二週間でMDZSの沼にはまるかどうかの実験についての話

はじめに

これは二週間でMDZS(アニメ、原作小説)を詰め込んだわたしが沼にはまるのかを実験した経過の備忘録兼作品の感想である。

ラジドラ、ちんじょれは未履修なのでこれを読むかもしれないMDZSクラスタの皆さんと作品についての解釈違いがあったら大変申し訳ないけれど温かい目で見てほしい。師姉のように。なにも考えずメモ帳を開いてこれを書いている、どういう言葉を選べばいいのかもわからないのでその辺りもご了承いただければと思う。師姉のように。
あと、いらっしゃらないとは思うがバチバチにネタバレを含まれますので今後履修予定の方は読まない方がいいです。
そもそもこれを読む人がいるのかも疑問だが、とにかく言語化しないとまったくすっきりしないので、感情の整理も兼ねている。


偶然が偶然を呼んだ

事の発端はとあるニュースだった。そう、あの規制とかいうやつである。なんか大変なことが起きているのかもしれない、すごいニュースになってるし、と、うっすい認識で、
規制→もしかしたら配信停止とかもありえるんだろうか?
という偏差値5くらいの知能で「万が一のときのために見てみよう」とさっそくアマプラへと旅立った。後から知ることになるが、特に規制とかはかからないみたいだった。勇み足でアマプラに向かったけれど、ちゃんと調べていればこの先に起こる悲劇は起きなかったと思うと…特に後悔はない。
あとこれは決して批判ではないのだが、わたしはネトフリの方が好きだ。オープニング飛ばして本編までスキップできるから。しかし今回にいたってはアマプラでよかったと心底思った。その理由はのちのち述べるとして、この時点でのわたしのMDZSについての知識について話そう。(ちなみにアマプラだって早送りくらいできます)
「中華BL」「なんかすごい」「なんかすごい」以上である。
そもそも中華BLというジャンルがわからなかったので仕方ない。足を踏み入れたことも意識したこともなかったのだ(すいません)(すいません)完全に対岸の火事ならぬ対岸の祭りだった。
下調べもとくにせず、フワっとした「なんかすごい」作品だと思っていた。いま思えば手ぶらで富士山に登山しに行ったようなものだなと思う。
しかしこんなわたしでも人生の半分という長きにわたり腐った川を遊泳してきた腐女子の一員である。腐った界隈の酸いも甘いも苦いも旨味も一通り味わいそれなりにオタクヅラをしていた。最初は高みの見物みたいな感じでずいぶんと上から目線だったと思う。
「めちゃくちゃ高評価だけど果たして本当に沼なんだろうか?」
そしてアニそし一話を視聴したのであった。


驚いたオープニングとスタッフさんへの感謝

オープニングスキップ機能がないことだしとりあえず初めだしじっくり見てみるか。ということで後に名曲と讃えることになる千夜想歌が汚い部屋に響いた。ちなみにエンディングも後世に伝えたい名曲としてランクインする。しかしこの時点では名曲たる所以がまだわかっていない凡夫であるので、意識はアニメーションに寄っていた。そしてまたこの偶然のおかげで、数分の間にわたしは期せずして運命の人に出会ってしまったのだった。

え、かっこいいね?ていうかなんかBLぽくないね??普通にファンタジーアニメ色強そうなのでは?最後の赤い目の人!なんだ!?なんか……なんかエッチだね!!??!
そう、誰あろう夷陵老祖さんである。人物の相関図もキャラ紹介も一つも見ていないのに我々オタクのこういうセンサーは本当に精密だなぁと思う。くどいようだが一話のオープニングである。早いんだってばよ。
金曜日の夜、ひとりで散々飲み歩いたあと、どこからともなく漂ってくるラーメンの匂いのみたいな人だなと思った。自然と引き寄せられる。そうか、夷陵老祖さんはラーメンだったのか…。うーん、とんこつ。
肝心のストーリーは、先に言った通り下調べもせずに見ていたので「いつ頃の時代なのだろうか」「この人たちはどういう立場なのだろうか」「キョンシーとは違うのか」ということが気になってまだ世界観になじめなかった。
とりあえず名前と顔を覚えておけばなんとかなるってばあちゃんが言ってたので一生懸命テロップ見て覚えた。姓名字の文化は、昔、三國無双にハマっていたときに親しんでいたので何事も手を出して後悔することは犯罪くらいだな、と当時の自分に感謝した。呉の孫策と周瑜はいいぞ、彼らは断金なんだ。断袖じゃないゾ。断袖でもいいんだけどな!
話が逸れた。三國無双にはまっていない人生だったらきっと名前が複数あることに頭こんがらがって覚える間もなく諦めていたかもしれない。

