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人生はゲーム。つまらない人生より難しい人生。その覚悟から生まれる異常な音

10秒で高品質なMVが作れるアプリ「ムビート」を提供している株式会社クロスフェーダーの名波です。よろしくお願いします。

今日は、8小節トラックアワードで審査員特別賞(Moonbug/Novoiski)を受賞された余興さんのインタビュー記事です。

まずは余興さんの「For materials」をお聴きください。

(動画は、当社アプリ「ムビート」で作成してます)

まずは、審査員Moonbug/Novoiskiさんのコメントをご紹介します。

Novoiski -“8小節という短い中で前編後編を表現し、なおかつ高いレベルでLoopミュージックの妙味が込められている。クリックハウスとしては傑作レベル!コードチョップのタイミングやベースの挿し方、レトロサウンドに寄せてくるあたりにも卓越したセンスを感じます。”

とのことです。

シンセサウンドが好きな私としては、2種類の異なるシンセ音が絡み合いながら盛り上がる感じが素敵だと思います。元ダンサーでもある私にとっては、今すぐに踊りたくなる1曲で、すべての音を取って表現すると楽しそうな仕上がりとなっています。

ロシア

チャイコフスキーとストラヴィンスキーとムソルグスキー。

余興 -“小学生のときにディズニーの「ファンタジア」を好きで見ていた。いろいろなクラシックの曲が使われていたが、中でもチャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ムソルグスキーのロシア勢の曲が好きだった。

私は音楽好きを自認していますが、お恥ずかしながら、クラシックはまったくの門外漢です。調べましたよ、「ファンタジア」とチャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ムソルグスキーを。

まず「ファンタジア」について。「オーケストラによるクラシック音楽をバックとした、アニメーションによる8編の物語集である。一部を除き、台詞は一切用いられていない。」(出所:Wikipedia)

出てくるのはバッハ(ドイツ)、チャイコフスキー(ロシア)、デュカス(フランス)、ストラヴィンスキー(ロシア)、ベートーヴェン(ドイツ)、ポンキエッリ(イタリア)、ムソルグスキー(ロシア)、シューベルト(オーストリア)。

8曲中3曲がロシア勢。バッハとかベートーヴェンに行くのが普通?よくわからないのでクラシックに詳しい知人の元お嬢様に教えてもらいました。

曰く、

「ロシア音楽は歌劇・バレエミュージック」。

ここではたと手を打ちました。余興さんは幼少からダンスミュージックを求めていたのだと。親の勧めではなく、それを自ら選び取ったところにセンスを感じます。

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音ゲーでダンスミュージックに出会う

余興 -“物心がついて音ゲーを始めてダンスミュージックを聞くようになった。ジャンルがなんだかわかっていなかった。今から振り返るとジャングルとハウスが好きだった。”

クラシックの中でもダンスミュージックのロシア勢を無意識に選んだ余興さん。数多のゲームの中でダンスミュージックで構成される音ゲーにハマるのは自然ですね。

物心がつく頃からダンスミュージックを聞き出すと、ダンスミュージックのエリートになります。

一例としてですが、Hip Hop DJをやる父親の影響でDJを始めた女性を知っています、ぽっと出ではなく、オールドスクールを知り尽くした上での選曲やMIXは大変自然で気持ち良いです。Hip Hopを大学時代から聴き出した私としては大変羨ましく思えました。

話が逸れましたが、余興さんは、幼少からダンスミュージックを聴き込むというアドバンテージを得ます。

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人生はゲーム。つまんないゲームより難しいゲームのほうがいい

余興 -”通っていた高校では就職率が高くて。就職って簡単なんだと思って興味を失った。もっと難しく生きていくことは何かと考えて作曲を思いついた。つまんないゲームではダメ。難しいゲームがいい。”

壮絶な人生観です。相当な手応えを感じないと生を感じないということでしょう。そのためには、血の出るような努力を厭わないということになります。

また努力の対象は、何でもいい訳ではなく自分で選び取ることが必要です。その能力も極めて高いということだと思います。

一言で言えば「好きなことはとことんまでやる」ということだと思いますが、普通の人にはできない類まれなる才能と言えます。

付け加えると、高校時代に「人生はゲーム」と言ってしまえる感覚も特筆ものです。青春時代に自分の自我を持て余して何をすべきか悶々とする人が多い中で、自分の人生を俯瞰して見て考え、さらには決めることができるクールさ。大変魅力的な方です。

