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Archive⑨TVドラマ『抱きしめたい!』のこと(2008年7,8月,cocolog )

註:この記事について
・本記事は、トレンディドラマの金字塔『抱きしめたい!』について2008年に書いたもので、そのときは初回放送の1988年(第3クール/7月~9月)から20年経っていました。そしてそこからさらに15年、あの感動の第11話放送日の9月15日からぴったり35年経った今日、noteにこの記事を再度アップすることにしました。
・内容は当時のママですが、混乱を招かないように適宜西暦年を入れています。
・ヘッダー画像は、本編のタイトルロールのものです(©フジテレビ)

1988年、確かに時代はあんな空気だった

初回放送1988年第3クール(7月~9月)、トレンディドラマの金字塔『抱きしめたい!』。早いもので、あれからこの2008年7月で20年になる。
自分としては最も好きなドラマの1つで、20世紀の間は毎年6月あたり、夏に向かう時期になると必ずビデオで見ていたほどだ。

さすがに21世紀に入ってからはそこまで毎年は見なくなったが、昨2007年ビデオの劣化が気になり、DVDへコピー。このとき久しぶりに全部見たのだが、今年2008年もDVDコピーをする機会があり、この土日に1日6話ずつ2日で全12話を鑑賞した。

20年前の1988年、確かに時代はあんな空気だった。当時自分も雑誌編集者だったので、海沿いのホテルやウォーターフロントや都心の屋外やスタジオで取材撮影したり、オフには車で伊豆に遊びに行ったりトレンディな(笑)バーに行ったりしていたので、とても親近感を覚えていた。

が、麻子と夏子の少し下の歳だった自分が、今2008年はなんと野際洋子扮する夏子の母とぴったり同じ歳になったことがわかった。(今まで意識が及ばなかったが、第1話で実年齢が明かされていた)。まさに光陰矢のごとしである。

このドラマが好き過ぎて、エンタテインメント雑誌の準備号にてコアファンによる座談会を企画

また、今から10年前の1998年、中学3年のときに北海道と九州でドラマを見て「いつか東京であんな生活がしたい!」と誓ったという新入社員が入社してきた。男子のほうは赤のプジョーを買い、女子のほうは一人暮らしを始め、「これで自分もW浅野!」と喜んでいた。

『抱きしめたい!』は中学生の人生にも影響を与えていたことに驚いていたが、あれからもすでに10年。そして今こうして全編を見てみると、やはりいい! 数年前に見たときは、さすがに少し古さを感じたが、逆に今ではすっかり古典としての輝きがある。

仕事より何より恋愛至上主義の一貫性が潔い

全編にわたって撮影時の夏の光が強いので、ひたすら画像が明るく、よく考えると重い話しなのだがポジティブ感が満載だ。仕事より何より恋愛が大事、という恋愛至上主義の一貫性も大変潔くて好ましい。

しかしそれ以上に画期的なのは、最後にはそんな恋愛よりも女性同士の友情が大事にされるところだ。4人の男がマヌケに見えるほど、女の友情をクローズアップしたのも、また斬新だ。

圧巻過ぎる9話のラストから11話のラストまで

9話のラスト近くから急激に盛り上り、溜め息が出るようなシーンが続くところは、見事というしかない。

10話冒頭。傘もバッグも持たずに、圭介(岩城滉一)を振り切ってホテルを出る麻子(浅野温子)。外は、どしゃ降りの雨。そのなかを笑顔で歩いてバスに乗って家に帰る麻子。その後、荷物を持ってきた圭介の車の運転席に乗り、思いのたけを叫びながら暴走する麻子。トンネルの出口で急ブレーキをかけ絶叫する。
「あんたが好きでどうにもならない! 好きでもどうにもなんないのにっ!!」

10話後半。深夜に純ちゃん(本木雅弘)を公園に呼び出す麻子。自転車で駆けつける純ちゃん。止まらない圭介への想いを相談する麻子。麻子を好きな自分の気持ちを抑え、自転車で二人乗りをしながら「行き着くところまで行っちゃえ!」と鼓舞する純ちゃん。

第11話ラスト。深刻なケンカをして絶交した麻子と夏子(浅野ゆう子)が、それぞれ夜のウォーターフロントまわりを彷徨う。「Strangers in the Night」(フランク・シナトラ)がかかって、麻子はバーでグラスをかたむける。
そして家に戻った麻子に、夏子と別れると言う圭介。麻子は、「あたしが夏子と別れられない」と言い渡す。ちょうど車の陰にいた夏子は駆け寄り、麻子を抱きしめる。

まさに圧巻のシーンの数々……全12話12時間があっという間だった。(最終回はあまり納得がいっていないので、記述は控えます)。


追記:ついに判明!「I Love How You Love Me」 Bryan Ferry

先日、DVDにコピーしながら全話観たあとも、「環境ビデオ」のように映像を流していたり、mixiのコミュの人たちとやりとりしているのだが、そんななかずっと知りたかった、11話のクライマックスシーンでかかる曲が2曲とも判明した。

麻子がバーでグラスをかたむけるシーンの曲は、「Strangers in the Night」(フランク・シナトラ)なのだが、その前後に2回かかる曲がどうしてもわからなかった。曲の感じから、50~60年代のアメリカのオールディーズっぽい曲だとは思ったが、そこからがなかなか手立てがない。

そんななか、先週mixiのトピを見た札幌の方から、「私もその曲を探しているんですが、わかりましたか?」というメールを頂いた。「まだわからないんです」と返信したところ、その日のうちに、「歌詞検索で行き着きました!」というメールが!

中学生どころか小学生にまで影響を与えていた!

それは、Bryan Ferryの「I Love How You Love Me」だった! この曲を含むアルバム『These Foolish Things』は、1973年の発売。オリジナルは、 The Paris Sisters、1961年。オールディーズっぽい、というのは当たっていた。

さっそく、この両曲をダウンロードしようとWEBサイトに行ったところ、なんと30~40曲のリストが出てくる。こんなに多くのアーティストにカバーされるほどの定番曲だったのだ。

切々としたThe Paris Sisters盤も、ドラマの都会的なシーンとマッチしたBryan Ferry盤も、それぞれにいい!

しかしこの札幌の方は、9歳で『抱きしめたい!』を観て以来、このドラマと洋楽と岩城滉一のファンなのだそうだ。前回の記事では、「『抱きしめたい!』は中学生にも影響を与えていたとは」と書いたが、さらに小学生まで巻き込んでいたとは!


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