そんなこんなで一話が終わろうとする。そして颯爽と現れた白い人こと藍忘機を見てわたしは思った。魏無羨(覚えたて)と恋をするのはこの御仁にちがいねぇ。あなた、含光君って言うのね!(メイちゃん)
※一話が終わったあたりで公式と受け攻め解釈違い起こしたら地獄だなとにわかに心配になった。杞憂であった。
一話目ではまだまだ(はよチューとかせんかな)とか思っていた俗物の権化ことわたし。片手で琴持って弾けるのは斬新すぎるし剣の上に立つ体幹やばすぎ、という的外れな感想を抱きつつも二話へ。
ただ、この一話のラストで藍忘機が登場し、かつ魏無羨が意味深な目で見上げなければ二話目を見ていたかは甚だあやしい。この一話のラスト、今となってみればまさに「運命の再会」に続くこの瞬間がなければもしかするとそれほどの興味が湧いていなかっただろうと思う。要はこのふたりのほんのちょっと先が気になったから二話を見た。君たち(忘羨)が運命の再会をしたようにわたしも運命の出会いを果たしたと言っても過言ではない。この構成にしてくれたアニメスタッフさんに向けて感謝の正拳突きを一万回。


江おじさんは足長おじさん

二話目以降は段々と世界観にも馴染み、なんとなくの相関関係を把握しつつ、物語は過去編へと突っ走る。
この、過去編をいいとこまで一気に描いてくれたアニメスタッフさんにもう二万回感謝したい。ここでわたしは魔道祖師という作品が面白いということにようやく気づいたのだ!
過去編の物語がふたりの出会いから始まり、登場人物が増えるにつれそこにはそれぞれのドラマが生まれていった。江家の人たち、金氏、温氏…(温晁、お前は…お前ってやつは…)、屠戮玄武戦で少し距離を詰めた主役ふたり…。
そんな中でわたしが一番感動したのが虞夫人だった。
初登場時は「おっ、女王様みたいな人が出てきたぞ」とウキウキしていた。彼女はわたしの期待通りに魏無羨を虐げてくれていたし、テンプレート的教育ママであった。しかも自分の息子にもだいぶ厳し目だ、これはかなり好感度が高い。こういう人にこそPTA会長とかしてほしい(独身の戯言です)
しかしそんな気高く美しく毅然と「家」を守る彼女にも葛藤があった。強くあらなければいけない虞夫人が目の敵にしている魏無羨、その母に自分の夫が密かに思いを寄せていたという事実……(ただの噂であってくれ)
嘘だろ江おじさん〜〜〜〜!そんな不義が許されるとでもおも、おもっ……!!ウウウッ!!(江おじさんはきっと無実です)
そりゃ虞夫人も辛く当たっちゃうよ…むしろ一緒にご飯食べてるの本当すごいとおもうわ…。すごいと思うけど、その点に関していえば羨羨にはなにも非がないから、一番弟子である羨羨に同席を許しているんだろうなァ…。でもやっぱり夫の、魏無羨に対しての愛情とか接し方を自分の息子に対してのそれと比べてしまったり、時折聞こえる口さがない噂なんかに心を騒がされてしまったんだろうね…。次代の宗主である息子の心情を思うとな…母として、たとえ本人の前で言ってはいけないと知っていても息子を守る責務を果たしていたのだな…(亀やっつけた後のあの場面)つら…。でもやっぱ、彼女も母であったわけだから、息子と同年代の魏無羨をそれなりに気にかけていたのだな、と思ったのは蓮花塢襲撃のあのシーンだった。
江澄を守れということで魏無羨にも暗に生き延びろと言っていて、彼の返事を求めていたあのシーン、ほんとにタオルで涙を拭いていたわたし。(いやわからん、シンプルに江澄を守ることだけを伝えていたかもしれないけれど虞夫人への好感度フィルターかかってるからそう見えてしまった)
彼女は最後まで強くあろうとして、最後まで虞夫人だった…ちょっと待ってタオルとってくる。追い感動してる。
そして、惨事を知らない江おじさんが優しく見つめているのは虞夫人への簪なのでした……あああああああああ!!!!ほんとに!!!!ほんとに!!!!!江家族が幸せルートはなかったんか!!!!なかったんか…!!!あの蓮花塢襲撃事件は感情が巨大すぎてまともに語れる気がしない。
虞夫人の強さは厭離にも受け継がれていて、だからこそあんなに芯の強いお姉ちゃんだったんだな…羨羨を守るための金子勲へのあの毅然とした態度、虞夫人の面影が見えたよね…。師姉の優しさと虞夫人ゆずりの強さと、江澄のわかりにくい優しさがあったからこそ魏無羨は少しもひねたところなくすくすくと育ったんよ。彼らはまさしく家族だったし、虞夫人の厳しさに守られていた。え、待って江おじさんは???(この質問に対しての答えは見出しにて。あまりにも彼の話題がないための救済措置である)

