一体感やうなりの少なさ、美しさ、気持ちよさに関わる存在です
和音のうなりは基本的に高音域がうにょうにょしますので、
サンプルでなにかを聴く際はうにょうにょに耳を傾ける
さらに、そのうにょ感を手で表現してみるという聴く方がオススメです

4:5という風に比であらわすこともありまして
この時何:何がその比なのか曖昧なまま使われることが多いので
和音というよりは、純粋に幅を示すシチュエーションで使われることが多いです

純正音程は「単純」なといいましたが、
7や11、25、27は単純なのか微妙でありますが
数字や素数がでかいほどXenharmonic(微分音的)になってきます
僕はXenharmonicの対義語としてOrthoharmonicを用いてますね

7.ファントム基音

和音にもいろいろありますが、基本的には倍音の構造を生み出すという
意識で形作られています
ローリミットの和音ではあまり起こりませんが、
純正音程を意識して和音を作りこんでいると、
ときどき和音の構成音ではない音が聞こえることがあります

それが実音より高い位置にいれば倍音が強調されてるんだなくらいで納得はいきますが、実音より低い位置にも発生することがありまして
ミッシングファンダメンタル(錯聴)」と呼ばれる現象があります

これは、倍音の構造がしっかり聞こえていれば
それに対する基音を脳が勝手に補完してくれるという現象です

このような、ミッシングファンダメンタルが起こせるかはさておき
和音をなんらかの基音の倍音として考えることがあります
これをクラシックでは根音省略と呼びますが
僕はその省略された根音のことをファントム基音と呼んでます
実際にはないけど、そこにあるとすると…みたいな状況ではファントムという言葉を使いがちであります。

8.オクターブ調整

2倍音はオクターブなので、あまり気にする必要がないところなのですが
純正音程は基本的にオクターブ内の音程として扱いたいので
1/1~2/1の周波数比に収めることが望ましい
ということでいい感じに2を掛けたり割ったりして、調整をします

逆にそうすると、数がでかくなりすぎで素因数が解りずらいということもあるので、特にオクターブ調整をしないこともあります

また素因数が複雑になるとモンゾという書き方を使います
例えば243/256という数がでかい純正音程(というかもはやコンマ)があったとしましょう、これはわかりづらい
素因数分解して2^(-7) x 3^5 となりますが
これを|-7 5 > というベクトルのような形式で書きます

厳密に定義すると
|a b c d e >=2^a・3^b・5^c・7^d・11^e
となり周波数比に含まれる素因数がわかりやすくなるので便利です

オクターブ調整がどうでもいいときは
| b c d e >=3^b・5^c・7^d・11^e
2の部分をすっ飛ばして書くこともあります

9.カラーノーテーション

カラーノーテーションとは、純正音程に使用される素数に色を割り振り度数を表記する方法のことです

画像1

手書きノートでまとめたものがこちらになります

White→3倍音オトーナル/ユートーナル
Yellow→5倍音オトーナル 
Green→5倍音ユートーナル
Blue→7倍音オトーナル
Red→7倍音ユートーナル
Lovendor→11倍音オトーナル
Luvendor→11倍音ユートーナル

Whiteは難解重ねてもWhiteのままですが
その他の有彩色は重ねるとyyという風にかさんでいきます


参照:http://www.tallkite.com/misc_files/alt-tuner_manual_and_primer.pdf

本家ではBlueではなくAzureでZと略されます
紫のPurple=BBGというルールがあるらしく
11倍音はそれとは異なるLavendorになってます
13倍音はいい感じの色がない!って言ってますね

結構複雑な比の場合や演算系をやるなら、モンゾの方がいいですが
純正音程を並べる時はカラーノーテーションの方がシンプルで使いやすいです

10.ヴァル

度数をもとめる時に、セントを計算して12平均律と比較して度数を決めますが、中途半端な位置にると、どっちの度数にするべきか迷うことがあります
例えば9/7=435cent 高いミなのか、低いファなのか?
25/16=773centは高いソなのか 低いラなのか?


そんな時に使うものがヴァルというベクトルで
素因数とステップの対応を決めます
これはモンゾとは逆で<a b c d e| という表記です
これも厳密表記とラフ表記がありまして

12平均律の場合 
2倍音に対応するステップ数は12
3倍音に対応するステップ数は19となります
倍音に対応させるところがポイントですね

こんな感じで5倍音、7倍音、11倍音のステップ数を入れていくと
12平均律のヴァルは<12 19 28 34 41| こうなります

ここで25/16=|-4 0 2 0 0>なのでこれを掛けます
<12 19 28 34 41|-4 0 2 0 0>=12x(-4)+28x2 =8 
という風に計算した結果8step目であることがわかりました
まあ当然の結果ですね

ヴァルもオクターブ調整を無視、7より大きいと転回して負にして
<7 4 -2 5| 
さらに7,11は関係ないので無視して<7 4| 
<7 4| 0 2>=8  となります

次に12平均律を7音音階として<8 4 2| (ド=0に注意)
<8 4 2| 0 0 2 >=4 
4step目=ソ ということでソの仲間ということでソ#という判定ができます

度数判定は適当でもまあいいんですけどね

ヴァルを使うことで、結構変な平均律でも
無理やり純正音程と紐づけを行うことができます。

◆まとめ

これで、倍音や純正音程に関する基礎的なお話をまとめました
結構真面目な話でしたね。
次回、純正音程の具体的な話を扱っていきますので
実はまだ話半分なんですよね

まだまだ、続きますよ!

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