余興 -”2〜3年やれば楽器はできるようになる。”

余興さんは軽くそう言いましたが、例えばギターでは、初心者の90%が1年以内に辞めてしまいます(Fender社調査)。誰でもできることではありません。

物心ついて音ゲーにハマり、小学生のときには親の携帯電話で着メロを作り、マーチングバンドをして、中学・高校で吹奏楽、高校ではバンドもやっていて、作曲もこなしていたという流れで作曲を志すことになります。

好きなことを継続して努力してきた。ご本人は意識されているかどうかわかりませんが、努力して結果が出せる自信があってこそ「難しいゲームがいい」と言ってしまえるのではないかと思います。

この後、余興さんは努力を重ねて見事、音大の作曲科に合格します。

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異常な音を求めた結果、辿り着いたDTM

余興 -”作曲科での作曲は、楽譜を書くことだった。聴いたことがない、刺激的な音楽、体験したことがない音楽を求めた結果、異常な音で構成される音楽を作りたくなった。ただ普通の楽器で異常な音を出すのは難しい。これはPC(DTM)でやったほうが早いと気がついた。”

異常な音を求める。現代音楽では取り立てて変わったことではないとのことです。ただ、音大ご出身ではない他のアーティストからは聞かれないご発言でした。音大出身ではないアーティストは無意識にやられているということになるのでしょうか。1つ勉強になりました。

音楽大学では、昔に比べると違ってきているようですが、どうしてもクラシック寄りになると聞きます。最初はオーケストラで構成される楽器の人に異常な音を出してもらうように依頼していたのですが、限界があったそうです。そこで余興さんはDTMを始めました。

余興 -”異常な音を求めてDTMを始めたが、結局のところ幼少期から親しんだ音ゲーがやりたい音楽だと思った。音ゲーの世界には、本当におかしい曲を作る人が多い。私もそういう曲を作りたい。”

今回の8小節トラックアワードでは、木の卵さんの音が求めている音に近いそうです。

"New Song" -木の卵 with ムビート

お二方にはゲーム音楽に加えてパーカッションに精通しているという共通点があります。打楽器を極めると異常な音に行き着くのでしょうか。サンプル数が少ないので何とも言えないところではありますが、お二人に共通する「変態系」の音楽は、ドラムパートが通常の音ではダメなのかもしれません。

ただ、一方でこんなことも仰っています。

余興 -”普通を知ることで本当の意味での異常なことが分かる。”

異常かどうかは普通という尺度があって初めて成り立ちます。極めて当たり前のことですが、ハッとさせられました。

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数学と物理が好き

話の流れで余興さんは数学と物理が好きという話になりました。私は理系出身ですが、数学には苦労し、物理ではなく生物を選択しました。なので数学と物理ができる人には強烈な尊敬と羨ましさを感じてしまいます。

またしても話が逸れました。音楽は感性で生まれるのはもちろんですが、論理も求められます。音楽理論という言葉に象徴されています。
音大の作曲科で楽譜を書くにあたっては、その理論を駆使する必要があります。その素養が学生時代からあったということが伺われます。

モーツァルトも数学を愛したそうですしね。

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刺激の少ない音楽のほうに需要があるかも?

余興 -”早く音楽で稼げるようになりたいと考えて作曲している中で、異常な音が少ないほうに需要があることに気づいた。”

異常な音だけでなく、House・Technoも好きだという余興さん。依頼があってHouseを作曲したら評価が非常に高かったそうです。
また、変態系を自称する余興さんですが、今回の応募曲はHouseで、その曲が入賞となりました。

異常な音で構成される音ゲーミュージックと聴きやすいHouseミュージックのどちらも得意ということになりますが、どちらかというと前者が好きだという余興さん。

2つが昇華した余興さんならではの新しい音楽ジャンルが生まれることが期待できます。陰ながらではありますが、応援させていただきます!

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今日は、8小節トラックアワード審査員特別賞の余興さんってこんな人だよというお話でした。

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