((それより藍忘機との姑蘇ラブストーリーは?))

ここまで視聴してすっかりラブとか忘れているわたしである。ボーイズすらない。いやボーイズたちは頑張ってくれていたけれど頭の中は江ファミリーだった。もう屠戮玄武でのあの「なんかおれたち通じ合ったね」感もそっちのけで壮大な物語を予感していたのだ。夷陵の山で鈴を見つけた藍忘機を見てうっかりハッとしてしまった次第だった。
そういえば…それ目当てで見ていたのに…。
とはいえそこからは怒涛の老祖のターンがあったので許してほしい。わたしは一話のオープニングからして老祖に目をつけていたので、そりゃ小躍りくらいする。(しかし原作を読み老祖の誕生について詳細を知ると心臓をかきむしるくらいの衝撃を受けた。ウウッ…藍忘機にわたしの貯金も預けるので二人で温泉旅行とかに行ってハッピーになってくれ)
そして金子軒と厭離姉ちゃんのハートフル(?)ラブストーリーからの絶望の地獄…まじで虞夫人とこのふたりの死は涙腺死ぬくらい泣いた。人は…人はなんて愚かなのだ。永遠なんてないんだ。壊れるのはいつだって一瞬のことなんだ。もうJ-POPの歌詞みたいな言葉しか出ない。

と、まぁアニメでなんかもう絶望しかなかった展開と魏無羨の過去にボロボロになったわたし。わいがなんぼでもでんでん太鼓買ったるがな…!!とか嗚咽を繰り返しタオルを握りしめていた。魏無羨の死には何者かの策略があったのではと物語が真相へと向かっていくところで二期が終了。
は????→原作読むわ の流れで見事翌日にはアマゾンから原作日本語翻訳版一巻が届いたのだった。めでたし。
(しかしここまでの感想を見る限り忘羨というよりむしろ他のキャラクター、主に虞夫人と子軒厭離夫婦、あとは老祖単品にクソデカ感情だったので原作を読むのも純粋に物語の続きが気になるという清く正しいピュアな読者だった)
(しかしわたしもいい感じに熟成した腐の特級呪物なのでまさかそんな夢見る少女でいられるわけがなかった)


