191105_12平均律

敵を知れ!微分音最大の宿敵12平均律!【004】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんです。

昨今の音楽で使用される音律はほぼほぼ12平均律です。
なんか偉そうでふてぶてしいですよね。
この記事にたどり着くほどの変態であれば、12平均律の絶対王政に歯向かってみたくもなるもの

かといって、数字の好みで別の平均律を使ってみても、
そう使いこなせるものではないというジレンマもあります。

そんな時は、24平均律を使ってみましょう!という僕の提案は置いておいて
12平均律がどれほど優れているのか?
12平均律に対抗するには、12平均律を深く知る必要があるという気持ちで12平均律が選ばれた理由を突き詰めていきます。

・純正律の弱点
まず最初に知っておくべきお話は
純正律のお話です。
純正律とは周波数が単純な整数比にやるように、音程を選んだ音律で
調和性が高く、一般的に美しい響きといわれる存在です
それと比較して平均律がけなされることも多々ありますが、
旋律性を重視したい場合、平均律志向は外せません

純正律の弱点は
・メロディが苦手:音程幅が複数あるので、歌うときややこしい
・転調が不得意:ひとつの主音が綺麗になるようにつくられているため、転調ができない

そのため純正律映えする音楽は
のびやかに歌えてかつ素朴な曲調のものが好ましいということになります。

メロディが激しく、転調を用いた派手な動きをしたい場合は
平均律が適しているということになります
そこで平均律選びの重要なポイントととなるのは
できるだけ単純な音程の種別で純正音程を扱えるものがいい

という指針になります

・押さえておくべき純正音程

それでは、純正音程でも重要度が高いものは把握しておきましょう
ありとあらゆる純正音程を把握しておけばそれぞれの平均律の特質が見えてきますが、純正音程も協和的から不協和的なものまで多種多様です

その中でも重要なものとして押さえていただきたいのはこの3つ

完全5度 3/2 ≒ 702セント ソ
長2度 9/8  ≒ 204セント レ
長3度 5/4 ≒ 386セント ミ

実際の純正音程では、ファ・ラ・シなどその他必要な音程もありますが
その中でもシンプルかつ基礎的な3つの音程です

3/2 や 9/8 は3、9の倍数を持っているので3倍音系(Trimal)
5/4は5の倍数を持っているので5倍音系(Pentimal)と呼びます

・平均律比較、開始

さて、下図は 12から24平均律のセントを書き表した表です

一番上の列が何平均律かを示しており
24平均律のピッチに近い(25セント以内)がセルの中に入り
24平均律の各ピッチに近いものがない場合、空欄になります

12平均律、一番左の列を見ていただくと
12平均律のちょうど中間の音はもちろんありませんので、空欄になっております。

190930-平均律表

ちなみに12未満の平均律をなぜ無視しているかというと
結局倍細かい平均律がこの中にでてくるから、気にしなくていいとしています
(例えば11平均律であれば、22平均律がありますし
7平均律であれば14平均律を見ればOKということになります)

まあ要するに横に目線を映しながら、比較しやすいようにできている図です

さあ、比較していきましょう

まずは 「完全5度 3/2 ≒ 702セント ソ」
12平均律の700セントの列付近を比較していきましょう
横に目線を映しながら、見ていくと
純正音程のソに近い音程をだせる、音律が絞られてきます

すると
12平均律700セント 
17平均律706セント
19平均律695セント
22平均律709セント
24平均律700セント
というメンバーに絞られていきます

これらの音律の200セントあたりを見ていきましょう
12平均律:ソ=700セント → レ=200セント
17平均律:ソ=706セント → レ=212セント
19平均律:ソ=695セント → レ=189セント
22平均律:ソ=709セント → レ=218セント
24平均律:ソ=700セント → レ=200セント

さあここで、「長2度 9/8  ≒ 204セント レ」と比較していくと
ほぼ12平均律のひとり勝ちとなります
(24と12なら少ない方がいいということになり、12の勝ち)


次に「長3度 5/4 ≒ 386セント ミ」との比較

12平均律:ソ=700セント → ミ=400セント
17平均律:ソ=706セント → ミ=424セント
19平均律:ソ=695セント → ミ=379セント
22平均律:ソ=709セント → ミ=382セント
24平均律:ソ=700セント → ミ=400セント

長3度に関しては、12平均律あらが出てきます
386セントよりも14セント高い、となります
この400セントというのが、12平均律最大の妥協点
平均律は気持ち悪い」といわれるものの正体です

その点で見ると19平均律や22平均律の方がアドバンテージを持ってます
19平均律のレは189セントと低かったのですが
小半音 10/9 ≒ 182セント に近いですので、フォローできます
そのため12平均律の代替として名高いのは19平均律となります

22平均律も色味の違うメジャーとマイナーがでてくるので
3度が高めOR純正的 を切り替えることができるというカスタマイズ性もありなかなか、使えそうな音律といった感じです。

・他の平均律に使い道は?

話題にも上がらなかった平均律もありますが
ここではまだ明らかにされていない魅力を持っていたりします

例えば14平均律に含まれる7平均律は
オクターブを均等に7分割したものであるので
音程の幅が1種類しかない、非常に均質化されたドレミファソラシドが出現します

このように音程の平均化のもとに判定していくと、
旋律としてのシンプルさは12平均律を上回るものも出現します

今回は触れなかった7倍音や11倍音も考慮すると
その他の平均律の魅力も明らかになっていきます

7平均律や5平均律系についてはまた詳しく語りたいところですね
それでは!


_____________________

【宿題】
7平均律のソは686セント
5平均律のソは720セント
この微妙に低い/高いソに名前を付けるなら、何にしますか?
686セントはどう呼ぼうか決めてませんが
720セント=チョとかにしようかなって思ってます




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?