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ハリーパーチ音律VSヘルエリノーテーション【025】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア
変拍子兄さんのお時間です。

今日は純正音程について考えたい気分になりました。
純正音程って見るとえぐいですよね
分数がずらずら出てくるので
変拍子ですか?日付ですか?算数ですか?となります

ですが、数字の意味が分かれば
これは何の音か…というものがだんだんと分かるようになってきます

つまり今回は、
純正音程をドレミ+臨時記号に変換して大体の位置を知る
そういった方法を解説していく回となっております

そして題材が「ハリーパーチ音律
という謎の43音音律……いやぁ、多いですね。
こいつが今回の敵です

そして、我々の武器としていらっしゃったのが
「ヘルエリノーテーション」
純正音程用の臨時記号が勢ぞろいというマニアックな微分音記号群です
(正式名称:Helmholtz-Ellis Notation)

さて
ハリーパーチ音律VSヘルエリノーテーション
の始まりです
(バトルというよりかはどちらかと言うと、マグロを包丁で下ろす気分)

◆ヘルエリノーテーション、実演

以前の記事で、ヘルエリノーテーションという
純正音程の臨時記号について学習しました
その成果と言っては何ですが、実際に活用してみたくなりまして
このようなことを考えております

純正律とは、音程を周波数比で決めてしまう、平均律とは対極の存在です
今までは24平均律基準で純正音程を理解していましたが
24平均律では7倍音系の音程にカブりが生じてしまうという事態に遭遇しました
そこで、音程の解像度をもう一段階あげようと思いなおし
ヘルエリノーテーションにたどり着いたというお話

今回は純正音程をドレミに変換していく作業
ここに出てくる臨時記号がヘルエリノーテーションなのですが

PC画面上で表すのは少々困難のある記号ですので
僕なりのアレンジが入っていますのでご注意ください

①音程の3段階

純正音程を考えるうえで必要な思考は主に3つです
1.度数:セプタトニックの尺度
2.詳細音程:12平均律の尺度
3.マイクロトーナル:微分音の尺度

1.度数:その音程は「ドレミファソラシド」の7音のうちどこにいるのか
2.詳細音程:ナチュラルなのか?#なのか?♭なのか?
3.マイクロトーナル:微分音記号はどのようにつくのか?
という思考の3段構えで求めていきます

具体的な例は追って説明しましょう

②White系の操作
3倍音系の操作は以下の通り

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純正音程の素因数に3 が含まれている場合、
度数は5度上げて、ステップは7上げます(完全5度)
もちろん1/3といった逆数の場合は、上下反転しますし
複数重なると、
9は長2度上下 
27は短3度上下… という風になります

この時に白鍵(幹音)から外れてしまった場合 #/♭ を使いますが
注意すべき点は度数

例えば、ファから純正音程で1/3を考える といった場合
ファ→ラ#とすると ファに対してラは3度になるので
3倍音=5度というルールから外れてしまいます
ファ→シbの場合は ファに対してシは4度ですので 
3倍音=5度 ⇔ 1/3 = 5度下 = 4度上
となり、度数の整合性が取れていてOKです

③5倍音系の操作
5倍音系の操作についてもこの通り

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純正音程の素因数に5が含まれている場合、長3度の上に移ります
長3度上ですので#/♭も適宜。

5倍音に関しての追加ルールは
5倍音オトーナル:Yellow→ .
5倍音ユートーナル:Green→ ’  
を付してシントニックコンマ分の上げ下げを示します
この音程は大体10分音です

(本家は▼/▲がちょこんとつきます)

④7倍音系の操作
7倍音系から少々複雑ですね
5倍音よりも12平均律から大きく逸れてきます

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例えば ド→シb というように幹音だけ一旦、全音動かします
この後にMicrotonalの記号がのっかってくるので厄介ですね

ここに微分音臨時記号を付しましょう
7倍音オトーナル:Blue→L
7倍音ユートーナル:Red→Γ 
を付してセプティマルコンマ分の上げ下げ、Lが下げで、Γが上げです
この音程は大体6分音です

⑤11倍音系の操作
11倍音ともなると24平均律になってきます
まあ4分音ですので、分かりやすいずれ方ですが。

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11倍音オトーナル:Lovendor→キ
11倍音ユートーナル:Luvendor→d
となります
(本家の表記はキではなくłを使います) 

そして、4分音の特性上、臨時記号の補助ルールが出現します
#+d→キ b+キ→d 
という風に#やbと重なると集約することが可能です

13倍音の dl / サ 
17倍音の ゛/  ⸗
19倍音の ᐟ / ᐠ
という風に続いていきますが、はいはい、と。


◆ハリーパーチ音律

ハリーパーチ音律というのは
純正律で、11-limitの音程を含んだ純正音程のよくばりセットのような音律です

12平均律では10/9も9/8もレになってしまいますし
27/16も5/3もラとなってしまいます
24平均律でも8/7も7/6もレキになってしまいます
要するに基本的な純正音程を鳴らすには12や24じゃ足りないよ!という気持ちから生まれた音律です

考案者のHarry partchは5-limitではやはり物足りなかったようで
11-limitのハイリミットのハーモニー感をもとめていたようで
11の素因数をもった音程も出現します

手っ取り早く聞いてみたい人のためにもちろんテレプストラキーボードもあります

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なぜ43音なのかは謎だそうで
実際81/80はあるのに81/64は使わないのね…といった疑問に思うところもあります
そんなハリーパーチ音律のラインナップがこちら↓↓

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いやー、これじゃよくわからない!
ということでヘルエリノーテーションでメスを入れていくわけですよ

◆ヘルエリノーテーションで解読!

試しにひとつ解いてみましょう(別に算数の問題ではないのですが)
81/80、素因数だけにそぎ落としますと81/5 となります
81は3の倍数で残りは1/5ですのでカラーはGreenですね。

81は3の4乗ですので
ド→ソ→レ→ラ→ミ となります
そこから1/5ですので ミ→ド となりますが
Greenでしたので「’」がつきしてド’ となります

とまあこんな風に1匹ずつ解き明かしていくわけですよ
これをご覧の方は一旦ここで読むのを止めて
実際にヘルエリノーテーションをやってみましょう!

21音までくれば、そこからは折り返し地点ですので
カラーもドレミも微分音記号も反転させれば終了です
10分から15分でサクっとできちゃいます

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いや~カラフルでいいですね。
僕としては11/15や25/24あたりも欲しいところですが
なかなかいい感じの純正音程が揃っててうれしいですね。

このリストを見て気になってところが、
15番目と16番目や21番目と22番目および28番目と29番目のところで
スワップが起きてますね
ミの派生音より上にあるはずのファの派生音が
ミの派生音の間に潜り込んでいる箇所がありますね
それが何を意味しているのかは、今はわかりませんが。

これで、
ヘルエリノーテーションでハリーパーチ音律をうまいこと解剖できました
43音あってもその違いを的確に書き表せるヘルエリノーテーションは便利ですね。
結論としてはヘルエリは便利、ハリーパーチをドレミで解体できる!
というお話でした

こいつらを感覚に落とし込みたい欲求が高まってきたところで
今日はこの辺にしましょう

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