サルストラウメンという世界最強の渦潮

以下は原作を一通り読み終えたわたしの激情である。
その前に、きっと昂ったままこの感想(実験結果)を書き終えるだろうことは目に見えているので、清く正しい一読者だった者としてさきにちゃんとした感想を書き記しておきたい。(ちゃんとしたとは)
これは本当にごめんなさいがすぎるのだけど、初めにも書いた通り正直タカをくくっていた。アニメから見たというのもあったし心のどこかで「中華ファンタジーアクションドラマ(BL)」という認識でいた。わたしの見積もりが甘かったですごめんなさい愛憎入り乱れたハチャメチャ大河ロマンドラマでした!!!!!先生しゅごい生まれてきてくださってありがとう先生を生んだ先生のお母さん、お父さんも生まれてきてくださってありがとうございます世の中に感謝…!!!地球に、そして宇宙ができたことに…ビッグバンに感謝…。
小説で読むとより深い…世界観舞台設定キャラクター設定その他もろもろほんとに作り込まれていて、わたしファンタジー苦手でハリーポtterも一巻の半分で放り投げちゃったようなクソなんだけど(すいません)人間ドラマがおもしろすぎて全然気にならなかったし義城編は涙なしには読めませんわ…。ンググググ、、、薛洋、、、おまえ、、、憎みきれない……!!
あと魏無羨の金丹が江澄に移植されたという真実が暴かれたときあまりに酷な現実に、江澄のために苦しみぬいた魏無羨も今更突きつけられた現実に打ちひしがれたであろう江澄も無理すぎて無理、キングオブ無理、語彙も涙腺も死んだ。世が世なら双傑として名を馳せていたであろうふたりのすれ違い、、、ちょっと温氏〜〜〜〜ちゃんと責任とって〜〜〜!!??!?
光瑤も、あんな最期だったけど完全なる悪ではなく、ちゃんと愛情深い一面もあっていや無理しんどい、そうだ、わたし献舎しようか???(アニメで見たときcvいしだあきらだったので軽い気持ちでこの人怪しすぎるやろwwwとか思ってたら予想の斜め上から奈落に落とされた無理感情のジェットコースター)
ストーリーが勧善懲悪のお綺麗な物語ではなくて、主人公の魏無羨でさえも人間臭い嫌なところを包み隠さず書かれていて、諸行無常の世に生きる人々のドラマだったなと…現代中国に生まれた平家物語かな…。解釈違いだったらごめんネ…。しかも平家物語も読んでなくてごめんネ。
でもそんな儚い人の世に生きていながらも変わらなかったものは藍湛の魏嬰への想いだったんダナ〜〜〜〜〜〜!ハァ〜〜〜尊!
一途と書いて藍湛と読むってテストに出るから覚えとこ。
四巻の途中までこの大河ドラマの中で普通に恋が進展していくからちくいちビビリながら読んでいた。そういえばわたしはBL小説を読んでいたんだったなと何度も再確認した。にしてもハイハイ覚えたての赤子並にゆっくりと、めちゃくちゃ丁寧に魏無羨の恋心の芽生えを書いてくださって恋の各駅停車(両片思い)にバチクソ興奮しました!恋の青春18切符だった(35歳)国境の長いトンネルを抜けると雲深不知処であったな!!(大興奮)
とはいえ、偏差値5でも日々会社員として生きている身なので読書に費やす時間は知れている。ツイッターも警備しなきゃいけないしいろいろ忙しい。
そもそも小説自体あまり読まない、わたしは漫画が好きなんだ(偏差値)そんなわたしが毎日こんなに取り憑かれたように本を開いたのは本当に久しぶりのことだった。暇な学生時代に京極夏彦先生の妖怪シリーズ(もはや箱)を読んでいた頃以来だ。読んでも読んでも終わらない分、当時のわたしの精神はかなりノイローゼに近かったと思う。あの本の3分の1は「人生で絶対に使わない雑学」で構成されているので、それに比べれば忘羨の摩訶不思議アドベンチャーも姑蘇ラブストーリーもなんて楽しい読書時間だったことか。読み終わってしまった今、寂しさすらある。あと10巻くらい読みたい。MDZS界隈でしか使わない仙師雑学をもっと読みたい。語弊をまねくとあれなのでちゃんと書いておくと、京極先生の本は読むの大変だけどめちゃくちゃ面白いし読後の達成感は他の追随を許さない。

さてここから肝心の忘羨についてお話させていただきたい。時系列はめちゃくちゃなうえに支離滅裂。
まず初見(アニメ座学くらいまで)のわたしの忘羨のイメージは大人になったスパダリ忘機×そんな忘機に見守られながらも自由に生き甘える無羨だった。ちがった。(即オチ)
ちがった、全然ちがった。
たしかに忘機は高学歴(?)高身長高収入(?)で(しかも金払いがすこぶるよい)スパダリの要素は金揃えている間違った兼ね揃えているんだけど、もう、なんだ、魏無羨の前では母に甘える子のようで…(飲酒後)大人の余裕とかではなく出会ったころの15歳のままで恋をしているみたいな、15歳からやり直しているみたいな、少年らしい素直さがゆえの献身というか…??ア〜ン?(跡部様)
魏無羨のために散財し、魏無羨からもらったものは全部大事大事にし、魏無羨がくることもないのに彼の大好きな天子笑を買いだめ、同じタトゥー(焼印)つけて……わたしこういう人知ってる。そう、我々にかなり近いのだ。もう完全に推しアイドルとオタクなんだよな。すごく身近に感じる。わかる、推しの好きなものはオソロしたくなっちゃうし同じスタイルにしたくなる。何度か既視感を抱いてしまったのは藍忘機の本質がオタクだからなのではないだろうか。
アニそしで「姑蘇へ帰ろう」とか言い出したときは「やっっべ夷陵老祖ガチ勢やん」「帰ろうったって別宅ですらないんよ?(諭し)」と冷やかしていたけれど(アニメ見てるときはそんなに忘羨に傾倒してなかったんよ〜〜;;;あの時の己の鳩尾にグーパンかましたい)原作読んで「姑蘇へ帰ろう」に至るまでの心情やその後の鬱展開(それまでもまぁまぁしんどいけど)を見るだに、我々(老祖オタ)は「姑蘇へ帰ろう」をスローガンに夷陵老祖光堕ちルートを共に模索すべきであったとすら思った。まずは温氏の方々が安心して暮らせるようにインフラから整えていこ!手始めに治水工事から!
藍忘機、なんでそんなに同じ熱量で魏無羨を思い続けられたのかということを考えると、やはり15歳という多感な時期に彗星の如く現れたこれまでの自分からかけ離れた理解しえない唯一の相手で、そしてそれまで常に優等生でまさに雲深不知処を体現するような藍忘機の心を(良くも悪くも)動かした唯一でもあったからなんだろうな(妄想)それがたとえ恋でなくとも、はじめて違う世界が見えた瞬間だったのではなかろうか。あるいは閉ざされた世界を開けてくれたのか。
清雅で、滔々と流れる川のような男の目の前に現れた眩しいほどのシューティングスターだったんだね(?)藍忘機の魏無羨はきっといつまでも眩しく朗らかで綺麗でいてほしかったんだ。魏無羨の世界はずっと苦しいことなんかないままきらめいていてほしかったんだ。出会ったころの15歳の彼のように。からの「姑蘇へ帰ろう」だったらもうどうしよう。晴れやかな世界で生きていてほしい魏無羨を、姑蘇へ連れ帰って隠したいんよ。せめてもの思いなんよ。隠したいんよ。まじか?まじか??(1秒ぶり2回目)
忘羨の民たちみんなこんなサルストラウメンみたいなとこで息してるん??正気か…?

そしてそんな藍忘機を冷やかしイジりつつもなんだかんだ言いながら最終的に受け入れ寧ろ包容力を持ち合わせているのは魏無羨なのでは、と思わずにはいられなかった祝・はじめての青●。はじめてなのに…。もう矢も盾もたまらんかったんだな、うんうん、いいよいいよ好きなだけしなさいよ(動揺)初めてなのに「好きにして(意訳)」とか言える魏無羨の懐の深さたるや。
どうしても藍忘機の愛を「受け止めている」感のある魏無羨、やりたい放題しているように見えて根底にあるのが「優しさ」なので甘えているように見せておいてそれ自体が藍忘機の愛情の受け皿になっているんだよな…(という妄想)(15歳のころはあんなにおジャ魔女カーニバルみたいな少年だったのに)
四巻の思いが通じ合ったあととそれまでの落差が激しくって、あまりのギアのあげぶりに三行に一回は休憩いれてた。びっくりした、観音廟で仙子が乗り込んできた時に抱き合ってたシーンなんかもののけ姫かと思ったし、蓮花塢で木から落ちて抱き合うシーンはラピュタだった。叔父上〜!樹から魏嬰が〜!
いやそんなピュアっぽい雰囲気出されてたからまさか初夜(朝)が草むらで初貫通だなんて思わないじゃない。藍忘機のことだからきっとちゃんとベッドメイクして亥の刻に間に合うようにせっせとせっせするんだろうな〜と思うじゃない。朝か〜〜その発想はなかったな〜〜天才か。
でもよく考えたら宿で風呂桶壊しているんだった。酔いに任せての行動とはいえ、わたし自身もBL小説を読んでいて風呂桶を壊す描写ははじめてだったのでかなりの衝撃を覚えた。
「エェッ…二回叩いたら風呂桶壊れるん…!?」
たしかに酒の力を借りてタガが外れて一線を越えようとしているが、まさか風呂桶のタガまで外すとは、とツッコミを入れたのがツボってしばらくひとりで笑っていた。風呂桶のタガで笑うという貴重な経験をした。今後もそうそうないと思う。その後、事を終えたあと(つまり射精後)に風呂桶の湯が下の階に漏れているのも「すごい対比だ」と思ってまたしばらくツボった。懲りずに雲深不知処でも風呂を四回も壊していたらしいのでほんとに愛おしい。たしかキングダムでは魏のポンコツ王様が道楽の極みみたいなクソでかい浴室で美少年たちと入浴していたので、雲深不知処にもいちはやくあのタイプの浴室を取り入れてあげてほしいけど、絶対家規に「贅沢は敵」とかあるから(あったっけ?)これからも風呂桶破壊に勤しんでいただくほかない。雲深の風呂桶壊すのも読みたいよ〜〜〜!!
あと四巻の表紙見たとき、「羨羨3歳とか言ってんのかな…尊い…」と思ってにっこりしてたけどまさか天と地と心を表し熱い愛を告白しているシーンだとはよもや思いもしなかった。3歳の羨羨のために納税したい。羨羨納税ないんか??返礼品はでんでん太鼓。

ここでちょっと思追の名前について言及したい。これはきっとそこかしこで語り草になっているかもしれないけれど言いたい。
みんな大好きズッコケ三人組の一員、藍思追。魏無羨の忘形見であり、藍忘機が大事に(たぶん)育ててきた将来有望株。
例に漏れずわたしも彼が大好きで(基本みんな大好きすぎる)、あの空気の読み方は少年のそれではないと巷で高く評価されている彼。こういう人材がひとりいると社会は非常に円滑にまわる(知らんけど)うちの会社にヘッドハンティングしたい。薄給だけど…!(サンプル:わたし)
原作読了後、後半の忘羨の荒波にしばし呆然としていたわたしであったが、ふと思追の名前を思い出した。というのも、字は名に関係したものをつけると三國無双時代に聞きかじっていたので、主役ふたりの名前の意味を考えていたのだ(が、よくわからんかった)
「そういえば思追くんは名前の漢字が藍家に来てから変わったんよな」
「苑も綺麗でかわいいけど願もいい名前なんよ、名付け親はきっと忘機かな…」
と、ここでハッとした。
「エッよもや……魏無羨を“思い”、“追いかけ”、いつの日か会えることを“願って”いるってか……!?」
名前を変えたのはきっと出自を隠すためでもあっただろうけど、名前も字もきっと藍忘機が考えたんだろう(ということで個人的に最終決定されている)
Weblio辞書で調べると中国語の「追」には「求愛する」という意味もあるらしい。藍忘機まじ藍忘機。
いくら忘形見とはいえ、身分を隠すためだったとはいえ、さすが藍忘機やることが一味ちがう。ドライブ・ユア・ドリームズみがある。たとえ思い人の骨の一欠片、魂の一欠片さえも散ってしまったとしてもなお諦めないという気概を感じる。ギア、アゲてこうぜ!
こんなテンション高めで話してるけど普通にしんどい。閉閑してるあいだに思い人が無残な死を遂げ、信じられない思いで乱葬崗にたどり着いた先には何も残されてなくて唯一の彼との繋がりが思追くんだっただなんて残酷にもほどがある。そりゃないぜ先生!
(思追くんも自分の名前が魏無羨への激重感情からきてるなんて思ってもないだろうけど、これは魏先輩の顔に免じて許してやってほしい。悪気はなかったんだ、愛しかなかったんだ)


絶対に使わない予定だった雑学の罠

さて、原作全四巻+番外編を読了後のわたしは
「忘羨めでたしめでたし、これからは道侶としてお互い幸せな人生の旅路を歩んでいくんだね〜Happy End〜」
とはならなかった。

とはならなかった。

作品に問題があるわけではない。☆5億くらいつけたい。本当にありがとうMDZSに出会えてわたしの人生がまた彩られました。同じ地球に生まれてよかった、バンザ〜イ!
作品にはそう、何も問題はないのだ。問題はわたしの倫理観にある。わたしの謎に厳正な倫理警察が、その体は莫くんの体であって魏無羨ではないでしょうがと訴えるのだ。誰かたすけて!!
わかってるんです〜〜〜〜たとえ体は莫くんであっても魂は魏無羨だからつまりもう魏無羨ですってのはわかってるんです〜〜〜〜魂があることで生命体となることわかってるんです〜〜〜〜!(アニメでは便宜上容姿が同じだったから倫理警察も見逃してくれてたけど小説となるとそうもいかない)
ただ、ほら、わたしたちはすでに知っている。身も心も魏無羨の時代があったということを。完全体であった魏無羨を知っているのだ。それは藍忘機も同じことなのだ。だからこそ見たことのない“誰か”で蘇った魏無羨にあれほどの愛情を注げる藍忘機には畏敬の念を禁じ得ない。そしてわたしはまた夷陵老祖に思いを馳せるのだった。
(真面目に、ちゃんと莫くんの体であっても彼は魏無羨であると頭では理解しているのだけど感情が追いつかない、そんなわたしの叫び(クソデカ声)が以下だ)

たしかに〜Happy End〜で終わった。1巻p138での「なぁ、こっち見て」の伏線を見事に四巻まるまる使っての回収で見つめあって物語は終わった。(伏線ではないだろうけど)
ちょ、あれめっちゃよかったわ…向かい合ってるのに視線すら合わされない15歳の真逆のふたりから、片やロバに胡座をかき片や悠々と歩くも視線が絡み合って時間が止まったような描写で終わるっていう…同じ道を行くっていう…それまでの長い長い時の流れが走馬灯のように脳裏に過ぎる…しんどい。いやちがう。そうじゃない。
そう、文句のつけようがない終わり方だった、最終回を迎えてこんなに渦巻く感情に呆けさせられたのは漫画、封神演義以来である。そしてその後の番外編での魏無羨の期待を裏切らないとんでもビッチ発言(勝手に足が開いちゃう)ににこにこしたり、使えるものは使ってみる逞しいチャレンジ精神で実現した避塵プレイに冷蔵庫の余りもので夕飯を作る主婦みたいだなと思ったり、いろいろ忙しくてしばらくは余裕がなかった。
ちなみに別に暇でもなかったけど魏無羨が藍忘機の上に乗って寝ないと落ち着かないとか言っていたので、果たして藍忘機は何キロを乗せて寝ているんだろうかと調べてみた。
体重はわからんけど痩せ形っぽかったから180センチ男性の痩せ形体重を調べると約59キロ以下らしい。魏無羨が蘇ってから多少は増えただろうから仮に60キロ前後とする。どの程度の重さなのか、さらに調べると300Lの冷蔵庫がおよそ60キロほどらしいという情報をキャッチした。つまり藍忘機は毎夜そこそこでかい冷蔵庫を乗せて寝ていることになる。しゅごい。怪力の名をほしいままにしている。筋肉もさることながら、骨密度めちゃくちゃ高いなと思う。また話が逸れた。話を逸らす天才なので読まなくてもまったくかまわない。

だからさ、夷陵老祖時代だってばよ。
あの頃のひとりで頑張っていた魏無羨を思うと遣る瀬なくて悲しくてたまらないんだってばよ…。忘機もあの頃はどうにもこうにもできなくて己の無力さに落胆しただろうし、魏無羨だって魂は彼のままなんだからラスト後の彼らはほんとにお互いにかけがえのない時間を過ごせているからハッピーエンドなんだけど。
だって羨羨3歳なんよ?3歳なのに闇落ちしちゃってひとりでみんなのこと守ってみんなに恨まれてひとりで死んじゃった…無理もうしんどい明日会社休む。
ここまで引っ張っておいて言語化が難しかったので簡単な図を置いておこう。上が作品設定である魏無羨の在り方(たぶん)で、下がわたしのイメージである。

図


これにはまったく深くもない浅い訳があって、先に述べたとおりわたしは学生時代狂ったように京極先生の本を読んでいた。乏しい記憶力が正しければ、その中に魂魄の話があった。ざっくり解説すると魂とは世間一般に広まっている魂であって、魄とは肉体のことである、とのこと。人間はこの魂魄がセットになって生命活動ができる、というような内容だった。気がする。
この「人生で絶対に使わない雑学」がこの期に及んで使われたおかげで魏無羨の魂と莫くんの魄がブレンドされている、というイメージがどうしてもつきまとうのだ!霊力が少ないとか体格が違うとかいう描写があるたびに「ヒェッ…パトランプ光ったァ…」となる。あんなに頑張って読んでいたのにその記憶のおかげでわたしの中では藍忘機とハッピーライフを営む魏無羨と夷陵老祖以前の魏無羨がもうほぼ別人みたいになっている。支部とかでハッピー忘羨を見た五分後に夷陵老祖を思って狂いそうになる。しんどい。かくなる上は先生に「たとえ魄が異なれど魂さえ同じならもう100パー同一人物と見做してもよい」というウンチクを引っ張ってきてもらいたい。京極先生新刊だしてくれェ…。※ここまで書いておいてする言い訳ではないが、記憶力の欠如には自信を持って日本代表に選抜されてもおかしくないと思っているので出典が間違っていたら先生にはファンレターとともになんか贈ろうと思う。ごめんなさい。
とはいえハッピー忘羨が見れないわけじゃない。基本的に魏無羨は魏無羨であって、空白の13年はあれども20年越しの道侶だと思っている。え、20年越しってシンプルにやばない??赤ちゃんが成人してるんじゃ。え??
同じ悩みを抱えている人がいたらビール飲みながら一緒に泣きたい。もしかしたら忘羨の民はみんなそうかもしれない、と奮い立たせながら今日もわたしは夷陵老祖に思いを馳せている。ハァ〜〜〜〜〜〜、あのえちちなお兄さんなあの子が童子で処女なのがもう奇跡。ほんとは聖母マリアなのでは?


次はドラマだ!

なんともうこの感想、1万字を超えている。公開はするけれど誰が読むともわからないこの支離滅裂な文章を休憩を挟みつつ四日もかけて書いている。というわけでそろそろ終わろうと思う。言い足りないことも語りたいこともまだまだありそうだが、いい加減にしないと日記みたいになってくる。なぜならアマプラでちんじょれ配信が始まったからだ。ドラマみて毎日誰に見せるわけでもない感想を書き溜めていくのはただの地獄でしかない。かつての偉人、文豪たちも恥ずかしい日記や手紙が発掘されて死してなお恥をかかされている。しがないオタクの恥なんて先に出しておくが吉に決まっている。(?)

では最後に、実験の結果を発表しようと思う。もう発表しなくてもいいかもしれないけれど、一応。
ガガーリンが地球を見て青かったと言ったならば、わたしはMDZSを読んで沼だったと言うほかない。

沼でした。以上!かいさ〜〜〜ん!